◆ 日本塗装時報 2002年9月18日発行 1789号掲載記事◆

■CORINSの登録対象工事が拡大全国各地で説明会を開催

CORINS (財)日本建設情報総合センターJACICは、10月1日からCORINSの対象工事の範囲を従来の「請負金額2、500万円以上」から「500万円以上」に拡大するが、それに伴い全国各地で説明会を開催している。

 公共工事の発注をめぐっては、入札・契約手続きにおける不正行為の防止、建設市場の国際化への対応などの社会的要請を背景に、平成5年12月21日の中央建設業審議会で「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」の建議がまとめられている。この中で、各公共工事発注機関が共同で利用でき、建設会社の技術力を公正に評価できる工事実績情報のデーターベース整備の必要性が述べられた。そこで、旧建設省が同センターにデーターベースの構築と運営を依頼し、平成6年に請負金額5、000万円以上を対象に登録を開始した。平成9年4月には登録範囲が現行の2、500万円以上に拡大されている。

 10月1日以降も、請負金額2、500万円以上の登録は継続して行われる。登録は、2、500万円未満は受注時のみであるのに対し、2、500万円以上の場合は、受注時・変更時・施工時の複数回登録を行える。(2面に別表)また、工事受注当時2、500万円未満の登録だったものが、途中で2、500万円を超えた場合は、2、500万円の対象工事として登録しなおさなければならない。

 CORINSのデーターベースには、「詳細CORINS」と「簡易CORINS」の2種類がある。「詳細CORINS」は、@請負金額2、500万円以上の工事について、竣工時情報で建設会社の類似工事実績の確認ができるA竣工時情報は、技術データ(施工延長・施工面積など工事の規模を表す数値データなど)があるB請負金額2、500万円以上の工事について、施工中の工事情報で「建設会社の手持ち工事量」や「技術者の専任配置状況」の確認ができる、などの特長がある。「簡易CORINS」は、@請負金額500万円以上2、500万円未満の工事と2、500万円以上工事について、建設会社の類似工事実績の確認ができるA請負金額500万円以上の工事について、施工中の工事情報で「建設会社の手持ち工事量」や「技術者の専任配置状況」の確認ができるB技術データーを含まず、施工延長などの数値データを工事カルテに表示することができない、などの特長がある。

 請負金額500万円以上2、500万円未満の工事については、10月1日から登録を開始するが、契約上の工事開始年月日が平成11年4月1日から平成14年9月30日の間にあり、すでに竣工した工事を平成14年10月1日から平成15年4月30日の間に登録する場合は、登録料が無料となる。それ以降については、受注時に3千円、訂正手続きに2千円が必要となる。
詳細については、同センターホームページ(http://www.jacic.or.jp/)に。

■日塗協 「塗料需要動向」「建築塗装の現状と将来」 高橋日塗装専務理事、大平専務理事が講演

(社)日本塗料協会は8月21日東京、23日大阪で、同会会員を対象にした講演会を開催した。講師は、高橋孝治・(社)日本塗装工業会専務理事と大平和彦・(社)日本塗料工業会専務理事。高橋専務理事は「建築塗装の現状と将来について」、大平専務理事は「日本の塗料工業・塗料需要動向と課題への取り組み」をテーマに、それぞれ市場の現状などについて説明した。

■鉄部長期保証システム関リ協が開発

 関西リニューアル協議会(中川九彦会長)は、鉄部長期保証防錆塗装システム「KRK工法」を開発した。
 鉄部塗装の耐久性の要因は、7割が素地調整にあるといわれ、特に溶接部分、ボルト、接合部などの処理が重要であった。
 このため、下地調整に塗膜軟化材と超高圧温水ケレン工法を組み合わせた「はく離工法」を採用、素地調整のレベルを大幅に向上した。また、溶接部分、ボルト、接合部などの狭あい部の部分処理には長期防食性にすぐれた厚膜被覆材料を使用し、部分腐食を防止する。
 錆止め塗料には、浸透性エポキシ樹脂系錆止め塗料、仕上げ塗料にはアクリルシリコン樹脂塗料を採用(提携企業・関西ペイント、日本ペイント、大日本塗料、エスケー化研)。NPO法人関西リニューアル協議会が認定する施工業者による責任施工を行い、同協議会と施工業者が連帯して10年間の保証を行う。
 問い合わせ先は、同協議会(06・6630・0511)。

■提案型営業で新分野開拓藤澤茂・フジサワ社長

 技術力を生かした提案型営業で脱下請けを実現したフジサワ(群馬県前橋市)の藤澤茂社長が、地元紙「上毛新聞」の経済欄にこのほど大きく取り上げられた。
 同社は水力発電施設などの特殊塗装を手がけていたが、オイルショック以降大型物件の受注が激減し、工場やマンションの外壁塗装に乗り出さざるをえなくなった。また、ゼネコン頼みの営業も見直し、大型物件で培った防水・防錆などの技術力を基に、顧客のニーズにことで新しい需要開発を図った。発注者から示された仕様に対し、より用途や環境に合った施工を提案することを心がけたところ、顧客の信頼を得ることができ、そうした努力の積み重ねが受注につながったという。
 97年には、藤澤塗装工業から現在の社名に変更、塗装だけでなく、建築リフォーム全般、広告看板、企画・デザインまでを総合的に手がける企業への飛躍を図った。
 業界では、日本塗装工業会の群馬県支部長を務め、ペインテナンスキャンペーンを通じて下請け体質からの脱却に努力している。

■<関西ペイント>3件の保有特許を ネット市場で公開

 関西ペイント(本社・大阪市)は、保有特許・技術の販売を目的としたインターネットによる知的財産の売買市場「イエット・ツー・ドット・コム(yat2.com)」に3件の特許技術を掲載し、販売活動を開始した。
 世界のライセンス市場は年間1000億j(約12兆円)超とも言われており、特に米国では、研究開発費用の回収を目指した知的財産の売買およびライセンス活動が盛んになっている。その背景をもとにイエット・ツードット・コム社(本社・米国マサチューセッツ州)は技術の売買、ライセンス、共同リサーチを目的として1999年に設立された。また、ウエブサイトは2000年から活動を開始している。同サイトは、世界初・世界最大のメンバー制知的財産流通市場となっていることから、世界でも有数の企業をはじめ、多くの有力企業がメンバーとして参加し、ウエブサイトを利用して先端技術の売買を行っている。その範囲は、米国のみならず、欧州・アジアなど全世界に市場を拡大している。

 日本国内でも、各分野のトップ企業をはじめ多くの有力企業が「イエット・ツー・ドット・コム」にメンバーとして参加しているが、現在、塗料メーカーでは同社が唯一のメンバーで、現在、▽親水性微粒子を用いた空調機フィン親水化技術▽一液化可能な新規低温架橋システム▽凍結乾燥を利用した新規な粉体塗料製造方法、の3件をyat2.comのウエブサイト(http://www.yat2.com)に掲載しており、早期のライセンス契約を期待している。
 また同社では、知的財産を有効に活用し、研究開発投資をより効果的に行うため、本年4月に知的財産室を設置しており、今回の掲載はその活動の一環としている。
 問い合わせ先は、同社知的財産室(0463・23・2163)。

■<関西ペイント>環境会計を作成

 関西ペイント(世羅勝也社長)は、01年度の「環境会計」を作成した。
 同社での環境会計の取り組みは、98年度尼崎工場、99年度5工場(『環境報告書2000』に掲載)、00年度全社、と対象範囲を年々拡大し、4回目となる今年度はそれをさらに充実させた。
 特長は、@経営意思決定支援会計システムであることを明確にし、投資および費用と経済効果を把握でき、環境と経済活動を両立させるべく経営反映したことを明記A省エネを一括ではなく、電力・重油・灯油・都市ガス使用量と費用を個別に集計B全社一括集計でなく、工場および事業所単位で集計・解析C減価償却費に占める環境対象の比率を用い、修繕費・固定資産税などの環境対策費を按分算出する方式を採用D「環境パフォーマンス集計システム」を構築し、各地のデータを自動集計。
 また、01年度環境会計を集計した結果、環境保全コスト(投資および費用)が総額34億円弱で、昨年度比9・2%増加したことが分かった。うち環境関連投資は約5億円強で、全社投資総額の約16%。その主な投資先は、開発センターの自動車塗装ブース水性化、尼崎工場の廃油処理設備2期工事など。また、環境関連費用は約29億円で、全社総経費の約6%となっている。環境保全コストは、研究開発コストが約13・4億円、事業エリア内コストが公害防止に5億円強、地球環境保全に6億円、廃棄物処理に6億円弱となった。
 経済効果および環境保全効果については、全社の電力使用量が、昨年度比の7・4%減。ガスの使用量は、17・2%増。これは、工場のエネルギーを電力から都市ガスへと転換する「エネルギークリーン化」を推進し、開発センターにガスエンジンコージェネ設備を導入したことなどによる。廃棄物の外部委託処分量は、昨年度より33%減と大幅な減少となり、「廃棄物ゼロエミッション」に向けて、着々と進行している。10年前の92年度との比較でも、外部に処分を委託した量は80%削減されている計算になる。
 この内容は、「環境報告書2002」に掲載するとともに、同社ホームページにも掲載予定。

■日ペ子会社・日本ペイント工業用コーティング ISO14001取得

 日本ペイント(藤嶋輝義社長)の各種工業用塗料の販売を行う子会社、日本ペイント工業用コーティング(小原捷治社長)が、環境マネジメントシステム審査登録制度のISO14001の審査を、全社(東北営業所から九州営業所までの全17サイト)で受け、7月22日に一括で認証登録を受けた。
 昨年7月に小原社長による「環境方針」の発表を機に全社活動を開始し、取り組み開始後1年で認証登録された。
 日本ペイントは、国内の関連会社、全17社のISO14001認証取得を05年までに完了するよう推進しており、今回は4社目の取得。

■<大阪府塗装工業協同組合>「アクリルシリコン樹脂」研修会原料樹脂メーカーが技術動向説明

 大阪府塗装工業協同組合(石渡敏一理事長)は8月28日、ホテル阪急インターナショナルで、耐久性・耐候性に優れた「アクリルシリコン塗料」「ポリイソブレチレン系シーリング材」などの新しい仕上げ材料について、化学メーカー鐘淵化学工業・液体樹脂事業部より講師を招き、研修会を開催した。
 講師は、同事業部営業グループ販売第3チームリーダー・安藤直民氏、同販売促進チームリーダー兼技術開発グループ幹部職・久住明氏、同販売第2チーム三田達志氏の3名。

 開会に先立ち、同組合資材委員会・浦田久生委員長は「組合としては、組合員の皆さんが新しい技術を習得するための知識を提供できればと願っている。普段は、塗料メーカー主催の研修会に参加することが多いが、今回は塗料の原材料となる塗料樹脂化学メーカーを講師に迎えることで、最新技術の傾向はどうなっているのか、を学んでいきたいと思う」とあいさつ。
 講習会では、まず、アクリルシリコン樹脂の最近の技術動向と認知状況についての説明があった。

 アクリルシリコン塗料の特長として、@耐用年数が長いA高耐候性で、フッ素塗料より経済的B親水性で、排ガス・粉塵などの汚染物質が付きにくいC酸性雨に強い、などが挙げられるが、中でもその架橋の特性から低汚染であることが知られている。同社のカネカゼムラックをベースとした代表的アクリルシリコン樹脂塗料には、イサム塗料の「エコシリカ21C」、エスケー化研の「セラタイトSi」、関西ペイントの「セラシリコン」、神東塗料の「ハイテントップ」、大日本塗料の「Vシリコン」、トウペの「シリコンワイド」、日本ペイントの「シリコンフレッシュ」、ロックペイントの「シリコマックスS」などがあり、実に幅広いメーカーの低汚染性塗料の原材料となっている。
外壁塗装にかかわる生涯塗装費用は、塗料の価格だけではなく、次回塗替えまでの期間に大きく影響されるため、塗替え回数が少ないシリコン系エナメル樹脂は、トータルでフッ素系エナメル樹脂に近いコストでの施工が可能である。

 今後は、弱溶剤系・水系塗料の需要が高まり、現在の中心商品である溶剤系から順次移行することが予想される。ただ、水系では構造上、低汚染性がやや低下するため、最大の特性である低汚染性維持した状態での水系への移行が各塗料メーカーの課題とされている。
 ポリイソブチレン系シーリング材の説明では、その特長として@耐久性・耐候性を有するAシリコン系で問題とされていた目地周辺への汚染がないB塗装をほどこす目地にも使用できるC優れた汎用性、などが挙げられた。

 化学メーカーで精製された塗料の原料は、各塗料メーカーに納入されるため、塗装業界が直接化学メーカーと接する機会は少ない。しかし、化学メーカーは塗装業界の最上流産業であり、その技術力から最新の情報やアドバイスの提供を受けることは、塗装技術の向上にも直接結びつく。同組合では、今後も研修会を開催することで、さらなる技術や知識の向上を図りたいとしている。

■<建築塗装技能検定>学科準備講習を実施 大塗装

 (社)日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会の広報誌「Structure Painting」第30号がこのほど発行された。
 主な目次は次の通り。
 ▽港大橋、港大橋維持管理設備▽阪神高速湾岸線の長大橋▽維持更新時代を迎えるにあたって▽港大橋の塗装塗替に関する塗膜調査と塗装仕様について▽因島大橋の塗替塗装▽寒冷地用防食システムの開発▽重防食塗膜の期待寿命はいつまで?も▽匠の足跡を訪ねてO名橋紀行・パリ・ボンヌフー▽早春の京・大和路を行く▽南太平洋・タヒチへの旅

■NSK 会報97

 日本建築仕上材工業会の「会報」第97号が発刊された。
 主な目次は次の通り。
 ▽平成14年度通常総会報告▽平成13年度事業報告▽生産数量表▽NSK生産統計にみる=小俣一夫氏▽循環型社会と建築仕上材=菊地雅史氏▽NSKホームページ紹介▽支部だより・本部だより▽わが社の自慢=スズカファイン▽コラム「アーチェリーのこと」=渡邉一雄