◆ 日本塗装時報 2002年8月18日発行 1788号掲載記事◆

■<全国マスチック事業協同組合連合会>

 全国マスチック事業協同組合連合会(山岸純一会長)は、このほどシーエムネット(CMnet)に団体加入、新しいビジネスチャンスの拡大を図ることになった。
 シーエムネットは、森ビルとソフトバンクの子会社が出資し、インターネット上で建設プロジェクトの受発注を行う「建設Eマーケットプレイス」。発注者と施工者(サプライヤー)がネット上で建設プロジェクトの発注から見積もり、入札・落札までを行うシステムで、すでに会員587社(7月9日現在)が参加、100件を超える工事が成約している。
 発注者側は、競争原理が働くことで適正価格での発注が可能になり、業者決定のプロセスが明確化されて公平性・透明性が確保できる。また、施工者側は分離発注(CM方式)により収益向上が図れるほか、自社技術・提案を直接施主にアピールできるなどのメリットがある。
 入札プロセスは、帝国データバンクのセキュリティーシステムを使って極秘に進められ、各案件の入札状況にシーエムネット自体は関与しない。落札業者名、落札価格、順位、落札理由などの情報を事後公表するかも発注者の判断に委ねられている。発注者は価格だけでなく、技術提案、実績などを総合的に判断して落札者を決める。「コストがすべてではないのがシーエムネットのポリシー。各発注者は適正価格かを厳密にチェックし、その結果、最終的に工事の質が上がっている」(笠間康雄・シーエムネットゼネラルマネージャー)という。
 シーエムネットに団体として入会したのは同連合会が初めて。これに伴い、連合会の所属組合員は「準会員」扱いとなり、会員専用ホームページにアクセスできる。ただし、入札案件情報を取得するには、シーエムネットのホームページから入会の手続きを行い、IDとパスワードを取得する必要がある。(手数料は無料)
 実際に入札支援システムを利用するには、「正会員」に入会する必要があるが、これには「長期性能保証事業の利用組合員に限る」という条件が付けられている。入会金は地方区(営業地域が本店所在県と隣県)の会社が2万7千円、全国区の会社が9万円。また、実際の入札に当たっては、案件ごとにシステム使用料と落札手数料が必要。

■<全国マスチック事業協同組合連合会>「勝ち残りセミナー」を開催

全国マスチック事業協同組合連合会(山岸純一会長)はこのほど、「マスチック勝ち残りセミナー」を各協組で開催、
▽「銀行との上手な付き合い方」▽マスチックSi(水性シリコン)▽長期性能保証事業の有効利用▽CMnet(別項)▽集合住宅改修工事データベースシミュレーション――をテーマに、専門家による講演が行われた。

 セミナーの主な内容は次の通り。 井戸氏
【銀行との上手な付き合い方】
(講師・井戸英昭日本商工経済研究所主任コンサルタント)
 銀行の貸し出しは、97年12月をピークに減少の一途をたどっている。大企業は設備資金が減り、運転資金が増えている。対して、中小企業は設備資金は変わらないが、運転資金が減っている。つまり、中小企業からの貸しはがしが進んでいる。これは銀行がBIS規制対策のため、貸し出しを抑制しているためである。
 大銀行は、規模のメリットを追求するため、システム化、IT化を志向し、企業融資もシステム化に向かっている。一方、中小銀行は独自性・地域性を重視しており、自社の規模に見合った銀行を選ぶ必要がある。
 銀行との付き合いの基本は▽社長自らが銀行に出向き、(特に担当者との)信頼関係の構築に務める▽毎年決算報告を行う▽不当な要求は上手に断る――などが挙げられる。実質金利(支払利息/借入金−受取利息/預金)を常に把握しておくことも大切だ。また、経営計画(利益計画)、資金計画を作成し、提案することも銀行の信頼獲得につながる。


【マスチックSi】
(勝間正事務局長)
 微弾性フィラーと水系アクリルシリコン樹脂塗料を組み合わせた環境にやさしい改修工法。アクリル樹脂とシリコン樹脂の相乗効果による高耐候性と低汚染性が特徴。促進耐候性試験の結果も、フッ素樹脂塗料に近い高耐候性が証明されている。組合員向け希望標準価格は、淡彩15K缶1万400円、同4K缶4800円。


【集合住宅改修工事データベースシミュレーション】(吉澤哲・娑羅企画社長)
 先に戸建て住宅の改修工事積算シミュレーション(簡易版・詳細版)を開発したが、今年はその集合住宅版に着手した。データは平成13年度の調査事業で得た約260通のアンケートの平均値を元に作成。完成・アップロードは8月末を予定している。

■<日塗工・日塗商>EDIシステムによる電子商取引を開始

〔社)日本塗料工業会(白岩保会長)と日本塗料商業組合(西井文雄理事長)は、大型塗料受発注EDIシステムによる電子商取引が実用の段階に入った、と発表した。  同システムは、平成12年度情報通信技術活用型下請等取引システム開発事業の補助金事業として行われ、NTT西日本、蝶理情報システムに開発開発を委託した。以降、数社の塗料メーカーとディーラー間でテスト実験を実施。このほど、イサム塗料が市場での実用化開始したことに続き、ナトコも採用に向け準備を進めることとなった。
 今回開発された「WebEDI」方式では、ディーラーの負担を軽くするためにメーカー側でEDIサーバーを持ち、ディーラーはインターネットを介して自社のパソコンからWeb経由で発注業務を行う。メーカー側では、ディーラーからの発注や納期回答などをトランスレーダーによって標準フォーマット(XML)に変換、送受信する。システムの業務機能としては受発注、納期回答・出荷報告、在庫問い合わせなどがある。
 今後の取り組みとしては、日本塗料工業会、日本塗料商業組合を中心に、普及促進のため設置した普及委員会を核として次のような取り組みを予定している。  

【短期目標】
1年以内
@普及を促進する広報活動(メーカー説明会、ディーラー説明会など)
A普及を支えるサポート体制の充実
B各種要望やトラブルへの対処法の確立
C使いやすいシステムへ改善


 【中期目標】1〜3年後
@標準プロトコルの見直し
A標準アプリケーションの機能拡充

 業界の今後の動きとして、今秋から来年はじめにかけて大手・中堅メーカー数社の参加が予定されたおり、将来的にはメーカー50社、ディーラー1000社が活用するネット網を目指している。
同システムに関する問い合わせ先は、(社)日本塗料工業会(03・3443・2011)。

■<大塗装>建築塗装技能検定 事前講習会を実施

 大阪府塗装工業協同組合(石渡敏一理事長)は8月1日、東淀川職業技術専門校で、平成14年度建築塗装作業技能検定に向けた実技試験の事前講習会を開催した。
 当日は約60人が参加。石渡理事長のあいさつのあと、大内一生理事から各講師を紹介。続いて課題の
@「合成樹脂調合ペイント・合成樹脂エマルションペイント」を中村勝義講師
A「複層模様吹付材塗装作業」
B「スプレーパターン作成作業」を五十嵐建二講師がそれぞれ説明した。

 実技検定は8月2日、同所で実施され、1級94人、2級19人、合わせて113人が受検した。試験に先立って石渡主席検定委員は「近年は建造物を新たに建築するより、既設の建造物を改修するケースが年々多くなっている。とりわけ塗装作業における適正な作業が求められており、一層研さんに努められるようお願いしたい。本検定は日頃の現場作業が適正にされている方々であれば、当然合格ラインに達するわけであり、日頃の実力を発揮されることを念願している」と激励。
このあと直ちに
@調合ペイント複層塗仕上・調色
A複層模様吹付作業
Bスプレーパターン――の各課題に取り組んだ。
 また、学科試験は8月25日、全国一斉に実施されるが、これに向けた事前講習会は8月21、22の2日間、大阪塗料会館で開催の予定。

■注目のIT商品 シニア向けタイピングソフト 「龍馬が打つ」

 本格化する建設CALS/ECや、ネット上での電子調達など、時代の動きを知るためにはいまやパソコンのスキルは必須。しかし、オジサン世代にとって一番やっかいなのが、キーボードの扱い方だ。タイピングするより手書きの方が早ければ、ITを導入する意味がない。

 「ホームポジション」などの基本を学ぶには、タイピング練習ソフトが役に立つが、このほど中高年でも楽しく練習ができるユニークなソフトが発売され話題になっている。

 「龍馬が打つ」は、ユーザーが坂本龍馬になって、幕末の英雄たちをタイピングで説得していくというもの。「薩長同盟」や「大政奉還」の実現もタイピングの腕次第だ。初心者には乙女姉さんがやさしく教えてくれるコーナーもある。

 発売元・アスク(03・3267・6864)、標準価格4800円。

 「龍馬が打つ」公式ホームページ http://www.ryoma.info

■<日本色彩研究所>「COLOR」第136号

 (財)日本色彩研究所の広報紙「COLOR」では、「学校保険法における小学校の色覚検査項目の削除」について特集している。
  学校教育用色覚検査CMTは、平成7年に学校保健法が改定された際に、小学校4年次だけになったが、その目的が先天性色覚異常の検出ではなく、学業への支障の有無を見ることだったことから、その是非について審議されてきた。
  特に同検査で「色彩異常」とされた人の社会的参加が制限されることも多く、差別的な要素が強いことも、廃止すべきだという意見の中に含まれていた。そのような背景から文部科学省は、2月の委員会の地点で検査廃止の基本方針を決定していたが、大手新聞コラムから「廃止反対論」が出るなどの影響により、最終決定には至っていないという。
 他に、「ルター・ニベルグ色立体モデルをつくる」「カーキ色と色相」「JIS色名帳・第2版の製作について」など。

■大日塗の機能性塗料大阪中央公会堂の修復に採用

 大日本塗料(本社・大阪市)の各種機能性塗料が文化遺産の大阪市中央公会堂の修復塗装に採用された。
 同公会堂は、梅田の南に位置する中之島公園にあり、大正7年に岩本栄之助の寄付で建設された鉄筋コンクリートレンガ張りの地下1階、地上3階建、ネオ・ルネサンス様式の建築物で、当時から多く催しに利用され、戦禍も逃れてきた。築80年超となる平成11年3月には老朽化に伴う大規模な改修工事を開始したが、建て替えよりも当時の建築様式を忠実に再現することが市民から望まれ、随所にハイレベルな技術を施した。

 修復塗装の箇所と使用された同社商品は次の通り。
 ▽窓枠スチールサッシ塗装―変性エポキシ樹脂系カラーさび止め塗料「エポオール#40下塗り」常温硬化形ふっ素樹脂塗料「Vフロン100H中塗り」「Vフロン#200上塗り」
 ▽しっくい壁―非汚染形水性内壁用塗料「ビューテックス」
 ▽木部―合成樹脂配合ペイント「タイコーペイントDX―MAX」
 ▽一般鉄部―弱溶剤系ウレタン樹脂塗料「DNTウレタンマインドクリーン」


 なお、同公会堂は11月1日、リニューアルオープンの予定。

■<川上塗料>中間決算 大幅な減収減益に

 川上塗料が7月26日発表した平成14年度11月期中間発表は、特長商品および得意分野を中心に売上の拡大と全社的なコストの引き下げなど、経営の効率化に努めたものの、当中間期の連結売上高は前年同期比12・0%減の32億4千5百万円と大幅な減少となった。
 また、損益面においても、原材料費・人件費・経費の圧縮に取り組んだものの、退職給付債務の処理などにより、経常段階で1億2千5百万円の損失となった。また、中間損失も前年同期より3千7百万円減少し、損失額は1億2千7百万円となっている。
 今後は、中期的な経営戦略をベースに、業績の早期回復に総力をあげ、赤字体質からの脱却を図りたいとしている。

 【平成14年度11月期中間連結決算】(単位・百万円、カッコ内は前年度)
  ▽売上高  3,245 (3、689)
  ▽営業利益    ▲87(▲99)
  ▽経常利益   ▲125(▲123)
  ▽利益     ▲127 (▲164)
  ▽一株益(円) ▲12・79(▲16・48)
 【通期の連結予想】(単位・同)
  ▽売上高   6、945
  ▽経常利益      0
  ▽利益        0
  ▽一株益(円)    0
 【平成14年度11月期中間単独決算】(単位・同、カッコ内は前年度)
  ▽売上高   3,224(3,660)
  ▽営業利益    ▲88(▲99)
  ▽経常利益  ▲121(▲123)
  ▽利益    ▲123(▲163)
  ▽一株益(円)▲12・39(▲16・40)
  ▽一株中間配(円)0・00(0・00)
 【通期の単独予想】(単位・同)
  ▽売上高   6、900
  ▽経常利益      0
  ▽当期純利益     0
  ▽一株益(円)    0

■<橋塗協>「Structure Painting」 第30号を発行

 (社)日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会の広報誌「Structure Painting」第30号がこのほど発行された。
 主な目次は次の通り。
▽港大橋、港大橋維持管理設備
▽阪神高速湾岸線の長大橋
▽維持更新時代を迎えるにあたって
▽港大橋の塗装塗替に関する塗膜調査と塗装仕様について
▽因島大橋の塗替塗装
▽寒冷地用防食システムの開発
▽重防食塗膜の期待寿命はいつまで?も
▽匠の足跡を訪ねて 16.名橋紀行・パリ・ボンヌフー
▽早春の京・大和路を行く
▽南太平洋・タヒチへの旅

■<岩塗装・日塗装岩手>「広報」第102号

 岩手県塗装工業組合と(社)日本塗装工業会岩手県支部の「広報」第102号がこのほど発刊された。
 日塗装岩手県支部の第47回定時総会で行われた、任期満了に伴う役員改選で選出された新役員は次の通り。

【支部長】松田隆至(富士塗装、再)
【副支部長】吉田勇太郎(吉田塗装工業、再)、佐々木賢(大盛塗装工業、再)、晴山祐一(五日市塗装工業、新)

 また、平成14年5月1日付岩手日報の朝刊記事に、掲載された「塗装屋さん」と題した一般読者からのおたよりが転載されている。
内容は次の通り。
「家の塗装がすっかり仕上がりました。何しろ外装のための骨組みからなので、天候が悪かったりで思うように進まず、2か月かかりました。作業の人たち4、5人は、20代半ばぐらい、私の孫ぐらいです。家庭のしつけがいいのか師匠が厳しいのか、朝のあいさつから仕事を終わって帰るまで、きびきびとした態度にすっかり感心しました。(中略)年を重ねると落ち込むことが多いのですが、この人たちのおかげで2か月間、楽しい日々を送ることができました。隅々まで丁寧な仕事をし、すっきりしましたが、この人たちが明日からは来ないかと思うと寂しくなります」