各団体長の暑中挨拶

信頼される業界確立を  社団法人 日本塗装工業会 会長 大澤 茂樹

 暑中お見舞い申し上げます。

 先般5月23日、岡山市で開催された第43回定時総会で平成14年事業計画・予算が承認され、併せて役員改選による新執行部が誕生し、心機一転に事業活動を推進しているところであります。本総会では、今日の業界を取り巻く厳しい諸環境を克服すべく、改めて業界活性化のため邁進するとともに、社会貢献の気概を有しての活動展開をしていくことを確認いたしました。ちなみに先の定時総会で承認された平成14年度重点施策は次の3項目です。

 @建設産業の一翼を担う「新しい専門工事業」の確立を目指す
 A社会のニーズをみたす諸施策を展開する
 B社会から評価される業界団体組織の確立および会員企業の健全な発展に資する事業を展開する

 これら施策(方針)を強力に推進するためには、事業の実施体制の強化が必要であります。このため昨年度来より事業委員会の見直し、会務管理のあり方について種々検討を重ねて参りました。これらを本総会に提案し、承認を得て現在はその実行をみております。会務管理室の設置による重要事業の効率的推進、品質委員会の新設による「戸建住宅リフォームサービスシステム」の構築などがその一例です。

 これら改革の断行は、社会ニーズを的確に捉え、社会から信頼される業界確立を推し進めたいと考えてのことです。特に一昨年度より始めました「ペインテナンスキャンペーン」は、全国的な反響を呼びました。われわれ業界は、これまでともすればエンドユーザーである一般消費者とその接点が稀薄であったことは否めません。これらの解消と「優れた技術と技能」に裏付けされた責任ある施工が社会広く理解を得るにこの「ペインテナンスキャンペーン」は大いに貢献したところであります。このように、社会からの信頼度向上をさらに図るため、「戸建住宅リフォームサービスシステム」を構築し、個人財産の保全、環境の美化などに資しながら適性品質とその保証などを組織的に機能させる仕組みで社会的な責任を果たすことはもちろんですが、特に本年度からは関西ペイント、日本ペイント、ロックペイント、恒和化学工業、神東塗料、スズカファイン、大日本塗料、トウペ、日本特殊塗料の塗装材料メーカー9社のご理解とご協賛を得て、併せて広く塗装技術の発展向上が期待されるところであります。

 前述の重点施策に沿い事業委員会では、各専門分野・担当別に事業計画を策定し、具体的な諸事業をすでに推進しております。
 会員および関係各位におかれまして、これら趣旨をご理解のうえ、これまでと変わらぬご協力とご支援をお願い申し上げます。


道路整備5カ年計画を前に 社団法人 日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 会長 本山 蓊


 我が協会会員が施工対象とする構造物は、表題のような橋梁や鋼構造物、更には土木構造物としてのコンクリート構造物等々がある。

 一般に、これらは公共施設、社会資本と言われるものなどであり、工事としては公共事業で行われることが多く、民間事業としても鉄道、電力などのいわゆる公共事業などであります。
 公共事業の来年度の概算要求は、8月中に締め切られるので、今年もまた、当局は暑くて、酷しい夏であろうと同情すると共に大いに頑張って戴きたいと、声援等をおしまないこととしている。

 近年、バブル崩壊後、経済不況は長年続き、GDP成長率もマイナスかプラスか分からないような状況、殊に重要なことは国土資産が大暴落し、個人資産もそれにつれて大変下落していることを実感していないことであって、このため、経済活性化のためには金融再編と不良債権の処理は、是非必要なことであり、将来の高齢化、少子化社会に向けての制度整備に対する行政政治改革が必要である。しかし、現実は向こう受けする不可解な構造改革論争に終始しているのは残念なことである。その中でも特に問題と思うのは、公共事業に関する社会の誤った論議である。元来、公共事業は社会のハード面を代表するインフラストラクチャーの整備である。事実、これなくして人間は社会生活ができないし、社会が国家を形成し、国民生活を豊かに安全に安定したことにするためには、その時代時代に合った文明、文化に適合した社会資産が必要であることは論を待たない。しかし近年、不況対策などの経済政策や、社会要求に違った事業などのため、誤解の目を向けられた感が無いでもない。私は、この時勢であればこそ適正に効率の良い公共事業を行って将来に向けて、ソフトな面での制度確立の再編にならねばならないと思うわけです。我々は構造物の塗装工事という工種により、公共事業の一旦を担うものとして、新設に保全にその責務をまっとうしたいと思っている。

 塗装は、構造物の防錆・防食を主にしていたが、現在ではそれらの主目的に加え、自然環境や都市美観にその色彩美観によっては環境保全、いな、良好な環境を作成する方策とし、更には大気汚染対策にも技術開発を進めている。
 我々は、かつての米国の「荒廃するアメリカ」の愚を悟り、不況を乗り越え、再び現在の好況が生まれた。サッチャー首相の英国再生をどう学ぶか、考えなければならない教訓であろう。

 本年は、公共事業の大部分を受け持つ国土交通省においては事業計画の改編の年である。特に、道路整備5カ年計画の改定のことである。国の将来を占うことでもあるという意気込みで頑張っていただきたい。世の識者は必ず味方であるということを知っていただきたい。かつて、声なき声を聞けという言葉が知られたが、今は声の大きい方が良いこととなっている。そんなことでは国の将来を誤る元だ。この夏はその意味では大事な夏であると思われる。識者の良識を期待するや切であります。


勇気を持って全力で 社団法人 日本塗料工業会 会長 白岩 保

 暑中お見舞い申し上げます。

 日頃は、(社)日本塗料工業会の活動に対し、多大のご支援を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、長らく低迷の続いているわが国経済は、先ほど発表された6月度の月例経済報告によれば、「景気は依然厳しい状況にあるが、底入れ状態にあり、一部に持ち直しの動きも見られる」と報じられています。これはアジア、米国の景気が除々に回復してきた影響で、まだ回復基調そのものではありませんが、景気全体の水準はほぼ横ばいで推移しているとの判断によるものです。

 塗料の出荷もここにきて対前年比マイナス幅が縮小してきたものの、平成13年1月から本年4月まで15カ月間連続で前年比マイナスの出荷であったため、昨01年度の塗料出荷実績は、193万1千d(前年比94・3%)となり、前年から大きく減少いたしました。

 02年度の予測出荷数量も、対前年比99・4%の191万8千dにとどまっており、塗料にとって厳しい状況がまだ続くものと見ています。
 塗料工業会としましては、この厳しい時期、改めてその役割を認識し、業界全体として取り組まなければならない問題、また業界全体にとって役立つ問題に取り組んで業界の持続的発展に寄与していきたいと考えています。当年度の大きな課題の一つであった「ペイントショー2002」も業界の力の結集によって前回以上の規模で無事成功裏に終了いたしました。他の具体的な活動課題は、昨年から検討を進めてきたオンライン受発注システムの市場活用であります。既に2社の会員がこのシステムを利用していますが、業界にもっともっと広く普及させていくことであります。それによって業務の効率化が進み、業界の繁栄に大きく貢献いたします。したがって、ぜひとも成功させたい事業であります。また3年目に入った基盤技術の強化についても委託研究の成果を期待しております。

 一方、21世紀においては、環境経営のへの取組みは、企業経営の根幹であると位置づけされています。まさに環境問題は経営の枠組みを大きく変貌させています。化学物質を取り扱う塗料工業は、環境・安全・健康問題を最重要課題とし、コーティング・ケアの着実な実行により、環境の保護、消費者・従事者の健康・安全の確保という社会的責務を果たしていかねばなりません。

 今年6月は、日韓共催によるサッカーワールドカップで、大きな興奮と素晴らしい感動で日本中がわき返りました。わが国選手団も日本サッカーの歴史を塗り替える大いなる頑張りで国民に希望と勇気を与えてくれました。
 景気回復にはもう少し日時を要するものと予測されます。お互いが勇気をもって全力で取り込むことによって、塗料産業の将来展望が開けるものと確信しております。
 これからまだ暑い日が続くと思います。皆々様にはご健康に充分留意され、ご活躍されますことを祈念いたし挨拶といたします。


存在感のある組織づくりを 日本塗料商業組合 理事長 西井 文雄

 暑中お見舞い申し上げます。皆様には日頃より組合運営に対しまして、ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 景気の方は相も変わらず、厳しい状況が続いており、景気の底入れは大企業製造業に関しては確認されたというものの、中小企業非製造業は回復の実感はいまだ無く、我々が回復の兆しを感じるまでしばらく時間がかかるものと思われます。

 政府から発表される数値、ならびに塗料出荷量の本年の見込みなどを見ますと、まだまだ厳しい局面も覚悟しなければならないものと考え、まさしくふんどしの紐を締めなおして、ひと踏ん張り、経営の舵取りを行わなければならないと思います。

 このような状況の中、本年5月の第34回通常総代会が開催され、同総代会におきまして、役員の改選が行われました。その中で不肖、私が理事長に選任され、まさしく嵐の中の船出をすることになりました。
 業界の景気も、この様な状態であれば、組合の存在そのものも問われる時代になってまいりました。
 国の構造改革同様に、組合におきましてもその改革が求められております。

 総代会におきまして承認いただきました事業計画を粛々と遂行していくことはもちろんでありますが、私ども執行部に求められている組合の改革に全力を尽くし、まさに存在感のある、お役に立つ組合づくり邁進したいと決意しております。
 幸いに、執行部のメンバーは各地区の精鋭のメンバーで構成されております。まことに心強い限りであり、さらに、多くの組合員各位の委員会活動への熱心なる参画は、着実な成果の実を挙げたいと思っております。
 特に、今年度より運行開始となりましたEDI受発注に関しましても、まさしくIT時代の到来であり、その普及を通じ、各社店の合理化・効率化につながればと期待しております。現代も、引き続きそのシステムのレベルアップが検討されており、組合本部と致しましても、積極的にその改良に参加して行きたいと考えています。

 その他、各委員会活動の重点問題に対しても、スピード感あふれる活動を行いたいと考えており、組織の見直しも含め、2年間の任期の中で諸問題を解決していく所存であります。
 今後とも、組合員の皆様ならびに業界関係団体の皆様のご支援を得て、まことに信頼される組織づくりを追求し、また、塗料販売業団体として、昨年発表いたしました環境宣言に基づく具体的な活動や、「ダメ。ゼッタイ。運動」の協賛などを通じ、社会への貢献を模索し、認知度を高めたいと思料しております。

 まだまだ暑い最中での厳しい経済状況は続くものと思われます。どうぞ皆様健康にはくれぐれもご留意され、この厳しい経済環境を乗り越えられ、ますますのご隆盛になられますよう心よりお祈り申し上げ、暑中のご挨拶とさせていただきます。


「資源保護」と「景観創造」 社団法人 日本塗料協会 会長 豊松 正文

 暑中お見舞い申し上げます。
 平素は社団法人日本塗料協会にご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 去る5月27日の当協会理事会において、辻前会長のあとを受けて会長をお引き受けすることになりました。なにとぞ、よろしくご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
 さて、5月の政府月例経済報告で景気の底入れ宣言の判断が示され、わずかに景気回復への期待感が膨らみましたが、現実は日本経済が長期低迷を脱して成長路線に回帰する基盤が整ったとはとても言えない状況であります。6月半ばに出揃った全国上場企業の02年3月期連結決算の集計は、初めて最終赤字となり、情報技術(IT)不況、デフレの長期化、不稼動資産の損失処理などで、電機、通信、鉄鋼といった主要業種をはじめ、塗料関連産業は軒並み厳しい状況にあります。
 このような状況にあって、われわれ塗料・塗装業界といたしましては、経営構造・コスト構造の改革など自助努力を行うことはもちろんですが、「社会に貢献する塗料産業」の役割とその重要性に対する社会の認知度が高まるよう、以前にも増して努力する必要があります。
 この意味で、4月の第3回ペイントショーでは、日常生活に密着した身近な存在でありながら、まだまだその効用を十分に理解されていない塗料産業の姿をあらためて力強くアピールし、成功裏に終了しました。塗料製造業、塗料販売業および塗装業が相携えて健全な発展を図るために組織された社団法人日本塗料協会といたしましては、4年に1度のペイントショーの盛り上がりを絶やすことのなきよう、本年度も総会のご承認を得て「塗料と塗装の普及・啓発」のための各種公益事業を実施する所存であります。
 具体的な活動内容の第1は、環境色彩分野における活動の強化であります。各都市の環境条例などにもとづく都市景観の創造提案が求められるようになり、カラーコーディネーター資格制度の有効性が広く認識されつつあります。当協会としては、引き続き「検定試験対策セミナー」の実施による有資格者の増強と「環境色彩実践セミナー」開催により資格者のさらなる技術向上を支援してまいります。
 さらに、優れた環境色彩設計の発表の場である「グッドペインティングカラー」につきましては、本年度から委員会事務局を(社)日本塗料工業会より引継ぎましたので、応募者の拡大のためPRに努めてまいりたいと存じます。
 第2は、塗料と塗装の普及啓発事業の充実であります。これまでも、快適な街づくりのための公共施設の美化イベント運動などに積極的に参加してまいりましたが、地道な奉仕活動を通じて「塗料と塗装」の普及・啓発活動を実行してまいります。
 また、教育委員会などと連携し、小・中学校の「総合学習カリキュラム」において、色彩感覚を向上させる効果が期待でき、しかも環境にやさしい「塗料と塗装」の教育指導を実施するよう働きかけてまいりたいと存じます。
 さらに、塗装の専門家を対象とする「建築塗装講習会」、一般消費者を対象とする消費者センターでの「塗装講習会」などについても、各地区のご要望を尊重した開催時期、テーマを選定し、実り多い講習会の開催に努めてまります。
 第3は、環境対応事業の推進であります。申すまでもなく、地球環境負荷の低減、廃棄物の減少、省資源化、リサイクル化あるいは安全の確保などについては塗料産業全体で取り組むべき重要課題でありますので、各団体の事業活動の中で積極的に推進していただくよう啓蒙に努めてまいります。
 第4は、広報事業の活性化であります。当協会が行う各種の公益事業活動について、塗料と塗装が一般社会で重要な役割を果たしており、快適な環境づくりに役立っていることを広く業界内外に広報するため、適宜記者発表、資料送付などを実行するとともに、ホームページを充実させ、塗料・塗装業界の地位の向上に努めてまいりたいと存知ます。
 最後は、上記の公益事業を維持、拡大するために当協会の運営体制の整備、合理化、具体的には健全な財政確保と組織の拡充、強化であります。健全な財政確保のためには、会員数の維持拡大と、公益支援事業を行う大阪塗料会館のテナント確保が課題となります。また、組織については、皆様のご協力のもとに、中・四国支部も軌道に乗り、各種の普及活動も実施して好評を得ております。
 今後とも普及啓発活動の全国展開を図るため、組織の拡充・強化に努めてまいりたいと存じます。
 (社)日本塗料協会は、今後とも製造・販売・塗装団体の皆様との連携のもと「塗料と塗装の普及」を行い、「資源保護」と「景観創造」のためのキャッチフレーズ「美しく塗料がまもる緑の地球」を掲げて、公益事業活動を推進してまいります。
 会員の皆様をはじめ、塗料産業界、需要家、消費者の皆様の一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
 最後になりましたが、皆々様のご健勝とご活躍を祈念いたしまして、暑中のごあいさつとさせていただきます。


国の行方に思う 全国マスチック事業協同組合連合会 会長 山岸 純一

 皆様、暑中お見舞い申し上げます。

 最近、とみに国を憂える話に出会うことが多くなりました。もちろん「国」とはわが「日本」のことであります。日夜事業に専念されている経営者や厳しい雇用環境の中にある勤労者は経済面の先行きに心を曇らせ、スキャンダルや金にまつわる話に明け暮れる永田町政治には愛想を尽かし、軟弱無恥を諸外国にさらして、同じ日本人がやっていることとはとても思えない外交政策には、ただただ恥ずかしい思いをし、事の本質を置き忘れた防衛庁機密漏洩事件に唖然とするばかりであります。いったい、この国はどこへ行くのでしょうか。

 1年前の小泉政権の誕生の頃、密かに戦後50年の精算がこれから始まり、21世紀にふさわしい国づくりの開始を期待したことが、出だしから頓挫した感があります。それとも、これら一連の出来事を構造改革の始まりととらえるのでしょうか。50年前ならいざ知らず、現在はすべての面でスピードが求められており、一つ一つの舵取りを的確かつ適時に行う必要がああるのではないでしょうか。

 それに増して、国の将来ビジョンが依然として不明確であります。私は、現在の出生率、人口構成からはじまり、民間と官庁の役割分担、中央官庁と地方自治体の役割分担の見直し、そして国民の負担規模、すなわち税金・健康保険・年金保険などの見直しへと明確に国民へ問いかける必要があるのではないかと思います。

 利権の温存と妥協で、何が改革されたのか解らないような、そんな構造改革を国民が求めているわけではありません。改革は1日でも早いにこしたことはありませんが、10年後に達成されてもいいのです。つまり、どんな国になるのか、このビジョンと道程がしっかりしていれば極論ですが、その完成が50年後でも国民は我慢をし、納得をするのではないでしょうか。

 さて、建設業界も国同様、将来ビジョンが描けないまま、ズルズルと過去の負債を引きずり、コップの中の嵐が続いています。だれもが痛みをいやがり、その結果としてみんなが痛い思いをしているようです。しかし、痛みの限界は突然やってくるかもしれません。その不安に毎日悩まされているのが、建設業界の現状ではないでしょうか。
 これを打破するためには、個別の企業レベルにおいても将来ビジョンを明確にして、地道に歩みを進めていくとともに、受ける痛みにはあくまで耐えていく覚悟が必要であります。
 上からの改革はあり得ないこと、自らが自らを改革していくことが、21世紀の建設業界を就中、専門工事業界を造り上げることになることを肝に銘じたいと思います。

 全国マスチック事業協同組合連合会もここで述べた心意気をもって、新しい元諸像を模索しつつ、事業改革とその展開を図ってまいる所存であります。インターネット上のホームページ(http://www.mastic.or.jp)でもご意見をお待ちしておりますので、今後とも皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。


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