◆日本塗装時報 2005年7月18日発行 1828号掲載記事◆

■「建設塗装基幹技能者」 日塗装が新制度の創設へ

 日本塗装工業会(河野玉吉会長)は、このほど「建設塗装基幹技能者」制度の設立に向け、その骨子をまとめた。

 基幹技能者育成制度は、国土交通省が定めた「基幹技能者の確保・育成・活用に関する基本指針」に基づき、すでに専門工事業14業種20団体で創設されている。基幹技能者は、上級職長に位置づけられ▽現場の状況に応じた施工方法等の提案、調整▽現場の作業を効率的に行うための技能者の適切な配置、作業方法、作業手順等の構成▽生産グループ内の一般の技能者の施工に係る指示、指導▽前工程・後工程に配慮した他の職長との連絡調整(同指針)―などの役割が期待されている。

 日塗装では、今後の専門工事業に同制度が必要不可欠と判断し、「建設塗装工事業における技術開発計画」を策定、具体的な教育制度をまとめた。なお、建築と土木両分野における塗装全般をカバーするため、名称を「建設塗装基幹技能者」とした。
 受講資格は、1級建築塗装技能士の資格を持ち、かつ10年以上の建設塗装実務経験、および3年以上の職長経験が必要。講習は2日間で、テキストによる集中講義を行う。

 同資格者の優遇策としては、会員会社で資格手当などで処遇するようPRするほか、▽建設マスター推薦基準に含める▽発注者に対する基幹技能者の認知▽基幹技能者データベース化の推進▽専門工事業における基幹技能者の資格認知―などを推進していく。。

■フレックススウェード 見本帳を作成

 日本塗装工業会とスズカファインが共同開発した高意匠形内装仕上げ工法「フレックススウェード」の見本帳=写真=がこのほど作成された。
 同工法は、すでに各支部で研修会を開催し、883人(5月末現在)の施工技能者が認定されている。
 住宅・店舗・レストラン・学校・ホテル・福祉施設など、幅広い用途の新設塗り替えに使用でき、スウェード調の高級感ある仕上がりが得られる。ビニールクロスを貼った壁面に直接施工でき、環境対策にも役立つ。
 意匠は、用途に応じて「刷毛ランダム」「ラグローリング」「砂骨材植毛ローラー」「木目調」などがある。
 特長は▽VOCをほとんど含まない▽原料に臭いの少ないものを選び低臭化を実現▽F☆☆☆☆で内装仕上げの制限がない▽汚れがついても濡れ雑巾などで簡単にふきとれる▽防カビ性能に優れる―など。

■日塗装 新納霊者供養式行う 塗装ゆかりの青木山本覚寺で

 (社)日本塗装工業会(河野玉吉会長)の平成17年度(第28回)新納霊者供養式が7月6日午前、横浜市神奈川区高島台の青木山本覚寺で営まれた。
 青木山本覚寺は、横浜港開港時、アメリカ領事館として初代領事ハリスが駐在、境内に建立された交易談判所への塗装が、わが国の洋式塗装の始まりとされている。この本覚寺に、昭和53年、同会は全国塗装業者合同慰霊碑を建立。以来、毎年合同供養式を行い、全国の塗装業界物故者の霊を合祀している。
 式では、まず北野紘一合同慰霊碑運営委員長が「昭和53年、法人化30周年時に建立されたこの慰霊碑も、早いもので、28年を迎えることになった。塗装業界の礎を築いてこられた多くの方々がここに眠っておられる。さらに本年も12名の皆さんをお送りすることになったが、先に納霊され、ここに眠る方々と共に、静かにお休み下さいますよう祈念するものである。その塗装業界も激動する社会の中で、低価格受注と経営基盤への影響など、以前とは違った厳しい試練に直面して、気持ちにも余裕が持てず、反省することの多い昨今である。しかしながら、本日のこの供養式を機に、ここに眠る先人達の遺徳を偲びながら、暖かい心を思い起こし、改めて人間性豊かな社会構築に寄与することができれば、この上ない喜びである。その業績を次代に継承することを使命として、ささやかながらその遺業に報いていきたい。塗装業界の嚆矢(こうし)として、由緒ある本覚寺の境内に業界の先達を合祀し、この慰霊碑をお守りくださっているご住職には衷心よりお礼を申し上げるとともに、この慰霊碑を全国業界の皆さんでお守りくださるようお願い申し上げる」とあいさつ。
 導師による読経のあと全員で焼香した。
 最後に河野会長は「納霊者は今年新しく12柱を加え、慰霊碑建立以来1128柱を数えることになった。私たち建設業界を取り巻く環境は、まだまだ厳しい状況にあるが、私たち自身が優良施工をもって社会の信頼に応え、引き続き塗装工事業の社会的地位の向上および会員各社の発展に一層の努力をすることが必要不可欠と信じている。先人の遺された偉業に敬意を表し、その教訓を深く胸に刻み、会員が一致協力して努力を続けることを慰霊碑に誓い、先人各位に報いたい」と締めくくった。
 このあと、境内で記念撮影を行い、全員で慰霊碑に焼香した。

■災害のない職場づくりへ 竹延が安全大会を開催

 竹延(竹延信社長)は6月23日、大阪市都島区の太閤園で、平成17年度安全大会を盛大に開催した。

 開会にあたって、竹延能和副社長は「近年、『災害を引き起こせば仕事が無くなる』とも言われている。当社は毎年健康診断を実施し、品質に関しても事前検討、勉強会により一層の向上を図っている。環境についてもメーカーとともに水性化に取り組んでいる。産廃にも適切な処理を実現しており、残すところ、いかに個々のヒューマンエラーを防ぐかが課題である。万全の設備があっても、現場で作業するのは皆さんであり、安全意識のなお一層の向上をお願いする」とあいさつ。

 竹延信社長は「当社は技術的な品質、工程、コストに関しては同業他社に負けない自信がある。しかし、安全に関しては皆さんにもう一度考えていただきたい。安全大会を機に、7社のゼネコンさんから会社と現場の職長に安全表彰をいただいた。とりわけ鹿島建設さんからは光栄にも社長表彰をいただき、先代社長の仏前に報告させていただいた。これも皆さんのお陰と深く感謝している。
 私たちは仕事柄、有機溶剤を使うが、まず原点に戻って溶剤の管理、保護具の着用を徹底し、塗装のプロとして、事故は絶対に起こしてはならない。また、外部で作業をする場合は安全帯を着用するのが義務であることを再認識してほしい。各ゼネコンさんごとに独自のルールを持っているが、基本は同じである。
 私どもも安全管理計画書を毎年つくり、それに従って安全パトロール、健康診断を実施している。今年からは、特に品質と安全の確保を図り、営業・工務が共同でパトロールを行い、全ての現場をチェックしている。
 これから暑い日が続くが、熱中症にはくれぐれも用心していただきたい。仕事も工期も厳しいが、体調が悪ければその日は働かないという勇気も必要である。今年は、年頭にあたって『健康第一』『クレームを出さない』『事故を起こさない』という目標を立て、社内に衆知徹底を図った。常に余裕を持って作業に取り組み、安全に万全の注意を払い、無事故で来年の安全大会を迎えたい」と述べ、安全管理の徹底を訴えた。
 来賓の鹿島建設関西支店・向山明夫安全環境部長、高田巧也建築工事管理部長から祝辞が述べられたあと、安全功労者を表彰した。
 続いて、中央労働災害防止協会・松下和彦氏が講師となり、「現場の安全管理」をテーマに講演した。
 最後に、職長を代表して、茶谷大氏が立ち、全員で『安全宣言』を読み上げ、安全を最優先に作業することを確認した。

■日塗装 第20回全国建築塗装技能競技大会 9月20、21日京都・パルスプラザで

大賞の部 新課題に木目調仕上げを採用

 第20回全国建築塗装技能競技大会(日本塗装工業会主催)は9月20、21の2日間、京都府総合見本市会館パルスプラザで開催される。今回は日塗装京都府支部の設立50周年記念事業として京都で初めて開かれ、全国10ブロックの地区予選を勝ち抜いた大賞の部26人、新人賞の部26人、合計52人の選手が塗装技能日本一を目指して腕を競う。環境と意匠への関心が高まる中、前回から新しい塗装仕上げとして「フレックススウェード」を競技課題に導入。今大会では、初めて採用された大賞の部「木目調仕上げ」、新人賞の部「ラグローリング仕上げ」も注目されるところだ。
大賞の部出場選手

【北海道】観野勝裕(28歳・北海塗装工業)▽沢田直嗣(28歳・ひだの塗装工業)
【東北】杉本智(40歳・秋田・田口塗装工業)▽酒井貴司(28歳・山形・酒井塗装所)
【関東】由利栄太郎(45歳・茨城・園部塗装工業)▽原英治(32歳・長野・原塗装工業)
【東京・神奈川】川島清太郎(30歳・東京・川島塗装)▽前川隆広(24歳・東京・中村塗装店)▽尾崎雅生(28歳・神奈川・露木塗装店)▽遠藤雄二(26歳・神奈川・アイシン)
【北陸】越村寿美夫(30歳・石川・沖田塗装)▽山本利光(55歳・福井・三優社工業)
【中部】豊田貞道(34歳・愛知・乃一塗装工業)▽濱田明亨(34歳・三重・ペン益塗装店)▽清水利樹(43歳・岐阜・清水塗工)
【近畿】中橋秀次(27歳・大阪・五十嵐塗装店)▽伴英雄(30歳・京都・ARACO)▽竈直孝(29歳・兵庫・明石塗装店)▽坂本隆宏(33歳・奈良・カラービケン)
【中国】山本隆(36歳・島根・岡田塗装工業)▽大田誠次(32歳・山口・赤崎興産)
【四国】田中充(27歳・徳島・山水塗装)
【九州】井出貴光(30歳・福岡・成清塗装)▽川上裕史(37歳・熊本・アダチ塗装)▽田中軒二(49歳・大分・佐藤塗工)▽前田明広(43歳・鹿児島・木場塗装)

新人賞の部出場選手

【北海道】沢木巧馬(27歳・たの塗装工業)▽石井建(22歳・瀬尾塗装部)
【東北】佐藤智樹(25歳・秋田・ナガト)▽渡部和也(22歳・山形・カトペン)
【関東】横山弘樹(24歳・茨城・横山塗装店)▽金作宏光(24歳・埼玉・西浦塗装工業)
【東京・神奈川】立川順一(25歳・東京・佐藤興業)▽阿川祐樹(24歳・東京・阿川塗装店)▽千葉晶(27歳・神奈川・サカクラ)▽酒井義典(24歳・神奈川・吉川塗装工業)
【北陸】大家慎吾(23歳・石川・萩野塗装)▽川端裕治(23歳・福井・羽生塗装)
【中部】安田明広(30歳・愛知・清水塗工店)▽加藤亮(29歳・静岡・伊藤塗装店)
【近畿】柿森健吾(26歳・京都・小室塗装店)▽和田大輔(23歳・京都・福永塗装店)▽今堀進(23歳・大阪・石渡康三郎塗装店)▽和田口健(24歳・大阪・竹林塗装工業)▽福嶋広孝(24歳・和歌山・福嶋塗装)
【中国】羽鳥啓紀(24歳・岡山・松岡塗装)▽松下直道(25歳・広島・マツシタ)
【四国】藤原哲也(17歳・香川・氏原塗装)▽井上太一(27歳・愛媛・ナテック)
【九州】福川祥史(27歳・福岡・成清塗装)▽落合英人(27歳・熊本・落合建装)▽長友悠介(22歳・宮崎・嶋末塗装店)

【会場】
 京都市伏見区竹田鳥羽殿町5、京都府総合見本市会館パルスプラザ(電話075・611・0011)
【スケジュール】
9月20日(火) 午前9時〜9時30分開会式▽9時30分〜12時競技▽12時〜12時45分休憩▽12時45分〜17時30分競技▽
9月21日(水) 9時〜11時30分競技▽11時30分〜12時後片付け▽14時30分〜16時30分表彰式

■第30回オートサービスショー 塗料各社が出展

 日本最大の自動車整備関係の展示会、「第30回オートサービスショー2005」が6月17日〜19日の3日間、東京ビッグサイトで開催され、約10万人が来場した。
 塗料業界からは、イサム塗料、関西ペイント販売、久保孝ペイント、大日本塗料、デュポン、日本ペイント、BASFコーティングスジャパン、ロックペイントが出展した。

 イサム塗料では、「AXUZ(アクアス)」、「MIRKA(ミルカ)サンディングシステム」のデモなどを行った。昨年発売されたミルカサンディングシステムはメッシュ状のペーパー「アブラネット」と専用の「ダブルアクションサンダー/バキュームクリーナー」の組合せで、研磨中の粉塵をほぼ100%吸塵できるもの。デモでは、来場者のジャケットを借り、研磨している下に置き、粉塵がジャケットに付着するかという大胆な試みがなされたが、全く粉が付着せず、来場者を驚かせた。
 関西ペイント販売のコーナーでは、環境対応型上塗り塗料「レタンPGハイブリットエコ」「レタンPGエコクリヤーHXシリーズ」などを展示。
 大日本塗料は、人と環境に配慮した「ECOシリーズ」と「SPS(スピード)システム」を中心に展示した。「ECOシリーズ」では、「ビューイングVクリヤー」、「アクアベース」「アクアウレタン」「プラサフマルチHB ECO」「スイフト2Kグロス ECO」などを出展した。
 日本ペイントは、自動車補修用の新しいブランドとして、環境配慮型の新塗装システム「イーキューブ」を発表した。
 ロックペイントは、「オートリフィニッシュシステム」を中心に、「クイックパテ」「ミラクルプラサフHB2K」「プロタッチ」「マルチトップクリヤー」などを紹介した。

■大阪塗料会館 日塗協が入札を告知

 大阪塗料会館は、(社)日本塗料協会(柴田學会長)の第57回総会で、売却が承認された(既報)。これを受けて、売却・入札の案内チラシを、日本経済新聞の大阪市中央区・北区・西区のエリアに6月20日配布した。
 入札の条件として、「現在のテナントの居室および貸室賃貸契約を継承すること」としており、同協会大阪事務所も引き続き同会館内にとどまる。
 入札結果は7月末頃決定する予定。