◆日本塗装時報 2008年10月18日発行 1874号◆
■新分野進出企業の交流会を初開催

会場の様子
 建設業振興基金が実施している「新分野進出モデル事業」の採択企業どうしの交流会が10月10日、大阪合同庁舎1号館別館大会議室で開かれた=写真。近畿地区の22社と関係官公庁の幹部が出席し、建設業の生き残りのための新しい連携方法や当面の課題について活発な議論が展開された。

 建設業振興基金は、03年度から国土交通省の受託事業として「地域における中小・中堅建設業の新分野進出モデル事業」を実施。これまでに農林水産、環境、福祉、新商品・工法の開発、ITの活用などさまざまな分野で、427事業者が選定されている。

 今回は草刈保廣カンサイ建装取締役(日之出塗装工業会長)と中野岳之ヤマシタ社長が発起人となり、新しい企業連携の可能性を探るため、全国で初めて開催したもの。  当日、採択企業からは22社28人、官公庁からは建設業振興基金、近畿地方整備局、近畿経済産業局、四国地方整備局、大阪労働局の幹部が出席した。

 開会に当たり、草刈会長は「当社が継承した『プロのペンキ屋さん・オブジャパン』は平成15年度のモデル事業に採択されたが、その後、各社に呼びかけ『イチかバチの会』という交流会を組織した。しかし、採択会社が多くなるにつれ、全国規模では難しいため、近畿だけで推進していくことになった。日本の建設業は淘汰が必至であり、生き残る構図をつくらなければいけない。そのためにも、建設業の『異業種交流』が必要である。これを起爆剤に次のステップを進めたい」と開催の趣旨を説明した。

 近畿地方整備局・西植博建政部長は「従来の行政のやり方では、助成事業に採択した後の成否が大事であるのに、フォローが十分ではなかった。その意味で今回の交流会は我々とってもありがたく、期待している」とあいさつした。

 このあと、出席した各社が会社概要と採択された事業の内容を説明。
 続いて、同事業の選定委員でもあるコンサルタントの山北浩史氏が基調講演を行った。その中で、山北氏は商・工・農の異業種連携事例として、「海外をターゲットとしたカラーリングライスの開発・販売事業」を紹介。農家と建設業者、旅館業者がそれぞれの得意分野を活用して、新商品を実用化し、海外で好評を得ていることを報告した。また、山北氏は「建設業者は一般に真面目過ぎる傾向があり、より厚かましく、貪欲に情報を収集し、人を使うことがポイントである」と指摘した。  引き続き、草刈会長の司会でフリートーキングに移り▽販路をいかに開拓するか▽参加各社の組み合わせで新しい事業展開が図れないか―など活発に意見交換を行った。

■大日塗 カーボンオフセット活動を開始
 地球環境問題への関心が高まる中、温室効果ガス削減プロジェクトから得られるCO2排出権を取得することで、その排出量を相殺(オフセット)する「カーボンオフセット」が注目されているが、大日本塗料は遮熱塗料「エコクール」で同活動を開始した。製造段階でCO2排出量をオフセットした「エコクール」を販売するもので、塗料メーカー大手でオフセット商品を販売するのは初めての試み。

 「エコクール」は、屋根、外壁などに塗装すると室内温度の上昇を抑える効果があり、その結果、空調に必要な電気消費量を削減することができる。

 同社では、国連で承認済みの温室効果ガス削減プロジェクトから生じた排出権を三菱商事から購入し、「エコクール」の製造で消費される電力、燃料などから排出されるCO2(石油缶16kgの製造あたり4kg)をオフセットする。購入した排出権は、日本政府の償却口座に移転し、京都議定書で定められた日本の温室効果ガス削減目標である「6%削減」に貢献する。製品の購入者には移転証明書を発行するほか、条件が整えば排出権を譲渡することも可能。

 近年、地球温暖化の原因となるCO2などの温室効果ガス排出抑制の観点からも電気消費量の削減が求められている。東京都は平成22年度から都内の大規模事業所にCO2削減を義務付け、中小企業にも自主的な取り組みを促すことになった。また、東京商工会議所は中小企業を支援するため、温暖化対策の指針を策定、CO2排出量の算出を促すなど具体的な対策を推進している。  環境問題に重点的に取り組んでいる同社では、遮熱塗料は省エネ、CO2排出削減に効果があり、加えてカーボンオフセット商品であればさらに社会的意義があると考え、今回の事業に踏み切ったもの。

■大規模改修工事「工事業者選定の実態」

匠の会実務研究会の会場
 NPO集合住宅改善センター(田村哲夫代表理事)は9月18日、大阪建築会館で、「工事業者の選定の実態」をテーマに第1回匠の会実務研究会を開いた=写真。当日は賛助会員の工事業者を対象に、田村氏が講師となり、大規模改修工事の業者を選ぶ際の手順などを解説。設計コンサルタントの立場から、公募、見積段階で重視する点や、ヒアリングの実態などについて具体例を挙げて説明した。

 開会にあたって、影山事務局長は「当センターのコンサルタントは個々別々の方法で大規模改修工事の業者選定を行っており、これを統一することは難しい。ヒアリングを重視する方、ヒアリング自体をしない方、公募条件を厳しく見る方、など様々である。公募はせざるを得ないが、コンサルタントのそれぞれの考えを知っていただければ、今後の参考になると思う」と開催の趣旨を説明。

 田村氏は「NPOの組織は、ネットワークで成り立っている。お互いが持っている知識、知恵、情報を出し合い、その相乗効果を図ることがネットワークの価値であり、本日の会がお互いにメリットになるよう願っている」と前置きしたあと、講演に移った。

■8月の建設受注 前年比1・5%減
 国土交通省が10月9日発表した建設工事受注動態統計調査報告によると、8月の受注高は4兆1168億円で、前年同月比1・5%減少した。うち元請受注高は2兆8075億円で、同3・6%減り、下請受注高は1兆3093億円で、同3・2%増加した。元請受注高のうち公共機関からの受注高は8831億円で、同2・2%減少し、民間等からの受注高は1兆9244億円で、同4・2%減少した。

 総合工事業は、2兆6430億円で同7・1%の減少。職別工事業は、3660億円で同12・9減った。設備工事業は、1兆1079億円で同21・3%増加した。

■エスケー化研「クールタイトSi」上新狭山店の改修で採用

クールタイトSiが塗装された上新電機狭山店の屋根
 エスケー化研の低汚染・超耐久型アクリルシリコン樹脂系屋根用遮熱塗料「クールタイトSi」が、このほど大手家電量販店・上新電機狭山店(大阪府狭山市池之原3−1052−1)の屋根改修工事で採用された。

 同製品は、太陽光に含まれる近赤外線を効率よく反射し、屋根の温度上昇を抑制することで、冷房費の負担を軽減、二酸化炭素の排出を抑制させる。また、特殊セラミック成分が塗膜表面を覆うことで、汚れ成分が塗膜に付きにくく、一般的な遮熱塗料に比べて長く遮熱性能を維持することができる。地球温暖化やヒートアイランド対策のため、省エネルギー性能に優れた住宅・建築物の普及が促進される中、屋根に塗装するだけで冷房費の削減につながる遮熱塗料は、CSR(企業の社会的責任)の観点からも注目されている。上新電機狭山店では、持続可能な社会を目指す目的から今回の採用に至ったもので、同店の屋根約4000uに施工した。

 エスケー化研では、「クールタイトシリーズ」の拡販に特に力を入れており、今後も多くの企業で採用が増えていくものとみている。

■マスチック 連合会と単組の総会
 全国マスチック事業協同組合連合会および各単組の総会の開催日程は次の通り。

【連合会】10月24日15時▽東京・明治記念館
【北海道協組】10月15日▽札幌市中央区・ポールスター札幌
【東北協組】10月14日▽仙台市青葉区・ホテル白萩
【関東協組】10月17日▽東京・第一ホテル東京
【中部協組】10月9日▽名古屋市中村区・ホテルキャッスルプラザ
【近畿協組】10月17日▽大阪市福島区・ホテル阪神
【中国・四国協組】10月21日▽広島市中区・メルパルク広島
【九州協組】19〜20日▽長崎県雲仙市・小浜温泉つたや旅館

■大阪府塗装工業協同組合 ガイドライン説明会開く

9月25日ヴァーレ大阪で開かれた説明会
 大阪府塗装工業協同組合(田伏健一理事長)は、「下請適正取引等の推進ガイドライン」説明会を、9月3日と25日の2回に分けて大阪市内のホテルで開いた。

 同ガイドラインは、政府の「成長力底上げ戦略」を受けて、生産性向上の成果を中小企業に波及させ、中小企業全体の底上げを図るためには、下請取引の適正化が重要とされ、昨年6月中小企業庁がまとめたもの。建設業など10業種が対象になっており、同庁では業界団体、事業者への周知徹底を図っている。

 第1回目の3日は主に下請で仕事をしている組合員、2回目の25日は主に元請の組合員を対象に実施。ガイドラインの説明やベストプラクティス(望ましい取引事例)の紹介、意見交換を行った。

■「技能グランプリOSAKA」開く

選手宣誓を行う池本選手(上)と塗装部門の競技風景
 第20回大阪府技能競技大会(技能グランプリOSAKA、大阪府技能士会連合会主催)は9月27日、大阪府摂津市のポリテクセンター関西で開かれた。  同大会は、技能の重要性をアピールするとともに、技能士の社会的地位向上のため毎年開催しているもの。今回は建築塗装、タイル張り、建築板金、フラワー装飾など10職種から48人の選手が出場した。建築塗装の部には、大阪府技能士会、大阪府塗装工業協同組合、日本塗装工業会大阪府支部の3団体が共同で参加。開会式では参加選手を代表して、池本竜也氏(五十嵐塗装店)が「日頃鍛えた『技』、『心意気』、『職人魂』を宝物とし、選手一同が真剣に競い、学んでいくことを誓います」と力強く宣誓した。

 塗装の競技は「つやあり合成樹脂エマルションペイント刷毛塗り仕上げ」と「フレックススウェード木目調仕上げ」の2課題で行い、来場者の注目を浴びた。参加選手は次の通り。

 ▽谷克幸(竹林塗装工業)▽山口幾央(ダイワテック)▽八塚勇司(協榮塗装工業)▽大橋清彦(川原塗装店)▽池本竜也(五十嵐塗装店)

■技能フェア2008 橋下知事が来場予定
 「技能グランプリOSAKA」(=別項)の成績優秀者の表彰は、大阪市中央区の「マイドームおおさか」1階で開かれる「おおさか技能フェア2008」(11月7〜8日)で行われる。

 同フェアは、技能士による作品の展示やものづくり教室を通じて、プロ技能に直接触れることができるイベント。技能グランプリOSAKAの表彰式は7日午前に催されるが、当日は橋下知事が出席の予定。

■ジャパンホームショー2008 11月12〜14日東京ビッグサイトで

昨年の会場風景
 「技能グランプリOSAKA」(=別項)の成績 第30回ジャパンホームショー2008(日本能率協会主催、日本建材・住宅設備産業協会、日本建築家協会など共催)が11月12から14までの3日間、東京ビッグサイトで開かれる。

 「ガーデン・エクステリア」「震災・火災対策技術」「ふるさと建材・家具見本市」などの専門ゾーンほか、特別企画として「すまいのスタイル&デザイン」「省エネルギー住宅推進プログラム」などを展示するほか、「サステナブル建築展2008」も併せて開催する。国内外から約700社が出展の予定で、来場者は3日間で9万5千人を見込んでいる。

 基調講演は▽11月12日11時〜12時「サステナブルに住まう」東京大学生産技術研究所・野城智也副所長▽同日13時〜14時「炭素会計が地球を救う」東京工業大学大学院社会理工学研究科・橋爪大三郎教授。

■神東塗料「環境報告書2008」
 神東塗料は『環境報告書2008』を発刊した。

 同社では地球環境との共生に向け、VOCを削減した環境配慮形製品の開発、工場の排ガス・廃水処理設備の整備、大気汚染物質やPRTR対象物質の削減などを積極的に推進しており、水系塗料・粉体塗料など環境配慮形製品の割合が全販売量の82%を占めている。

 同報告書では、品質・安全・環境に関する経営基本方針やコーティングケア活動、環境負荷低減への取り組みなどを収録するほか、地域社会とのコミュニケーション、社会貢献活動などを紹介している。

■橋塗協の機関誌
 日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会の広報誌『Structure Painting』通巻36号の内容は▽本山会長あいさつ▽NEXCO西日本における橋梁の維持管理の取り組み▽技術報告・東京都における低VOC塗装への取り組み▽同・ウォータージェットによる環境にやさしい塗膜剥離システム▽同・ふっ素樹脂塗料の性能調査と評価▽技術資料・新設橋梁実績の変遷から読み取る塗り替え工事の展望▽鉄道トラス橋の雑感▽奄美大島を訪ねる―など。

■日塗工写真展 東京塗料会館で
 日本塗料工業会の第19回写真展は10月1日から31日まで、東京塗料会館1階サロンで開かれている。
 今回は26点の応募があり、次の作品が入賞した。

【金賞】初めての薄化粧・芳賀明日香(日本特殊塗料)
【銀賞】災える富士・戸嶋光義(関西ペイントOB)
【銅賞】祭りの朝に・萩尾昇(日本特殊塗料)
【佳作】早春の息吹・岡井作夫(日本ペイントOB)▽仮面の装い・蜷川謙一(美豊商事)▽群衆・西川穣(日本ペイントOB)

■メーコー大阪営業所が移転
 メーコー大阪営業所(杉山秀樹所長)は、尼崎市道意町7−1−3、尼崎リサーチ・インキュベーションセンター304号(電話06・6413・0858)に移転した。

■組織変更
【関西ペイント】
(10月1日)新事業本部を廃止し、同事業を工業塗料本部に移管▽平塚事業所に平塚事業所製造部製造第4課を新設。

■会社人事
【関西ペイント】
(10月1日)品質・環境本部長兼品質・環境本部第2部長、北島道治▽鹿沼事業所長兼鹿沼事業所品質管理部長、開正彦▽工業塗料本部海外技術部長、高見誠司

【大日本塗料】
(10月1日)兼海外業務部長委嘱、取締役常務執行役員国際本部担当国際本部長川本信和▽国際本部特命部長兼海外業務部長、向井修▽大日本塗料販売受注センター西日本受注センターグループリーダー兼大日本塗料一般塗料部門受注センター西日本受注センターチームリーダー委嘱、鈴木月美▽工業塗料部門建材塗料事業部営業グループチームリーダー・東京(同・小牧)有本修▽工業塗料部門建材塗料事業部営業グループチームリーダー・小牧(同・東京)松本茂樹▽工業塗料部門自動車塗料事業部テクニカルサポートグループ専任課長、蔦本健▽工業塗料部門自動車塗料事業部テクニカルサポートグループチームリーダー、前田吉興▽兼プラスチック塗料事業部テクニカルサポートグループチームリーダー、工業塗料部門プラスチック塗料事業部テクニカルサポートグループ次長山口正夫▽工業塗料部門プラスチック塗料事業部テクニカルサポートグループ専任課長、渡部秀夫(10月7日)参与・一般塗料部門建築塗料事業部長委嘱、宮本正三

■おくやみ
 名井 方氏(みょうい・ただし=元日本ペイント副社長)9月25日午前1時32分、肺がんのため死去、72歳。葬儀は26日、故人の遺志により近親者のみの密葬で営まれた。喪主は長男・陽(あきら)氏。


【決算関連のニュース】
■エボニックグループ 08年上期は11%増収
 エボニックインダストリーズAG(ヴェルナー・ミュラー会長)は、エボニックグループの08年1〜6月期の売上高が前年同期比11%増の79億2600万ユーロになった、と発表した。EBIT(金利・税引き前利益)は同17%増の8億6900万ユーロ。純利益は5億2200万ユーロとなった。  化学、エネルギー、不動産の3部門とも好調で、化学部門の売上高は同12%増。このうち8%は販売価格の値上げ、4%は販売量の増加としている。

 下半期は、世界規模の金融危機の影響が懸念されるが、同社では上半期の好業績を受けて今期見通しを上方修正した。売上高の伸びは1けた台後半、EBITは一時的な要因により増加した前年度に比べ、小幅な伸びにとどまると予想している。


【今月の特集記事】
  • 「マンション大規模改修工事 〜下請から元請に脱皮するためのポイントは何か〜(後)」
     NPO法人集合住宅改善センター専務理事・松山 功氏(改修コンサルタント)
  • 大規模改修工事「工事業者選定の実態」NPO集合住宅改善センター・田村哲夫代表理事
  • (概略は→こちらでご覧いただけます。)

    【新製品情報】
    ■関ペの漆喰塗料 新型インフルエンザ予防に効果
    文 関西ペイントの漆喰(しっくい)コーティング材「漆喰塗料アレスシックイ」の塗膜に、高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスの感染力を低減する効果があることが確認確認された。  大阪大学微生物病研究所の実験によると、同塗料を紙に塗布した塗膜は鳥インフルエンザウイルスの感染力を30分間で99・6%以上低減できるという。

     「アレスシックイ」は、ヒメノイノベック(大阪市)が開発した漆喰コーティング材を用いた機能性塗料。日本唯一の鉱物資源である消石灰を利用し、消臭、抗菌・防かび、結露抑制、ホルムアルデヒド吸着・分解など、多様な機能を備えている。既に通常のインフルエンザウイルス(A型H1N1)に対しても効果があることが確認されており、今回改めて新型インフルエンザの病原になる鳥インフルエンザウイルスに対する効果が証明された。

     新型インフルエンザに対する予防策としては、現在、ワクチンの開発が進められているが、ウイルスの変異に対しての効果が不明で、特効的な対策がない。このため、同塗料を使って大気中に浮遊するウイルスの感染力を低減できれば、インフルエンザの効果的な予防策になるものと注目されている。

     特に集団感染の危険性が高い病院や老人ホームなどの医療関係機関、学校や幼稚園などに施工すれば、新型インフルエンザの集団感染に対する予防策として効果が期待できる。

     今後、同社では、各自治体、医療関係機関、教育機関などを中心に、販売を推進する方針。

    ■日本ペイント「ニッペクリスタコート」

    雨だれ汚染暴露試験の結果
    塗装面(上部)にはほとんど汚れが見られない
     日本ペイントは、無機系親水化処理剤などの研究開発で取得した特許を利用して独自技術の実用化に成功し、無機系低汚染オーバーコーティング剤「ニッペクリスタコート」の商品名で発売した。  同製品は低汚染機能に特化し、塗膜表面に親水性基を持った無機分子を並ばせて定着させることにより、高い親水性を実現した。

     塗装後に光や雨などによって親水化が徐々に進行する従来の親水化技術とは異なり、出荷時にすでに親水化が完了しているため、塗装直後から高い親水性を発現することができる。

     汚れやすい国道沿いでの暴露試験や物件への試験施工を4年以上行った結果、優れた防汚効果を確認した。下の塗膜の伸縮にも追従できる構造となっているため、弾性塗料などの伸縮しやすい塗膜の低汚染化も可能。水系・溶剤系いずれの塗膜にも対応しており、適用範囲が広い。

     今後、同社では日本ペイント販売を通して、高層ビルやマンションなどの塗り替え市場に展開していく。また、鉄構領域への応用や、工場向け塗り替え塗料ブランド「Power Factory」などへの展開により、幅広い分野での採用を目指す。このほか、特許を取得した親水化処理剤技術については、汎用塗料分野以外の塗料事業分野への展開も進めていく。

    ■エスケー化研「アンダーサーフDS」
     エスケー化研は、厚膜型弾性塗材専用の一液水性架橋型サーフェーサー「アンダーサーフDS」を発売した。

     厚膜型弾性塗材の塗り替えの際、従来のシーラーを用いた工法では、表面に発生したひび割れや吸い込みムラにより、仕上りに不良が起こることがあり、また無機系のフィラーで下地調整する場合は、既存パターンを生かせないなどの難点があった。また、断熱性の高い下地に施工された厚膜型弾性塗材の塗り替えでは、劣化した塗膜の影響や洗浄後の乾燥不足など、各種要因が重なって、不具合を生じることがあった。「アンダーサーフDS」はこれら問題点を解決する強じん性と優れた透湿性を兼ね備え、断熱性の高い下地に施工された意匠性塗材の本来の意匠を生かす塗り替えに適している。  同社では、汎用の微弾性サーフェーサーとして「水性ソフトサーフ」や弾性機能を高めた「水性弾性サーフエポ」があるが、厚膜型弾性塗材専用のサーフェーサーの開発で幅広い下地の塗り替えに対応できるとしている。

     特長は▽既存パターンを活かす仕上げ▽旧下地の補強効果に優れる▽透湿性に優れる▽架橋塗膜は下地と強固に密着▽一液水性で使いやすく安全―など。
     荷姿は20s石油缶。平米当たりの設計価格は1300円。
     問い合わせ先は同社営業本部(0726・21・7733)。

    ■刷毛型ローラーハンドル 北岸産業が発売

    刷毛型ローラーハンドル
     北岸産業(東大阪市)は、刷毛型ローラーハンドルを発売した。

     刷毛感覚で塗装でき、場所によってはスモールローラハンドルよりも速く塗れる。2、4、6インチスモールローラ、ミドル7インチが使用できる。
     問い合わせ先は同社(0729・81・9026)