◆日本塗装時報 2005年8月18日発行 1830号掲載記事◆

■建設業労働者の融通 厚労省が運用指針案作成

  厚生労働省は、労働政策審議会の建設労働専門委員会に、「建設業務就業機会確保・事業」(確保事業)を行う建設業者の許可基準案と事業の運用指針案を提示した。
 確保事業は、建設関係団体業者間で、建設作業員を融通することを認めるもので、許可基準案では送り出し・受け入れ双方の業者の資格要件、運用指針案では建設作業員を融通する際に送り出し・受け入れ双方案は、送り出し・受け入れ双方の業者が所属する団体の要件などを規定している。
 建設労働専門委は許可基準案などの詳細を議論し、8月中に見解をまとめる。それを受け同省では、パブリックコメントを受け付けた上で、改正建設労働者雇用改善法を10月に施行し、確保事業を行う団体から実施計画の提出を受け付ける。
 厚生労働者の建設業務労働者就業機会確保事業に関する団体と、団体に所属する送り出し業者・受け入れ業者の主な要件は次の通り。

【団体】
 ▽構成員数30者以上で、8割以上の構成員の主業務が建設事業。さらに次の◆〜◆のいずれかに該当する者など。
 ◆民法第34条に基づいて設立された公益法人。
 ◆事業協同組合または協同組合連合会のうち、建設関連事業(労働者の能力開発など)を適正に行っている。
 ◆専任の職員を置くなど、事務組織かある。
 ◆設立5年以上。

【送り出し業者・受け入れ業者双方】
 ▽送り出す建設作業員I00入に1人の割合で雇用管理責任者を置く。
 ▽建設作業員の個人情報を適正に管理する。
 ▽基準資産額が、確保事業を行う事業所×1千万円以上。
 ▽基準資産額が負債総額の7分の1以下。
 ▽自己名義の現金・預金が、確保事業を行う事業所×800万円以上。

【送り出し業者】
 ▽送り出しを目的に労働者を雇い入れない。
 ▽送り出した建設作業員が、自社現場で働く建設作業員の5割を超えない。
 ▽苦情処理体制を構築する。
 ▽雇用保険・社会保険に加入させてから建設作業員を送り出す。加入していない場合は、理由を説明する。
 ▽送り出しが終わったことを理由に解雇しない。

【受け入れ事業主】
 ▽受け入れた建設作業就業条件を十分に確認する。
 ▽受け入れる予定の建・設作業員に対して、事前に面接を行わない。
 ▽建設作業員の性別を問わない。
 ▽契約期間満了前に契約を解除する際は、30日前に予告し、30日分以上の賃金を用意する。
 ▽苦情処理体制を構築する。
 ▽雇用保険・社会保険に加入させてから送り出すよう、送り出し業者に求める。
 ▽受け入れた建設作業員に対して、必要に応じ教育訓練を受けさせる。
 ▽受け入れる際に説明会を実施する。

■「人格を高め社会貢献を」 京美友の会

  京美友の会(今江清造会長)の第28回総会と全国京美友の会(実松春夫会長)の第16回総会は7月28日夕、京都・三条蹴上のウェスティン都ホテル京都で開かれた。
 冒頭、今江会長は「この1年さまざまな出来事があったが、友の会はお陰で歴史的建造物の保存会員に一部の方が指名され、また全国日本学士会会員にも多数の会員が入会され、仕事の面にも利用されたら幸いである。今後も厳しい情勢が続くと思われるが、力を合わせて乗り切りたい」とあいさつ。

 議事に移り▽04年度事業報告▽同決算報告▽05年度事業計画▽同予算案を承認した。
 任期満了に伴う役員改選では、正副会長以下、全役員が再選された。
【会長】今江清造【副会長】渡辺廣之▽酒井芳博【幹事】梅村幸男▽藤本進▽小室浩之▽玉村邦雄【会計】北村一三【監事】渡辺千秋▽森下富夫【相談役】岩根勝利▽福永史郎

 最後に、中川博京美社長は「今年こそ歴史的建造物保存会員と全国日本学士会の肩書きを大いに活用していただきたい。これからはゼネコンの仕事ではダメで、われわれが直接に最終需要家を相手にしていかなければならないという時代に入っている。京美友の会でも従来から塗り替えに取り組んでいたが、ようやくそういう時期を迎えている。一般の仕事は信用が一番大事である。良い仕事をして世間に認められたら、口コミで仕事が拡大していく。そのためには、本当に良い仕事をし適正な利潤を確保する必要がある。需要家に信頼されるためには、公的な肩書きが役に立つはずである。近江商人の経営哲学である『売り手良し、買い手良し、世間良し』の『三方良し』の言葉通り、世間の評判さえ良ければ、仕事は次から次に来ると思う。それを目標に皆さんと頑張っていきたい」と述べた。
 引き続き懇親会を開催。来賓を代表して日本ペイント販売近畿支店の上村支店長が祝辞を述べたあと、山岸幸一近庄化学社長の発声で乾杯し、なごやかに懇談した。

■建災防全国大会 10月13〜14日名古屋で

 建設業労働災害防止協会(建災防)の第42回全国大会は、10月13、14の両日、名古屋内で開催される。
 総合部会は13日午後1時30分から4時30分まで、愛知県体育館で開かれ、厚生労働省労働基準局長の講演や、田原総一朗の記念講演が行われる。
 日本塗装工業会では、専門工事部会と住宅部会の2つのシンポジウムに参加する。専門工事部会は14日10時40分から12時まで「専門工事業者が取り組むCOHSMS(コスモス)」のテーマで、住宅部会は同時間帯に「リフォーム工事の安全対策」のテーマで、それぞれ別会場で開かれる。

■国交省 施工体制を一斉点検 元下契約など確認

 国土交通省は、10〜11月に施工体制の一斉点検を実施する。
 施工体制については、専任の担当者や必要な有資格者が配置されていなかったり、施工体制台帳が無いなどのケースが少なくない。このため、国交省では、昨年度に実施した一斉点検の結果や、4月に施行された公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)などを踏まえ、一斉点検の内容を充実させる。
 本年度からは、新たに元請企業と下請企業の契約内容も確認。低価格入札案件については原則として全案件を点検対象とする。都道府県や政令都市にも同様の措置を講じるよう要請する。
 点検の際に建設業法違反などが見つかり、注意を喚起しても改善の見込みが無い場合には、地方整備局や都道府県などの建設業・許可部局に違反事例を通知する。インターネットやマスコミを通じての公表も検討する。
 8、9月にチラシやポスターなどを活用した事前周知を行った上で、10、11月に抜き打ちで点検を実施する。元請企業と下請企業の関係の適正化に向けては、一斉点検の際に契約が明確になっているかどうかなどをチェックし、「下請いじめ」が行われないよう指導する。

■電子調達・入札が本格化 その対応への準備と注意点

 国土交通省は、昨年度をCALS/EC実施フェーズの最終年度とし、すべての直轄工事で電子入札・電子納品を全面導入した。こうした電子化のベースになるのは▽入札情報サービス(PPI)▽電子認証システム▽電子入札システムである。すでにこれらのシステムは確立され、「電子政府」「電子自治体」の実現に向けて、地方自治体の取り組みも進んでいる。以下では、電子調達・電子入札に対応するためのポイント、注意点をまとめてみた。

「コアシステム」が標準に

 国土交通省が実施している電子入札システムは、JACICなどが開発した汎用性の高い「コアシステム」で、法務省、財務省、文部科学省、農水省、阪神公団、都市再生機構などでも導入されている。
 このほか、42の都道府県、13の政令指定都市で導入または導入予定が決まっており、2010年までには全ての中央官庁・地方公共団体で電子入札の全面導入が完了する。
 電子入札の流れは▽入札情報サービス(PPI)を使った発注情報の公表・入手▽(入札参加者)競争参加資格確認の申請▽(発注者)資格の確認▽(入札参加者)入札書提出▽(発注者)入札締め切り・開札▽(発注者)落札者決定通知書の受理▽入札結果の公表―となる。
 電子入札に参加するには、コアシステム対応認証局が発行した電子証明書(ICカード)が必要で、競争参加資格確認から開札まで同じICカードで実施する。

準備には2か月必要

  電子入札に参加するのに必要なものは▽パソコン▽インターネット回線(ADSL以上)▽電子証明書(ICカード)▽ICカードリーダー。
 このうち、ICカードは、コアシステム対応認証局(日本電子認証、NTTアプリエ、東北インフォメーション・システムズ、帝国データバンク、日本商工会議所、ジャパンネット、四国電力、中電シーティーアイ、ミロク情報サービス)で販売している。価格は1年1万円〜1万5千円程度。1枚のカードでコアシステム対応の全ての発注機関の入札に参加できるが、各発注機関への登録はそれぞれ別個に行う。
 ICカードを入手するには(帝国データバンクの場合)▽利用申込書▽在職証明書▽利用申込者の住民票▽利用申込者の印鑑登録証明書▽所属組織代表印の印鑑証明書▽商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が必要である。
 電子認証局の選定から、必要書類の準備、申し込み、受け取り(約2週間後)、セットアップ(ICカードリーダードライバおよびソフトのインストール、JAVA実行環境のインストール、発注機関の追加など)、操作手順の確認・練習などを含めると、準備期間は約2か月程度必要となる。
 なお、e−biscセンターのホームページ(http://www.e-bisc.go.jp/)では、ウェブ上から電子入札操作方法の疑似体験ができる。

工事実績情報サービス 「CORINS」とは?

  日本建築情報総合センター(JACIC)が提供しているCORINS(コリンズ=工事実績情報サービス)とは、公共工事の施行実績情報をデータベース化し、公共工事発注機関及び建設企業に情報提供サービスを行うもの。
 工事の発注にあたって公共工事発注機関では、入札・契約手続きの透明性、客観性、競争性を一層高め、公平な評価により信頼のおける建設企業を選定するため、CORINSの活用を促進していいる。
 CORINSに登録することは、会社の施行実績や技術力、施行能力をより多くの公共発注機関にアピールすることになり、工事の受注機会を広げることができる。
 登録の方法は、インターネットを利用した「オンライン登録」とFDを送付する方法がある。オンライン登録は、パソコンから短時間で直接工事カルテを登録できる。
 登録料金は、500万円以上2500万円未満の工事が2940円、2500万円以上の工事が9030円。JACICでは代行登録(有償)も行っている。

【インターネット登録の方法】
 登録の手続きは▽CORINSホームページで新規申請▽パスワードの設定、会社情報の入力▽申請用紙の印刷・送付▽電子証明書ホームページアドレスの送付、ユーザーIDの発行▽電子証明書の発行▽工事カルテのオンライン登録開始。
 インターネット登録に必要なものは次の通り。
▽オンライン登録システム
 CORINS入力システムVer6。販売価格は11万500円(マニュアル3冊、CD−ROM1枚セット)。入手方法は、JACICにFAXで申し込むか、JACIC地方センターで直接購入する。
▽ユーザーIDとパスワード
 インターネット登録の利用申請を行うことにより取得できる。
▽JACIC発行の電子証明書
 登録データを「改ざん」や「のぞき見」などから守るために必要なもの。JACICの「企業向けインターネット利用申請」のページから、インターネット登録で利用するパソコンにインストールする。

■木工塗装入門講座 東京・大阪で開く 木材塗装研

 第17回木工塗装入門講座(木材塗装研究会主催)が6月24日東京塗料会館、7月15日エル・おおさか南館で開かれ、家具メーカー、木工塗装・建築塗装業者、試験機関、塗料原料・塗料メーカー関係などから、両会場合わせて101人が参加した。
 今回のテーマは▽「塗装から見た木材の性質」(講師・鎌田賢一元ユニオンペイント技術部)▽「着色剤と着色方法」(長澤良一キャピタルペイント東京出張所長)▽「塗料の種類と性質」(川村二郎川村木材塗装技術事務所)▽「水系塗装の現状と将来」(杉野克美玄々化学工業研究開発グループ)▽「塗装の工法と方法」(村田明宏岐阜県生活技術研究所専門研究員)▽「塗装・塗膜欠陥の原因とその対策」(大隅豊康ヤマハリビングテック研究開発部)。
 アンケート結果によると、木工塗装の基本や水系化の問題が良く理解できたと好評であった。