■建専連、近畿整備局と意見交換 入契法の順守など要望

 建設産業専門団体連合会(建専連、山崎善弘会長)と近畿地方整備局の意見交換会が7月28日、大阪市内のホテルで開かれた。
  建専連側からは山崎会長、北浦年一近畿建専連会長ら37団体の幹部、近畿整備局側からは藤本貴也局長、足立敏之企画部長、渡辺秀樹建政部長らが出席。席上、建専連加盟各団体から「入札契約適正化法の順守と指導の徹底」(大阪府塗装工業協同組合)など6項目を要望、これに対し整備局側はこれらの問題について今後積極的に取り組む考えを示した。

 意見交換会では、まず山崎会長が「我々を取り巻く環境はますます厳しくなってきている。ピーク時80兆円台の建設投資が50兆円台となり、さらに公共事業費は年率3%、向こう5年間で15%の削減がなされようとしている。これは実質工事額にして3〜4割に相当する。仕事の減少はダンピングを激化させ、職人の賃金低下を招いている。そういう状況下では人材が育たない。現在働いている職人でも機会があればすぐ転職してしまう。良い品質のものが安全にできるかどうかは職人の腕次第であり、将来に不安がある現状では、建設産業の発展は保証されない。これ以上、ダンピングが進行し、談合が社会問題になれば、建設業のイメージをより一層悪くする。このため、一昨年来、入札ボンドの制度導入をお願いしており、ぜひ実現していただきたい。一方、コスト縮減がいわれているが、本当の意味のコスト縮減は、システムづくりであり、むやみな賃金カットではない。施工・安全管理に専門工事業者も参画していくようなシステムづくりを具体化していただきたい」と述べ、専門工事業が置かれている厳しい現状への理解を訴えた。

 次に北浦会長は「今回は多くの提案の中から6つに絞った。このような機会を設けていただき、専門工事業界にも光が当てられてきたことをうれしく思う。これから業界が大きく変わることを期待しながら、今は一歩でも二歩でも前進していきたい」とあいさつ。
 これに対し、藤本局長は「日本の建設技術は、世界的に見ても最先端にあり、ハイテク技術を駆使している。良質な社会資本整備を進めるためには、不良不適格業者の排除が必要で、施工体制台帳の整備や調査を推進している。しかしながら、まだそのノウハウが確立されたとは言えず、皆様からのご提案が必要である。建設投資が減少する中でダンピングの問題が起こっているが、今後とも社会資本整備の必要性を訴えていきたい」と述べた。


 次に、近畿地方整備局からは「コンクリート構造物の品質コンテスト」「ユニットプライス型積算方式」などについて、建専連からは平成16年度の事業活動方針についてそれぞれ説明があり、引き続き意見交換会に移った。
【優秀なコンクリート施工業者の評価】 (建専連・北浦会長)
コンクリート構造物の品質コンテストの結果、優秀な施工業者には、認定書授与・工事発注条件とする・経営事項審査に加点する、などの評価を与え、他業種にも制度の拡大を。

 (回答)評価や業種の拡大は今後検討していく。

【施工条件・範囲リスト(標準モデル)の活用】(全国建設室内工事業協会・河野毅関西支部会長)
国交省はユニットプライス型積算方式への移行を進めているが、元請業者は工事完了後に廃棄物処理費用や駐車料金などの名目で、下請代金精算時に一方的に差し引く行為が多発している。元請業者に対して、標準モデルの積極的な活用を図るよう強力に指導をお願いされたい。

 (回答)国交省総合政策局から関係業界に通達されており、今後指導を徹底していく。

【基幹技能者の活用および技能労働者の雇用労働条件の改善】(関西鉄筋業協同組合・戸田裕雄副理事長)
基幹技能者の現場常駐、および下請けにかかわる現場管理費の計上や法定福利費の別枠支給など積算体系の見直しを。

 (回答)基幹技能者はすべての業種で認定されておらず、認定基準が異なるなど法的に困難な面があるが、今後検討していく。

【鋼材価格の急騰に伴う迅速な対策の検討】(福井県建設専門工事業団体連合会・本間茂会長)
予定価格の積算は最新の鋼材単価を使用するとともに、工事施工中の場合は請負契約約款の物価スライド条項適用を。また鋼材の品不足や納期遅れなどの影響には、工期の弾力的な運用を。

  (回答)スライド条項の適用はオイルショック時にあったが、現状の変動はそこまでになく、今後の動向を見極めながら対処する。

【入札契約適正化法の遵守と指導の徹底】(大阪府塗装工業協同組合・大岩三郎理事)
予定価格の事前公表に合わせて最低制限価格も同時に行っている場合が多くあり、結果として最低制限価格と同額で入札する者が複数に上ることから、落札者の決定に当たっては、入札業者の技術力や経営力などを考慮せず、くじ引きなどを行っている現状であり、建設業界を大混乱におとしいれている。また、最低制限価格と同額で落札した元請は、いわゆる指値発注によって、下請専門業者にそのしわ寄せを押しつけている。総務省とも連携を取って、最低制限価格の事前公表を行っている公共団体に対して、中止するよう要請を。さらに市町村における予定価格作成時の、いわゆる「歩切り問題」についても対策を。

 (回答)予定価格の事前公表は、受注者の見積もり努力を阻害するが、入札契約の透明性を確保する観点からは評価できるということもあり、難しい問題である。歩切り問題を含め、今後近畿ブロック監理課長会議などで検討していきたい。

【建設業法の遵守と指導の徹底】(近畿建設躯体工業協同組合・岡本征夫副理事長)
廃棄物処理費用の一方的な差し引き、追加工事代金の未払いなど不公正な取引を取り締まるべく、建設業法における処罰の厳格化と指導徹底を。

 (回答)元下関係の改善は、不良不適格業者の排除につながるため、今後とも適切な指導を行っていく。


◆ 日本塗装時報 2004年8月18日発行 1816号掲載記事◆

■神東塗料「水回帰21セミナー」 『標仕』改定や規制の動向を説明

 神東塗料(本社・尼崎市、堀辺治信社長)は、九州(7月22日、福岡国際会議場)、大阪(7月28日、大阪全日空ホテル)、東京(8月9日、建築会館ホール)の3会場で、「水回帰21セミナー」と題し、環境対策セミナーを開催した。

 第1部の講師は、独立行政法人建築研究所上席研究員、工学博士・農学博士の本橋健司氏。同氏は、国土交通省主催「室内空気対策研究会汚染メカニズム分科会」の主査でもあり、室内環境に関する論文などの執筆や全国各地での講演活動を行っている。
 本橋氏は『平成16年度公共建築工事標準仕様書』および『平成16年度公共建築改修工事標準仕様書』について説明。
  改定のポイントとして、コスト縮減対策における仕様の標準化への対応、地球環境への配慮、建築基準法等への整合、技術革新への対応と施工実態の反映―を挙げ、次に具体的な改定内容を解説した。
  最後に、まとめとして「各省庁の建築工事のみではなく、地方公共団体、民間の建築工事にも支配的な影響を与え、また、時代のニーズ(大気汚染防止、シックハウス対策、リサイクル、省エネ、省資源等)及び新技術を踏まえた工事仕様書の改定」であることを強調した。

 第2部では「建築現場における環境問題」(VOC削減手法と法規制)をテーマに、本橋氏と徳永行文神東塗料一般塗料本部技術部長が対談。
ホルムアルデヒド発散建築材料の審査方法、学校環境衛生の基準の改定、 シックハウス症候群と化学物質過敏症の違い、VOC問題、有害重金属、大気汚染防止法、省資源・省エネなどの規制の動向を中心に最新情報を紹介した。また、会場では、事前に参加者より募っていたVOC関連についての質疑応答がなされ、参加者からは「非常に意義ある内容だった」と好評を得た。

■歴史的建造物の保存へ 良質な施工を提供 京美友の会

 京美友の会(今江清造会長)の第27回総会は7月28日、京都・蹴上のウェスティン都ホテル京都で開かれた。
 冒頭、今江会長は「将来は不透明で不安定な情勢だが、今まで27年間の結束力をもって、友の会の歴史をますます延ばしていくことをお願いしたい」とあいさつ。

 議事に移り、03年度事業報告・同収支報告、04年度事業計画・同予算案、役員選任―などを審議、原案通り承認した。本年度の事業計画では、業界の最先端を行く無機塗料の開発に引き続き力を入れるほか、ハワイ招待セールも復活し、「人生に夢を、夢を現実に」のモットー達成に向けて努力していく。

 次いで、◆建築保全センター指定「歴史的建造物保存会員」の認定証を授与。酒井副会長の閉会の辞で終了した。
 このあと、中川博京美社長が立ち、近く◆全国日本学士会の会誌『アカデミア』に掲載される論文『塗料・塗装業界を思う』の趣旨を説明した。中川社長は「先の日塗装総会で河野新会長は『塗装業界の地位向上』を強調し、良い仕事をして顧客の信頼を得るよう訴えた。塗料は半製品であり、塗装が生き残る道は良心的な施工にあることを改めて認識する必要がある。30年前に日塗装の研修旅行でドイツに行った時に感動したのは、塗装の職人がマイスターとしての誇りを持って仕事に取り組んでいることだった。塗装業者が建物の管理まで行い、設計事務所、工務店を配下に置くほどの権威を持っている。考えれば、塗料・塗装のことは我々が一番よく知っているわけで、仕上げの仕事で塗装業者がリーダーシップを執るのは当然である。当会の原点もそこにあり、良い仕事をして良い作品を残していくことを念願している」と述べた。

 引き続き、多数のメーカー来賓を招いて盛大に懇親会を開催。山岸幸一近庄化学社長の発声で乾杯したあとなごやかに歓談した。

■マンションリフォーム管理者研修 富士教育訓練センターで実施

 富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)は、「省エネルギー」、「長寿命化」、「シックハウス対策」などを目的とするマンション集合住宅等のリニューアル・リフォーム需要に対応するため、現場施工管理技術者の知識と資質の向上を通して、マンション管理組合・居住者との円滑な調整業務を行える人材を育成する「マンションリフォーム管理者研修」を実施する。
対象は、1級建築施工管理技士または実務経験5年以上の現場施工管理者。
講師は太陽(埼玉県さいたま市)阿部真一郎取締役と、バウ・トラム(神奈川県横浜市)西川寛代表取締役。

 期間:
8月23〜28日 10月25〜30日の各6日間。
 募集人員:各10人
 費用:教育訓練負担金6万円、宿泊食事代2000円(同センター会員以外は3600円)×6日=12,000円、
     合計7万2000円
 問い合わせ先:電話0544−52−0968、FAX0544−52−1336
           教育訓練課(担当・小松原、高村)。


【リフォーム概論】 マンションリフォームの要点
▽管理組合と住人折衝
▽リフォームとトラブル
▽経年変化と診断

【施工計画書と見積り】 仮設計画
▽既存部と新設部の責任分界点基準
▽責任保証体制
▽創意工夫とVE提案
▽施工計画と特記事項
▽施工範囲と見積り範囲
▽工期と施工可能日

【外壁診断法】 工法別外壁診断
▽経年劣化の判断
▽下地処理法
▽長寿命化対策と診断
▽新工法採用の問題点

【建築設備】 給排水設備
▽電気・ガス設備
▽空調冷暖房設備
▽消火・排煙設備
▽昇降・避雷設備

【居住者と施工者の調整】 工法と騒音・振動
▽建設公害
▽休日作業
▽施工上のクレーム対策
▽施工管理体制
▽テスト・モデル施工
▽技能者のマナーと挨拶
▽居住者と近隣対策

【新工法その他】 新工法・新素材
▽新工法と保証(補償)体制
▽その他

■マ協連 リフォーム工事における廃棄物処理
リフォーム推進協・菊池氏が講演

 (一部既報)マスチック仕上性能管理士更新研修会で、住宅リフォーム推進協議会の菊池宣明氏は「リフォーム工事の廃棄物処理」のテーマで講演した。講演要旨は次の通り。

 不法投棄件数は、平成10年度までは年々増加しており、13年度は投棄量は減少したが投棄件数は増加、14年度は逆に投棄件数は減少したが投棄量は増加している。不法投棄の中で建設廃棄物が占める割合は71・5%で、内訳はがれき類が41%、木くずが12%、その他建設廃棄物18などとなっている。実態調査報告書によると、廃棄物処理法について「知らない」「よく理解していない」が33%を占め、首都圏、関西圏では認知度が高いが、中京圏では低い。リフォーム工事から出た建設廃棄物は、排出業者(元請)が処理する義務があり、協力業者に依頼することは違法である。元請業者は、収集・運搬業者、処理・処分業者とはそれぞれ業務委託契約を結び、廃棄物の分別回収に努め、マニュフェストはその都度交付し、管理する必要がある。

 実態調査報告書によると、廃棄物の運搬は、「自社に持ち帰る」「収集・運搬業者に依頼」が各3割、「自社で中間処理施設へ持ち込み」が2割、その他(協力業者持ち帰り)が2割弱となっている。

 廃棄物の保管は、「自社持ち帰り保管」が45%と多く、「協力業者持ち帰り保管」(16%)、「元請業者持ち帰り保管」(3%)は少ない。分別は72・5%が行っており、マンション関係より戸建関係、都市部より地方の方が良く分別を行っている。保管後の処理は、「収集・運搬業者に依頼する」が65%、「焼却炉等で自家処分(野焼き)」は5・7%。「自社で処理施設に搬入」は首都圏では少なく、地方ほど多い。

 収集・運搬業者との契約率は、全体では52・5%。業種別ではゼネコンが高く、設備系が低い。処理業者との契約率は53・2%。地区別では首都圏、関西圏での契約率が高く、地方は低い。廃棄物の処理費用は、トン当たり平均3万7382円。地区別では、中京圏が他地区に比べて高い。

 マニフェストの交付は、37・8%がなされていない。回収管理状況は、交付状況と同様に33・7%が管理されていない。ただし、いつも交付している業者では97・2%が管理されている。マニフェストは、元請業者が交付し、収集・運搬業者、中間処理業者、最終処分業者から回収・保管する必要がある。D票は90日以内、E票は180日以内に戻るはずであるが、戻らない場合は不法投棄の可能性がある。