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◆日本塗装時報 2006年1月1日発行 1835号掲載記事◆
各団体長の年頭あいさつ
日本塗装工業会 日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 日本塗料工業会 日本塗料商業組合
日本塗料協会 マスチック事業協同組合連合会 都市再生機構 日本建築仕上材工業会
       

社会の信頼に応えて  社団法人日本塗装工業会 会長 河野 玉吉

 早いもので、会長に就任して2回目の新年を迎えましたが、年度末に向けて本会で展開している諸事業のまとめに入っているところです。
 振り返りますと、日本の景気は回復基調にあるといわれていますが、建設業、特に専門工事業団体はまだまだ苦しい状況にあります。
 このような状況の中、私ども日塗装は「社会ニーズを満たす諸施策の展開」「建設産業の一翼を担う新しい専門工事業の確立」「会員企業の健全な発展に資する事業」に取り組んできました。
 戸建て住宅リフォームシステム「ペインテナンス」の取り組みは、種々問題の多い戸建て住宅の塗り替えを、「日塗装で保証する」安心システムです。このシステムは6年間の実績があり、年々施工件数が増加していますが、トラブル皆無であることが、本会会員の技術・技能の確かさを示しています。
 人材育成では、施工管理者教育を実施し「自主品質管理」をできる体制を創り上げていますし、特に今年度は「建設塗装基幹技能者制度」を立ち上げました。この制度で認定された技能者は最高位として位置づけられ、より顧客に満足して頂ける塗装仕上げを提供させて頂きます。
 新工法では「フレックススウェードエ法」を開発しました。この工法は内装用で、暖かさを感ずるスウェードタッチで意匠性に優れた仕上げを提供する工法です。
 特に昨今の環境問題を考えたとき、室内に多用されているビニルクロスを剥がさずに、この上から塗装できる工法ですし、塗料は居住者に優しい塗装設計(水系)になっています。
 当工法も安心施工のため、本会が主催する「フレックススウェードエ法技能研修」を受けたものだけが施工できるシステムになっています。技能・技術を研鑽し、これらを競う場である「全国建築塗装技能競技大会」の正式課題にもなっています。
 本年、2月15日には「第8回塗装技術研究発表会」が「建築会館(東京:田町)」で開催されます。技術委員会が2年間かけて研究してきた成果が発表されます。是非多数の方に聴講頂ければと思っています。
 その他、会員企業の後継者を養成する「後継者研修」や生活環境改善のための「らくがきなくし隊」活動、日塗装を広く理解して頂くための広報活動など様々な事業を推進しています。
 本会は、業界を取り巻く環境が厳しい中、技能・技術をより高め、各種環境問題に配慮し、十分な品質管理に基づいた施工を行ってまいります。
 今後とも、社会の信頼に応えながら、会員企業の経営基盤安定のための事業を率先して推進してまいります。
 皆様方の絶大なるご支援・ご指導を切にお願いするところです。

公共工事品確法に対応  社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 会長 本山 蓊

新しい年の始めに当り、平常ご支援ご指導を賜わっております皆様方に対して、ご健勝とご発展を心からお祝いと喜びを申し上げます。更に、今年も一段と御厚情を賜らんことを御願い致します。
今年も干支でみますと丙戌(ひのえ、いぬ)で丙は気運が活性化し、生命は萌え躍動し、世の中も活気が出、人も活発に動くと云われています。しかし戌は動物としては誠実な忠犬ですが、支としては陽気が地中に下がり万物枯渇に移るという、大変難しい年であることを表現される様です。
昨年は総選挙、その他の社会の事件は大変な年で、構造改革は政治、経済全般に及んで、まさに戦国時代末期の様想を呈しました。この事態を終収し、天下泰平、万民平穏の世が早く来ることを望むものです。
新しい年は、そしてまた、我が国にとって高年齢化少子化社会の第一歩、人口減が始まった時代の第一歩です。しかし、それに対して新しい未来社会がみえなくて模索している様にも見られます。そして新しい社会を早く目指して新ルネッサンスや第二産業革命の成立
に向かわなければと思います。
新しい社会には、それを支える社会資本、インフラストラクチャが完備しなくてはなりません。この意味でも今後共、社会資本の充実のための公共事業を進めねばならないと思う所です。国土開発は国土整備として、公共事業に関しての問題は昨年は色々ありましたが、所謂、品確法の制定施行がありました。これは前に制定された適化法と共に公共工事の入札契約制度の取まとめとも云える法令で、これによって独禁法違反やダンピング等の防止等、従来の暗部が一掃されるものと思われます。そして、明治以来の直轄直営工事が請負工事となって約40年にしてやっと欧米先進国並の契約制度になったことを喜ぶものです。眞の意味の技術力(良い物を安く、早くの三原則)の競争入札になる事を念じて止みません。
今年は協会創立40周年となります。私が若かりし二階代議士と共に協会創立(当時は日本鋼橋塗装専門会)をお手伝いした時を振り返り、改めて本協会が長年にわたり橋梁塗装分野で果たしてきた役割の大きさと責任に身が引き締まる思いが致します。
平成18年度は品確法(公共工事の品質確保促進法、直轄工事の品質確保促進に関する基本方針)の本格施行をうけて公共工事の入札契約が様変わりすることになります。当協会が対応する土木構造物に対する塗装工は主として社会資本における橋梁その他鋼構造物さらにはコンクリート構造物等の公共施設であって、そのほとんどは公共事業の一部門であり、公共施設の維持補修等管理工事であります。品確法については会員には周知しておりますが、この拡大に対応して、関連委員会などを通じても討議を重ねこの変化に連やかに対応していくことにしております。
ある国土交通省幹部の言を借りますと、この方式が徹底されると公正取引委員会に談合の疑いがもたれることがなくなり、しかもダンピングなども実際できなくなることになり、技術面、工事面で木当の競争が始まることになります。正確な情報とわが国唯一の技術協会としての団体優位から会員の優位性は一段と高まれば協会の存在意義が再認識されることになります。国民の財産である橋梁や水門をまもるにふさわしい会員会社が責任ある工事をすべきであるとの観点から推進したいと考えます。問題になっている建築不良設計については国会でもとりあげられるなど国民の監視は厳しくなり建設品質の面で土木工事にも大きく影響するはずです。
ではどうやって国民や発注者に信頼して貰うか、どのようにして信頼できる会社を選ぶか。技術を大切にする素性の明らかな本協会会員を選ぶことがもっともわかりやすい、説明しやすいはずです。協会に入ることが当たり前の時代もありましたが今は会員であるか
否かはもちろん自由です。しかし協会は説明責任がありますから会員名を発注者にはっきり示し、会員企業に所属する技術者だけに協会研修させるなど改善する必要があります。橋梁塗装件数が減少している現在では、もう橋梁塗装は協会会員だけに任せていただいて
も良いのではないでしょうか。もちろん、重要な塗装工事を任される会員には社会的責任や国民から期待される役割を果たすことが求められますが、十分に対応できるでしょう。技術的には近く行われる技術基準(便覧)の改訂に対応して高塗着スプレー工法の直轄工事への展開や低コストヘの取り組みによって発注者の理解を高めることにしております。
会員は品確法を良く理解対応する可く努力しており、また本年度全面施行なるCALS、ECの電子入札、納品についても良く指導しています。そして、「塗装工」は単なる防錆、防食対策では無く、土木構造物の表面防護工として本体の老化、劣化を防止して、財力等永年の維持に保たせようとしており、特に外観の美観等の環境対策に資する様にしなければならない責務と考えています。
社会資本に対しては新しい施設の建設は勿論、今後は現在の施設の機能維持、あるいは改善を考える維持管理体制のアセットマネージメントが進められていますが、我々はその一端とし橋梁点検に「塗装工」として参画したいと思っており、そのシステムを立ち上げなければなりません。同時に前にも述べた様に構造物の表面保護工として塗装工を位置づけ、専門技術として建設コンサルタント業務を行いたいと思っております。
平成18年度の事業については次のように重点化を行います。
@平成17年10月までに入札契約の目玉である総合評価方式項目について塗装工事面から提議し全地方整備局長へ要望しました。これからも塗装工事の入札の動向を注視し、必要なことがらを提案します。
A新しい入札契約へ的確に対応できるよう会員を支援します。同時に会員名を発注者にはっきり示し、会員の受注割合が増えるように側面から援助します。
B国、自治体塗装工事について工事件数の拡大と予算面の強化を要望します。
C高速道路会社塗装工事については、業界を代表する団体として塗替えの重要性を訴えます。会社が求められる低コスト工法や長寿命に役立つ新技術を提案します。なおこの工法は特許によって会員だけが施工できるものを考えています。
年頭に当たり、皆様の今年に於いて増々の御愛顧、御支援をお願い致します。宜しく。

VOC規制への対応を  社団法人日本塗料工業会 会長 小林正受

新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、良い新春をお迎えになられたことと存じます。
旧年中は、社団法人日本塗料工業会の活動に格別のご理解とご支援を賜り、誠に有り難うございました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
昨年を振り返りますと、愛知万博や衆院選挙など様々な出来事がありましたが、経済においては、個人消費、住宅建設、設備投資などの国内民需が上向きに転じたことや、中国をはじめとするアジア諸国の経済が著しく進展したこと、また、好調な米国経済などに支えられ、緩やかな景気回復が続きました。
このことから、塗料需要もおおむね回復傾向にあり、塗料製品の出荷金額は若干上昇いたしましたものの、原油価格高騰に起因する原材料価格の上昇とその高止まりから、業界全体として収益が大きく圧迫される結果に立ち至りました。今年も、米国などの海外経済や原油価格の動向など不透明であり、塗料業界を取り巻く環境は予断を許さない情況が続くと考えられます。
当工業会は、現在、14の委員会と14の部会ならびにワーキンググループ等を設置し、幅広い事業活動を進めておりますが、特に今年の重要案件として次の3点に続って述べさせて頂きます。
先ず第一点は、当工業会の最重要課題として位置づけています「塗料業界の環境問題への取り組み」であります。環境への負荷を小さくして経済発展を遂げるという持続可能な社会を実現するために当工業会としても努力しなければなりません。特に、塗料業界に深い関係のあるVOC規制については、改正大気汚染防止法が本年4月1日より施行されますが、当工業会としましては、会員会社の事業所からの排出量に関して、平成12年度を基準年として平成22年度に30〜35%の
削減を目標にしております。また、この他に塗料・塗装からの排出量として、平成13年度を基準年として平成20年度に30%削減、平成22年度に50%削減という自主抑制目標を掲げています。これらの取り組みを業界として実行していかねばなりません。
二点目は、「当工業会の組織と事業の全体の見直し」についてです。塗料産業全体の持続的発展をめざす公益法人としての基盤強化のために、活動の効率化と各種事業の更なる推進強化を図るべく、組織と事業の見直しを行います。
三点目になりますが、本年は、「第4回ペイントショー2006」が4月6日〜4月8日の3日間、東京ビックサイトに於いて、「くらしを彩るペイントテクノロジー」というテーマで開催されます。本プロジェクトは、塗料・塗装業界4団体が塗料・塗装の社会的地位向上と普及を目的として、4年ごとに開催する国内最大の塗料・塗装の祭典です。人々の生活環境に不可欠な色彩提供産業として、また塗料産業の果たすべき真の役割をアピールするため、業界の総力を挙げてのイベントであります。たくさんのエンターテインメント・プログラムも用意しておりますので、皆様のふるってのご参加をお待ちしております。

塗料需要の拡大を  日本塗料商業組合 理事長 大川 馨 

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、ご家族お揃いで希望に溢れる新春をお迎えになられた事と拝察いたします。この新しい年が皆様にとりまして大変豊かで、充実した1年で有ります様に、心よりお祈り申し上げます。
 昨年は、愛知万博が大成功を収め、また、皇室においては紀宮様の御成婚などの明るい話題があった一方で、建築業会においては、アスベストの被害状況が大きく報道され、それに加えビルやマンション等の耐震強度偽造問題が発生し、基本的な生活の安全や健康などの根本を脅かす大きな問題としてクロ−ズアップされました。その他、忌まわしい事件も年末に起こっており、何か混沌とした世相を示しております。
 さて、本年は戌年であります。戌は安産の守り神とも言われておりますが、「勤勉」「努力家」を表しているそうでございます。確かに本部事務所が所在する渋谷区には、その本尊ともいえる忠犬ハチ公がおりますが、何時の世も勤勉と努力が求められている様でございます。
 さて、政治の面では郵政民営化法案問題で衆院が解散され、その是非を問う選挙で自民党が圧勝し、それに合わせたかの様に、株価も上昇し、円安と相まって景気の回復基調に力強さが増し、デフレ状態からの脱却の光が徐々に鮮明に感じられて来た年でありました。
 平成16年度に続き、建築着工金額や機械受注金額も前年度を上回って来ており、塗料の分野におきましても、日塗工の統計資料を見ますと生産数量、販売額共に同様の伸びを示しております。しかしながら、原油高騰の影響を大きく受けて減益を止む無くされたメーカーもあり、これからは製品値上げの浸透に努めるとのコメントが述べられております。
 今後、これらを如何に、我々販売業者が、売値に反映できるのか、利益を確保するのか、まだまだ厳しい営業活動が強いられることになります。今後の利益の確保にも不透明感がございますが、幸いに需要そのものも、持ち直しの気配でございますので、それが我々の経済活動の起動力にプラスの影響が与えられる事を期待したいと思います。
 最近、塗料業界の地位の向上が必要との言葉を、色々な場面で耳にします。
 それには需要そのものを増やす努力が必要であり、嘗てトムソーヤが白いペンキを塀に塗った様に、日常に子供もペンキ塗りを手伝うような、塗料がもっと身近な物になるような普及の努力を業界挙げて行わなければならないと考えます。
 取巻く環境基盤を見渡しますと、まだまだ塗料が必要とされている場面も多く、景観法が17年6月に全面施行されたように、環境色彩設計に基づいた地域づくりやセンス溢れる家並みによる、心豊かなライフスタイルを提供する事が求められております。
 加えて、スローライフが提唱されている今日この頃、高齢化社会への流れと相まって、地球に優しい活動が政府主導で国民運動として進められています。急ぎ過ぎたこの時代において、現実に地球温暖化の問題は、様々な気候異変をもたらしており、今や待った無しの時期になっております。
 環境の保護、美化を目的とした塗料業界においても、これまで以上に環境に配慮した活動が求められております。我々が取り扱う商品につきましても、環境を配慮した商品が多く上市されており、その機能を発揮した塗料を積極的に拡販すべきであろうかと考えます。
 また、業務の多様化による他業界との競争も益々激しくなるものと思われ、今後とも「色彩」「塗膜形成」「商品知識」は当然の事として、それに纏わる総合的な提案力を備えた専門商社としての体質の強化が一層求められる事になると思われます。これらを通じて、次世代へ夢を引き継ぐ魅力あるディーラーとなるべく、皆様のご研鑽をお願いする物であります。
 昨年秋の理事会は地震の復興支援もあり新潟県で開催致しましたが、地元組合員の皆様にも多くの方に参加をして頂き、皆様のご支援により有意義な会が開催され、組合員同士の結束の固さ、仲間の絆を改めて確認する事が出来ました。
 組合活動の面におきましては、昨年度より組織として位置づけされた全国10ブロックの、各地域に則した活動が活発化し、その声を本部に上げて頂くことにより、より信頼される組合作りを目指して邁進したいと考えます。また、委員会事業では、環境問題、EDI受発注の推進、関係法令の遵守など各委員の皆様の、活発なる活動に対しまして理事長として心より感謝申し上げます。
 また、それらの活動に対し関係各団体の皆様のご協力も頂いておりますことを、誌上を借りまして厚く御礼申し上げる次第であります。
 今年はペイントショーが開催される年でもあります。是非とも大きな景気回復の流れの中での、明るい雰囲気で、開催を迎えたいものであります。
 新年を迎えるにあたり、塗料業界の隆盛と、皆様におかれましては、健康で穏やかな日々を過ごされます事をお祈りし申し上げ、私の年頭のご挨拶と致します。

事業統合に向けて  社団法人日本塗料協会 会長 柴田 學

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 旧年中は当協会に対し格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
 昨年の世界経済を概観しますと、アメリカ経済は大型ハリケーンや原油価格の高騰の影響で一時は落ち込んだものの持ち直し、自動車以外の消費活動は堅調であり、拡大傾向を続けています。欧州(ユーロ圏)におきましては、EU憲法の発効の延期などがあるものの、
 昨年後半の景気回復が鮮明になり、本年にかけて緩やかな成長が続くものと見込まれております。中国は引き続き好調で、9%台の成長が見込まれるものの、今後の人民元の切上げ、不動産をはじめとする投資バブルの影響などの不確定要因もあり、加熱経済が、いかにソフトランディングするかに注目が集まっております。また、昨年の成長率が約8%と見込まれ、IT関連産業が好調なインド経済が脚光を浴びており、世界の企業のインド進出も増加傾向にあると言われております。 このように、世界経済全体では、原油価格高騰が落ち着きさえすれば、拡大基調を維持すると思われます。
 日本の経済は、アメリカ向け輸出の増加、中国などアジア向け輸出の復調および個人消費の緩やかな増加などを受け、昨年8月に政府と日銀は景気の「踊り場」脱却宣言を行いました。さらに、11月には、月例経済報告において、景気が「緩やかに回復している」ことを3ヵ月連続で据え置き、先行きも回復が続くとの見解を示しました。金酸機関での不良債権処埋が進み、低迷していた株価は外国からの投資もあり、日経平均で12月初めには15000円台を回復しました。しかし、国と地方を合わせた財政赤字は約1000兆円もあり、今後、景気の伸長および行政改革があっても、増税は避けられない見通しで論議されています。また、原油価格の高騰による経済への影響もまだまだ懸念されますが、本年は昨年来の景気回復の維持、促進に大きく期待するところであります。
 最近の塗料業界の動向は、経済産業省統計調査において、昨年4月から9月の累計で生産量、販売数量は少々低調ですが、販売金額はほぼ横ばいで推移しております。徐々に回復傾向と言われていますが、原油価格高騰に起因する原材料費上昇分の製品価格への転嫁は、まだ遅れているとの感があります。また、環境対応のための溶剤系から水系化への転換は進んでおります。日本の塗料産業も国際化が進み、海外生産が一層増加するものと推察されます。
 このような状況のもと、昨年、当協会では次のとおり「塗料と塗装の普及・啓発」活動の推進を図りました。
 「色彩提供産業」として第一に、カラーコーディネータ資格取得者の拡充を目標に、検定試験対策セミナーを、講師として1級資格者をも派遣して、1級(環境色彩)と2級を東京で、各塗料業界団体の協力を得て3級を東京と名古屋で開催しました。塗料業界での1級から3級までの有資格者は1000名を優に超えており、夫々の業務にその知識を生かして活躍いただいております。
 第二に、「グッド・ペインティング・カラー」は,第8回目を迎え引き続き経済産業省、国土交通省、東京商工会議所並びにエ業新聞社他の後援、関連団体の協賛もいただき、作品募集を行い、各地、各階層の方々から44作品の応募がありました。審査員の方々から、全般的に作品の貝が向上しているとの評価をいただいております。
 「環境をテーマとした講習会」
 第三に、昨年も官公庁、建築士の方々を対象とした「建築塗装諧習会」を企画し、最近話題となっている「ヒートアイランド現象緩和対策」と「景観と色彩」をテーマに、大阪、福岡、岡山で開催し、好評をいただきました。東京、名古屋でも本年2月に開催いたしますのでご参加いただきますようお願いいたします。
 「塗料と塗装の講習会」
 第四に、各支部で行う消費生活センター、シルバー人材センター、各種学校での講習会に協賛し、夫々のテーマに適応した講師の方々を派遣し、ビデオとテキストを提供し塗料と塗装のPRに努めました。
 「落書き防止・景観美化活動への支援」
 第五に、昨年は、関東支部において、東京都の治安対策課が実施された落書き防止・美観活動に協力すると共に、東京都発行の「落書き防止マニュアル」制作にも塗料と塗装の技術面での支援を行いました。また、名古屋、大阪での官民一体となった「落書き防止活動」にも協力しました。
 「各支部での塗料産業団体が行う塗装と色彩関係活動への協力」
 第六に、近畿支部業界団体他で行われた塗装と色彩関係の事業「大阪まちなみ賞」などにも支援と協力を行いました。
 本年は「第4回ペイントショー2006」の年を迎えます。現在、環境色彩面で一般消費者の方々に「塗料と塗装が優しいこと」を訴求するための企画を検討しております。
 最後に、昨年は重要検討課題の一つに「大阪塗料会館問題」がありましたが、昨年問催の第57回通常総会で売却を決議し、平成17年9月13日に売却いたしました。
 なお、既にご案内のとおり当協会は、社団法人日本塗料工業会との事業統合に向けて鋭意審議を進めておりますが、大阪塗料会館売却収入につきましては、今後の公益事業の推進と塗料産業界の発展に資するよう、その活用方法を慎重に検討してまいる所存でございます。皆様におかれましては、何卒ご理解いただき本年も引き続きご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 皆様のご健康とご活躍を祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。

飛躍の年へ  全国マスチック事業協同組合連合会 会長 山岸純一

 新年あけましておめでとうございます。
 皆様にはおそろいで明るいお正月を迎えられたことと存じます。
 2006年の新春に当たり、ご挨拶を申し上げます。
 昨年はイラクでの連日のような自爆テロ事件、7月のイギリスはロンドン市内での同時テロ、10月のインドネシア・バリ島における連続テロ、さらにはフランスでの多発する暴動と言うように、宗教や人種問題に起因する大変不穏な国際情勢でありました。
 一方では隣国中国の経済躍進が顕著であり、様々な問題を包含しながらも名実共にアジアのナンバーワン国家を目指して成長が続いております。
 国内に目を転じると、成功裡に終わった愛知万博や9月に行われた衆議院選挙での小泉自民党の圧勝、若者に絡んだ事件が多く起こったこと、我々建設業界に関わるところではアスベスト問題や悪質リフォーム業者の摘発と言ったことがありました。
 日経平均株価も大分戻してきて、景気の底打ちと堅調な回復基調が、衆目の一致する見方のようであります。しかし、地震や不順な天候もあり、今ひとつ確信の持てない感じも否めません。
 本年は、我々専門工事業者にとっても日本経済の回復基調がしっかりと実感できる年になることを期待したいと思います。
 当連合会は国土交通大臣(旧建設大臣)認可による「長期性能保証事業」を中心として、2005年も堅実に事業を進めて参りました。特に昨年3月には東北マスチック事業協同組合に青森県塗装事業協同組合が団体加入をし、「長期性能保証事業」の活用に取り組まれております。また、その他の単組においても、「長期性能保証事業」を利用しようというしっかりとした意思をお持ちの新しい組合員の加入があります。当連合会としても各単組の協力を得ながら、なお一層「長期性能保証事業」のPRに努めていきたいと考えております。
 昨年9月から始まった私どもの新年度事業として「工事完成保証制度」の研究、「ローラエ法」の基本技術・技能の教本作成を計画しておりますが、さらに昨年10月には第4のPB(プライベートブランド)商品として「マスチックNANO」を組合員に対して発売開始をいたしました。これは先端技術のナノテクノロジーを駆使した「つや消しタイプ」外装材で、他に類を見ない商品であります。
 これら事業と平行して本年も全国各地でセミナー開催を予定しております。
 本年も多くの組合員のために、そして多くの最終ユーザーのために当連合会の事業推進に努めて参りたいと存じますので、皆様には引きつづき「長期性能保証事業」を始めとする当連合会の事業に対しまして、これまで同様のご理解とご支援をお願い申しあげます。
 最後になりますが、皆様の本年のご多幸を祈念いたします。

人が輝く都市をめざして 独立行政法人 都市再生機構 理事長 小野 邦久

 明けましておめでとうございます。平成18年の新春を迎えるに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
 私たちUR都市機構は、「人が輝く都市をめざして、美しく安全で快適なまちをプロデュース」することを使命としており、地方公共団体・民間事業者等とのパートナーシップのもと、大都市及び地域社会の中心となる都市において、都市再生に民間を誘導するためのコーディネートや民間投資を誘発する基盤整備等について、引き続き取り組んでまいります。
 さらに、旧都市基盤整備公団から承継した約77万戸のUR賃貸住宅を適切に管理するため、既存の賃貸住宅ストックの再生・活用、顧客サービスの向上等について取り組んでまいります。
 また昨年11月には、マンションの建替えコーディネートを始めとした支援を行うとともに、建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)の一部改正に併せ、共同住宅に係る耐震診断及び耐震改修に関する支援も行うこととしたところです。構造計算書偽装問題に端を発した「危険分譲マンション対策」についても、地方公共団体からの要請に基づき、国土交通省や地方公共団体と適切な役割分担のうえ、公的機関としてご協力させていただく考えでございます。
 一方で、機構設立の際、多額の繰越欠損金が発生するなど厳しい経営状況であったため、UR都市機構では「経営改善に向けた取組み」を策定し、大きく3つからなる改善策(キャッシュフローの改善、バランスシートの改善及び組織のリストラ)を公表、推進しております。
 今後とも不断の努力により、更なる財務基盤の強化を図ってまいります。
 UR都市機構にとりまして2回目の新年を迎えた本年は、UR都市機構の真価を発揮する極めて重要な年となります。
 経営改善という至上命題を背負いながらも、大都市及び地域社会の中心となる都市における都市再生拠点の整備、賃貸住宅の適正管理、被災市街地の復興支援、ニュータウン事業の早期完了という重要な役割と期待に十分応えていかなければならないと考えております。
 引き続き難しい舵取りとなりますが、役職員一丸となって決意を新たに邁進していく所存です。
 最後に、UR都市機構の業務につきまして、日頃から格別のご理解・ご協力を賜っている関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、本年の皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

環境配慮の徹底を 日本建築仕上材工業会 会長 小俣一夫

  明けましておめでとうございます。
 わが国の経済は失われた10年と呼ばれた大不況から、ようやく脱出できそうな気配が出てまいりました。その病状は一般病棟に移っただけという慎重論もありますが、金融再生もやっと実り、郵政民営化など小泉改革もようやく動き出し
ました。中国の台頭にばかり世界の視線が集まる中で、ウオール街にも日本再評価論が聞かれるようになり、英国のエコノミスト誌は「日はまた昇る」と180°論調を変えています。
 当工業会の会員である建築用仕上塗材メーカー、左官材料メーカーもお蔭様でおおむね好転しておりますが、まだまだ今後一層の企業努力が求められるところであります。
 一昨年わが国を集中的に襲った台風も、一転して昨年はアメリカや中国に大被害をもたらしました。 2030年には米・中両国で世界の温暖化ガスの排出量の半分以上を占めると予測されているにもかかわらず、今なお地球温暖化防止対策としての京都議定書(COPV)に参加しない両大国に対して、これで大反省をもたらしたものと思われます。
 建築材料業界は一昨年のホルムアルデヒドを中心とするシックハウス対策問題にはじまり、昨年からはアスベスト禍対策問題に狂奔させられることになりました。わが業界としては、左官工事の現場で古くからセメントモルタル塗りの際、セメントに砂を混合し、これに混和材として消石灰などの他に石綿テーリングと称するアスベスト粉末を混合して作業性改善を図るという習慣がありました。その後この左官材料を工場製の既調合品として供給するようになり、当初はこの石綿テーリングも原料として使用していましたが、米国やヨーロッパからのアスベストの有害性の情報が伝わるにつれ、アスベストを排除して他の材料に置き換えてまいりました。もともとセメントモルタルの使用条件から施工後にははとんど危険性はないものでありましたが、少しでも危険要素のある材料は出来る限り排除するという会員メーカーの徹底した管理意識が働いていたといえます。
 さきのホルムアルデヒドをはじめとするVOC問題に関しても、当工業会の20年余にわたる水系化推進運動が功を奏し、建築材料業界で優等生の地位を保ってまいりました。しかし、私共としてはこれに満足することなく、今後とも多角的な観点からの環境配慮を徹底して追及してゆく所存であります。
 当工業会を中心に(社)日本左官業組合連合会、(社)日本塗装工業会、日本外壁仕上業協同組合連合会及びリフリートエ業会により設立されておりますNPO法人「湿式仕上技術センター」では環境および健康に配慮した湿式工法の普及推進を図る活動を行っておりますが、特に今後の改修工事の増加に対応すべく、第一着手として「木造住宅外壁ラスモルタルの改修仕様書」および「コンクリート外壁の調査診断要領書」の作成を進めており、これらによる適切な改修工事の普及に向けて啓発活動を行うこととしております。今後とも一層のご協力、ご支援をお願い致す次第であります。