◆日本塗装時報 2006年7月28日発行 1843号掲載記事◆
社団法人日本塗装工業会 社団法人日本塗料工業会 日本塗料商業組合 日本建築仕上材工業会
全国マスチック事業協同組合連合会 東京都塗装工業協同組合 大阪府塗装工業協同組合 近畿外壁仕上業協同組合
 

社会の信頼と期待に応えて 社団法人日本塗装工業会 会長 河野玉吉

 暑中お見舞い申し上げます。
 去る5月18日、福岡市で開催された第47回定時総会において、平成18年度の重点施策、事業計画とともに新執行部が承認され、会長として2期目がスタート致しました。
 次いで7月5日開催された第63回全国支部長会において、「支部が元気でないと本部も元気になれない。支部を元気にするのは支部長であり、各支部長の指導力が重要である」ことを訴え、本部事業推進へのご理解と積極的なご協力をお願い致しました。
 さて、建設業界は、民間設備投資が増加しているものの、建設投資全体額は減少傾向にあり、専門工事業界は依然として厳しい経営環境にあります。特に低価格による受注競争の激化は当然のことながら労働条件の悪化、安全対策の不徹底等に関わり、業界全体の後退要因ともなり得ます。
 一方では、「ものづくり」の担い手として、技能の伝承と技能者の育成は業界の重要課題であると再認識しております。
 こうした中で、会員各社が自己責任を果たし、責任ある施工を提供すべく団体としてあらゆる支援を行なっていくことが、社会の信頼と期待に応え、会員企業の健全な発展に資する根幹であると考えております。
 平成18年度の重点施策は、基本的に3本の柱を継承することとし、
1、社会のニーズを充たす諸施策を推進し、評価される業種としての確立を図り、その重要性を周知する。
2、建設産業の一翼を担い、「技術と経営に優れた専門工事業」を目指す。
3、会員企業の健全な発展に資する事業を展開し、差別化を図る。
 を策定し、具体的な事業の推進は総務・技術・経営・需要・安全・技能・情報・品質の8委員会で展開してまいります。
 7年目に入りますペインテナンスキャンペーン(戸建住宅リフォームサービスシステム)や本年度は、特にアスベスト処理への対応や建設塗装基幹技能者認定制度への取組み等支部並びに会員企業の要望を踏まえて積極的に推進していくこととしております。
 また、昨年末に発表した日塗装の将来展望に基づき、「より適格な組織体制、委員会制度に向けて平成20年度を目途に抜本的な見直しを行なう」ことを新たに重点施策に組入れ、これら大きな目標に向かって前進してまいります。
 会員皆様をはじめ関係各位のご理解と一層のご支援をお願致します。

普及啓発事業を継承 社団法人日本塗料工業会 会長 小林正受

 暑中お見舞い申しあげます。
 会員の皆様をはじめ関係者の皆様には日頃、社団法人日本塗料工業会活動に対し格別のご理解とご支援を賜り厚くお礼申し上げます。
 最初に、6月20日に経済産業省より(社)日本塗料協会の解散が認可され、業務と職員の引継ぎを(社)日本塗料工業会が行うことになりましたことをご報告申しあげます。
 これからは、製・販・装が一体となった協力体制のもとに(社)日本塗料工業会はさらなる展開を進めてまいりますので、皆様には引き続き倍旧のご支援をよろしくお願いいたします。
 最近のわが国経済は、原油価格の動向による内外経済に与える影響等の不安要因を抱えながらも堅調に推移しています。
 6月の内閣府月例経済報告によりますと、景気は回復しているとの基調判断であり、企業収益の改善、設備投資の増加を軸として個人消費、雇用、輸出、生産などは緩やかに増加・改善しているとされています。
 また、同時期での11の民間研究機関による2006年度GDP経済成長率見通しは、平均値で+2.3%(年初の政府経済見通しは+1.9%)と回復の予測となっており、塗料需要拡大へのつながりを期待しております。
 しかしながら、今後の世界経済動向として、米国の金利動向や景気減速が懸念されるところであります。
 今後、(社)日本塗料工業会としては、協会から継承した「塗料およびその利用に関する普及啓発」などを定款に加え、塗料産業の健全な発展を図り、わが国産業および経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する活動を進めてまいります。
 特に、VOC排出抑制や地球温暖化防止を中心とした各種環境問題に前向きに取り組むとともに、本年12月に実施となります、お客様の安全と安心のための「化学品の分類および表示に関する世界調和システムであるGHS」に基づくMSDSとラベル表示について、塗料としてのガイドブック制作とそのシステムづくりを実施してまいります。
 さらに、諸々の課題に対し前向にかつ着実に解決することにより、塗料産業の社会的地位向上と会員の発展に寄与していきたいと考えております。
 これからまだまだ暑い日が続くと思われます。皆様方にはご健康に充分留意され、ご活躍されますことをご祈念申しあげ、ご挨拶とさせていただきます。

信頼される組合づくりを目指して 日本塗料商業組合 理事長 小島正勝

 暑中お見舞い申し上げます。
 さて、巷では景気回復の流れは堅実なペースで拡大しつつデフレも脱却し、「いざなぎ景気」を超える持続力を持つのではないかとも言われております。
 しかしながら私ども中小企業者や地方経済の現況を見ますと、何処の世界の話かと、まだまだ其れを感じるにはほど遠い状況であります。
 原油値上に伴う価格の転化や需要そのものの落ち込み等、まだまだ問題山積の状況であり大変難しい時代にさしかかっております。
 この様な状況の中で、本年5月に開催されました第38回通常総代会におきまして、不肖、私が当組合理事長にご推挙頂きました。伝統ある日塗商の理事長として、その責務の重さを考えますと、身の引き締まる思いでございます。
 現在、業界内におきまして多くの問題を内包しておりますが、その一つ一つを前向きに取り組む事により、皆様方のご期待に応えることが出来ますよう、情熱と使命感を持って努力致す所存でございますので宜しくお願い申し上げます。
 今後は総代会におきまして承認いただきました事業計画を中長期方針に基づき、粛々と遂行していくことと同時に、私共執行部に求められている組合の革新に引き続き全力を尽くし、その存在感を再認識頂けるような、組合づくりに邁進したいと決意している所でございます。
 私し自身、塗料販売業を天職として、長年塗料販売業に携わっているわけでございますが、この業界は、未だ多くの可能性を秘めた魅力ある業界であると認識しております。最近、後継者不足による廃業も増えてきておりますが、その為にも、塗料販売業の存在感を高め、希望に満ちたより魅力ある、将来性のある業界として構築する事が求められております。
 また、塗料販売業の存在感が弱くなったとの意見も聞かれますが、製販装のみならず各産業間の垣根が低くなっている現状において、社会に求められる、社会に評価される業界としての地位の向上を目指さなければならないと考えます。
 かつての塗料販売店がどの様な存在であったのか、その機能がどの様に発揮されていたのか、原点に立戻って業界の現状を再認識する事により、信頼と安心の塗料ディラーとして、よりレベルの高い体質の強化が求められているのではないでしょうか。
 同時に時代の変遷に適応した組合のあり方も、その運営方法も検討する必要もあると考えます。
 組合の重要課題として、環境問題や色彩への取組み、経営の合理化の流れとしてEDI受発注の取組み等に鋭意取組んではおりますが、全国のネットワークをもった塗料販売業団体として真に信頼される組合づくりを目指し、具体的な事業の積み重ねによる成果の実をあげ、スピード感溢れる活動を行う所存でございます。
 また、先日開催されました第136回理事会におきましても、委員会構成メンバー、常任理事の選任が行われました。新たな執行部と各地区の精鋭のメンバーで構成されている各委員会委員の皆様と力を合せ、委員会事業の推進に力を入れて行くことにより、一体感を持った組合運営が可能になり、あるべき日塗商の姿が明確になるものと期待しております。
 組合の活性化は、多くの組合員の皆様の組合事業への熱心なる参画により成されるものであります。組合員の皆様並びに業界関係団体の皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げ、この厳しい経営環境を乗り越え、組合自ら革新して行く事を決意披瀝し、就任のご挨拶とさせて頂きます。
 これからもまだまだ暑い日が続くものと思われますが、皆様にはくれぐれも健康にご留意頂き一層のご活躍をご祈念申し上げます。

水系化運動をさらに推進 日本建築仕上材工業会 会長 常山洋 

 暑中お見舞い申し上げます。
 景気回復といわれる中で業界間格差、企業間格差が益々広がり、優勝劣敗の差が一段と広がってきており、我々の建築、建材業界にとっては、まだまだ厳しい状況が続いております。
 このような状況の中で、先般、日本建築仕上材工業会第42期通常総会に於いて、私が会長という大役を仰せ付かりました。当工業会は昨年40周年を迎えた歴史ある工業会であり、設立当初から岩崎元会長が長きにわたり会長をされ、今日の工業会の発展に尽力されてきました。そして小俣前会長の後を受けて、今年度から私が会長を仰せ付かった訳でございますが、時代の変革期でもあり、業界にとって厳しい伏況が続く中で、業界の舵取り役として大役を果せるべく全力を尽くして参りたいと思います。
 当工業会は、建築仕上塗材、左官材料、補修材料等の湿式材料全般を取り扱っており、特に近年外壁においては、素材感や耐久性を求めるニーズがあり、内壁においても健康住宅ニーズがあります。このように仕上村の多様化が進んでおり、取り扱う品目がかなり増加してきております。仕上塗材を大きく分類しますと有機質系仕上塗材と無機質系仕上塗材とかあり、会員もそれぞれを主力とするメーカーに分かれております。従って今年度より副会長を二名として、有機質系仕上塗材主力メーカーと無機質系仕上塗村主力メーカーそれぞれから一名を選出し、会長を補佐していく体制を取りました。今後の工業会活動は、今まで以上に多くの会員が積極的に参加していただけるような会の運営を目指して行きたいと考えております。
 ところで近年、耐震構造偽装問題やアスベスト問題等、我々の工業会にも影響がある問題で、企業責任や企業モラル等が問われる時代であり、工業会の持つ役割も重要な時代となって来ております。当工業会は、地球温暖化防止や大気汚染防止などの環境問題への対応は最重要テーマとして取り組んで参りました。とりわけ複層仕上塗材の上塗材の水系化を20年来推進しておりますが、環境意識の高揚の中、この運動を更に推進するとともに、健康住宅ニーズに対応するシックハウス問題のなかでVOC削減対策等も重要なテーマとして推進していく必要があり、またリサイクル問題についても個々の企業の対応には限界があり、工業会とし対応していくことも検討する必要があると考えます。
 湿式工法も木造住宅の「軽量モルタル塗り工法」を中心として順調に回復してきていると考えておりますが、更に高耐久性や素材感のある仕上げが求められるニーズに対応するための努力が必要であると思います。そして品質安定はもちろんのこと、信頼性向上のために各施工団体との協力が必要であり、NPO法人湿式仕上技術センターとの連携を図りながら、関連団体との情報交換や湿式工法普及の為の広報活動を積極的に行っていく必要があると考えます。また、今後はリニューアル関係についても、取り組んでいかなければならないと考えており、各施工団体とのより密な連携が必要であります。
 以上のように取り組まなければならない課題は数多くありますが、会員皆様の御理解と御協力をいただき、工業会発展の為に全力をつくして行きたいと思いますので、皆様のなお一層の御指導、御協力をお願い申し上げます。

保証事業のさらなる拡大へ 全国マスチック事業協同組合連合会 会長 山岸純一

 大手上場企業が軒並み大幅な増収増益といわれるこの春の日本経済でしたが、下請企業を含めた繁栄とはほど遠い実像を考えるとき何か大変むなしい思いをするばかりであります。下請企業や協力会社の躍進をあわせて報告できる大企業が、いったい幾つあるのでしょうか。残念なことではありますが、われわれ建設業界にあっては、それは望むべくもないことといわざるをえません。
 原油の値上がりや不安定な天候の影響も加わって、私どもの業界にとっては依然として厳しい経営環境が続いております。しかし、真の建設業界を担っているのは、われわれ専門工事業者であるという誇りを決して忘れることなく、その正当な評価を世の中から得られるように、たゆまぬ努力をしていかなければならないと思います。
 私ども全国マスチック事業協同組合連合会は、マスチック塗材という画期的な材料の開発とローラ工法という迅速で効率的な施工方法との結合による、「マスチックローラ工法」の責任施工団体として発足いたしました。以来、30年以上にわたりその普及拡大に努めてまいりましたが、今日では新築工事ばかりでなく、改修工事の施工現場においても各種の「ローラ工法」が当たり前のように多く採用されております。
 しかし、実際の現場において、正規の「ローラ工法」技法がしっかりと浸透しているかと問われれば、疑問といわざるをえないのが現実であります。
 この現状に対して、「ローラ工法」普及に尽くしてきた団体としては、座して見過ごすには忍びがたく、今一度正しい「ローラ工法」の周知徹底を図るために、今回「ローラ工法」のビデオ制作を企画いたしました。正しい「ローラ工法」の姿を今一度世に問い、さらには若い人たちへ伝承していくことを大きな目的として完成を見ました。ぜひ多くの方々にご覧いただければと思います。
 PB(プライベートブランド)商品の開発にも積極的に取り組んでおり、このたび「マスチックNANO」を組合員向けに発売を開始しました。この商品は話題のナノテクを駆使し、超微粒子シリカを内包したシリコン系艶なし外装用塗料であり、大変施工性の良い材料であります。「超低汚染」「高耐候性」の特徴を持った改修工事向けの商品であります。
 全国での組合員数は残念ながら減少傾向が続いておりますが、一方でマスチック事業の理解を十分にされたうえで、事業の活用を目的として新規に入会される企業も目につくようになりました。特に若い経営者の方々は、旧来の「マスチック」に囚われることなく、現在のマスチック事業を冷静に判断をして入会される方が増えております。
 出来るだけ多くの組合員が「長期性能保証」という他に類を見ない大変有用な仕組みを正しく理解し、活用していただくことが当会の大きな使命でもあります。平成2年に認可以来、200件以上の保証件数を数え、金額にして約110億円の保証実績は、何物にも代え難いわれわれの財産であるとともに、全仕上げ業界の宝でもあると思います。このことは、この仕組みを維持発展させていく上で、われわれの大きな責任であるとともに、大きな誇りでもあると感じております。
 最終ユーザーからの本保証事業に対する要望も年々増加しておりますが、これからも各地のマスチック事業協同組合と連携して、「長期性能保証事業」の拡大に寄与してまいりたいと思います。
 皆様におかれましては、旧に倍するご指導、ご理解をお願い申し上げるとともに、暑さのみぎり健康には十二分のご留意をご祈念申し上げて、ご挨拶といたします。

新しい事業展開を模索 東京都塗装工業協同組合 理事長 山岸純一

 暑中お見舞い申し上げます。
 先般の総会におきまして2期目の理事長職を拝命いたしました。振り返りますと、瞬く間の1期2年間でしたが、われわれの業界を取り巻く状況が大きく変わりだしたと言う実感を持った期間でありました。経営環境はより厳しくなり、組合と言う団体の存在意義も問われる一方、「落書き消去キャンペーン」に代表的に現れた社会からのわれわれ団体に対する期待と、それから派生するいろいろな広報機会の増大は、新しい組合活動のあるべき姿に対する一つのヒントではないかと思います。そのような活動を通して、各組合員へのメリットに帰結していければ、組合活動の大きな前進が望まれるのではないかと考えております。
 本年も「いいいろ塗装の日」イベントは、(社)日本塗装工業会東京支部、東塗協賛助会員会、更には関東マスチック事業協同組合東京支部との共催に加えて、東京都と警視庁の強力なご後援と、(社)日本塗料協会、東京塗料商業協同組合の皆様の後援を得て、「最終ユーザーに理解をいただける塗装の良さ」をアッピールできる催し物にしたいと考えております。今年は会場の都合で9月2日と3日の開催となりますが、たくさんの皆様のご来場を期待しております。
 特に、磯部新支部長のもとで活発に活動されている(社)日本塗装工業会東京支部との連携をより図りながら、最終ユーザーへ向けた塗装業界からの働きかけを活性化し、組合員の繁栄に結びつく組合活動を目指して、一層の努力をしてまいりたいと思います。
 さて、今年5月の総会後の懇親会には、初めての試みとして本部で把握できた各支部の青年部に対して声を掛けさせてもらい、将来の組合員となるべき若手約20名の方に参加していただきました。組合活性化の試みの一つとして、今後も若手の皆さんへ積極的に声を掛けていきたいと考えております。
 また、新年度に当たり、委員会構成に一部変更を行いました。従来ありました「性能保証審査委員会」を「需要委員会」へ統合し、新たに「機構改革委員会」を設置いたしました。これは、来年60年を迎える組合事業の総点検を行い、変化の激しい時代の組合員のニーズをくみ上げながら、それに対応できる組合としての事業を模索していく委員会であります。既存の委員会においては、従来からの継続事業を維持発展させていくことに大きな力を注いでおりますので、まったく新しい事業展開を模索するためには、既存の枠を超えた委員会の新設が必要だと判断いたしました。また、組合役員にも若手を抜擢して、若い感覚を組合事業に取り入れていく考えでおります。
 東京都塗装高等技術専門校は今年久しぶりに30名を超える新入生を迎えました。その要因はいろいろとありますが、大きな点は組合員への広報周知が効果を挙げたのではないかと考えております。大変優れた先生方と恵まれた教育環境にある当専門校の価値が、組合員の中にもやっと浸透してきたのではないでしょうか。塗装業界の次代を担う若手の教育・養成には、力を尽くして尽くし足りるということは無いと思います。日々奮闘される先生方を全面的にバックアップし、当校のさらなるレベルアップに寄与することも、当組合に課された大事な役割であると考えております。
 このような若手へ目を向ける施策と平行して、「あけぼの会」事業の継承をさせていただきました。副島日本塗装工業会元会長の会長退任を機に生まれた「あけぼの会」は、業界の先輩たちの偉業を後輩たちへ伝えていく大きな役割を担っておられましたが、その趣旨をより効果的に実現していくために、会からのご要請もあり組合内に「塗装倶楽部」として引継ぎをさせていただきました。先輩と若手との交流が気楽に図れる場として、また、先輩たちが気の向いたときに組合に顔を出して昔話が出来る場として、さらには、レクリエーションの場として、等々従来の息が詰まりそうな事業だけではなく、気の抜ける場の提供が出来ればよいのではないかと考えております。
 来年4月の東京都塗装高等技術専門校開校50周年記念式典などの記念事業に向けての準備も着実に進行しております。多くの若者達を輩出した歴史と伝統ある専門校が、次の50年に向けて、多くの関係者各位のご期待とご好意により新たなるスタートが切れればと考えております。
 新年度の組合事業の一端をご紹介させていただきましたが、関係各位におかれましては従来にも増して格別のご指導をお願い申しあげるとともに、暑さの折り皆様のご健勝をご祈念申し上げて、ご挨拶といたします。

人材育成を原点に 大阪府塗装工業協同組合 理事長 田伏健一

 暑中お見舞い申し上げます。
 5月の定時総会におきまして、第15代理事長を拝命いたしました田伏でございます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げますとともに、前理事長同様、倍旧のご鞭撻をお願いいたす所存であります。
 さて、既報の通り、昨年の建物耐震偽装事件の発生による建設業界への逆風は、少なからず私ども塗装業界にも影響を及ぼすものと感じます。また、新たに、低価格入札による公共建造物へのエレベータ導入により、その不具合のため、尊い命が犠牲となり、一部メーカー製のエレベータ及びメンテナンス業者に対する問題が発覚しているところであります。
 いずれにいたしましても、これら問題の一因には、行き過ぎた価格競争が背景にあるのではないかと考えております。建造物に最も重要な事柄は、そこに居住あるいは働く人々が安全で安心に利用できることが何よりも大前提でありますことから、その前提なくして価格の競争を行うことは、業界の自滅行為であり、社会的、道義的責任が入札企業のみならず発注機関にも負うべきものであると考えます。
 社会資本の形成は、国民の税金で賄っております故、最も安価な業者に請け負っていただくわけですが、採算性を無視し、安全や安心を度外視した市場経済優先のやり方が果たして公共性という観点から適正妥当なのかどうか甚だ疑問に思うところであります。
 私たち専門工事業界は、建設業の施工を専ら請け負う業種でありますが、ものづくりの現場から見た場合、性能の優れた材料を優秀な技能者が施工することによって、耐久財としての公共物である建造物が完成するわけであり、安全、安心を担保するには、一定の価格が求められることが当然であります。
 建設行政を担う官公庁において、その点を今一度認識をしていただき、これからの社会資本整備に活かしていただかなければならないと考えます。劣悪な施工が許される社会があってはならないことであり、国民の生命と財産を守るべき最低のボーダーラインをどのように設定するかを再考する機会と捉えることができます。
 そのような中、私たち協同組合では、建物の維持、改修における塗り替え工事の重要性に軸足を置き、世間一般に、また、行政機関に対して「塗装」の必要性を訴えていかなければなりません。戸建住宅のような比較的規模の小さいものから、プラントや橋梁などの大規模なものまで、塗装工事の範囲は広範で、かつ、多様でありますから、私ども業界が信頼できる業界でなければなりません。
 そのためには、塗装業界に従事する経営者から職人に至るまで、その人材の資質向上が第一であると考えます。技術的に技能的に優れ、消費者のニーズに的確に迅速に対応をし、提案型の手法により言われたことだけをするという受け身体質から脱却をし、大切な建物の保全をするという誇りと自信を持って、事にあたることが最重要であります。
 その効用を発揮するためには、人材教育に力を注ぐ組合活動でありたいと思うところであり、今年度から事業委員会の再構築を図ったところでもあります。これからの組合事業の原点は、人材育成、業界のレベルアップが機軸であると考え、与えられた職務を全うし、組合員はもとより、関係者の皆様からの信頼を醸成いたしたいと決意するところであります。このような新しい事業を実行していくためには組合員の皆様の一層のご協力が必要不可欠であります。
 今後も魅力ある組合事業を一つでも多く実施していく所存でありますので、どうかこれからも関係者の皆様の建設的なご意見をいただきたく何卒よろしくお願い申し上げます。

淘汰の時代に勝ち残りを 近畿外壁仕上業協同組合 理事長 岩田紳一

 暑中お見舞い申し上げます。
 平素は関係団体各位、企業各位には当組合に対しましてご支援ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。また、去る5月19日の当組合平成18年度定時総会における役員改選では、再度、理事長の大任を仰せつかる事になりました。何卒よろしくお願い申し上げます。
 さて、多くの建設産業関連団体では、公共投資の減少に比例するように会員の減少が続いております。組合・団体を構成している殆どの会社が中小企業です。大手上場企業の好業績に刺激されて業績を上げている関連中小企業、或いは独自の力でがんばって業績を上げている中小企業等の勝ち組と呼ばれる企業がある一方、時代の変革や波に乗りきれず依然として厳しい経営状況が続いている負け組と称される企業があり、企業間はもとより、その集まりである組合・団体も勝ち負けがはっきりとして淘汰される時代がやって来たように思います。 
 このような状況下で、当組合と致しましては今こそ魅力ある新しい価値を創造し、組合の理念でもあります「技能・技術と経営に優れた企業の集団」を目指し、これからの時代の波に乗り遅れないように、また勝ち組として生き残り成長して行く事が出来るよう、諸策諸事業を展開していく所存です。当組合は優れた技能者、技術者育成のための各種技能講習、技術研修及び次代を担う優れた経営者、管理者育成のための各種研修、勉強会を開催します。
 また、カラーシュミレーションほかIT関連活用による助成事業、そして我々中小専門工事業者が直接お客様から改修工事を安心して受注出来、またお客様にも安心して頂ける日本外壁仕上業協同組合連合会と保険会社のタイアップによる最長10年の瑕疵保証保険の活用によるバックアップ事業等を引き続き展開してまいります。
 今後も皆様のお役に少しでも役立てるよう、また社会的存在価値のある組合づくりを目指していく所存であります。どうかこれからも関係各位、製・販・装の皆様のより一層のご協力ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、これからまだまだ暑い日が続くと思います。皆様におかれましては健康に充分留意され、ご活躍ご発展を祈念いたしまして暑中のご挨拶とさせていただきます。