◆日本塗装時報 2008年7月28日発行 1871号◆
■「行動する日塗装」として
社団法人日本塗装工業会 白川 隆幸 会長
 先般5月22日に神奈川県横浜市で開催されました(社)日本塗装工業会第49回定時総会におきまして、第17代会長を拝命いたしましたこと、誠に光栄に存じますとともにその責任の重さに身の引き締まる思いがいたします。当会は本年で創立60周年を迎え、総会後式典および第35回全国大会が900名を超えるご来賓、会員の出席のもと盛大に開催され、歴史の大きな節目をご来駕いただいた皆様とともに祝うことができたことに対しまして心から喜びとお礼を申し上げます。

 さて平成20年度事業計画ならびに予算が総会で原案通り承認され、新年度事業の推進に本格的に取り組んでいるところであります。すでに皆様ご承知のように本年度は、長期方針を「公益法人としての自覚の下、社会との絆をより深め、塗装工事業のさらなる飛躍をめざし、豊かな環境づくりに貢献する」とし、さらに「重点施策」として「1、社会のニーズを的確に捉えた諸施策を推進し、希望あふれる業種としての確立を図り、その重要性を周知する」「2、建設産業の一翼を担う誇りと情熱を持って、地球環境保全に取り組み、その役割を果たす」「3.『技術と経営に優れた専門工事業』をめざし、社会の信頼に応える」「4.企業の社会的責任を明確にし、その責務を果たし、健全な発展をめざす」の4項目を掲げ、これらに沿い各委員会事業計画が策定され、具体的諸活動を展開してまいります。

 事業委員会活動につきましては従来の8委員会制から総務、技術、経営、安全、技能、普及の6委員会制に発展的に統合再編しました。6月には各委員会の連携を強化するために当会初めて委員会合同会議を開催しました。併せて今後は副会長と常任理事が北海道、東北、関東、東京・神奈川、中部、北陸、近畿、四国、中国、九州の10ブロックを各々担当し、各ブロック活動を活性化させて、各地域の意見を集約するとともに、本部の情報を伝達し、情報を双方向で共有化して、本部、各ブロック、各支部、各会員間の連携を強化していきます。

 建設塗装基幹技能者につきましては6月に1900名を超えることができました。この後は登録基幹技能者運営団体への登録手続きを行い、これまで認定された会員を対象とした特例講習ならびに会員以外の方を含めたオープン参加での新認定講習に移行する準備を進め今年度中に新認定講習を各々開催する予定です。

 公益法人制度改革に伴う公益認定への対応につきましては喫緊の課題であり早急に検討し取り組んでいきます。また公益法人の自覚を再認識するとともに、先日総務委員会で検討を重ねてきた「会員企業行動規範」を発表しましたが、会員各企業の周知徹底を図るとともに遵守、啓発を促し、社会的責任を果たしていきます。

 そのほか、戸建住宅の塗り替えを日塗装で保証するペインテナンス(戸建住宅リフォームサービスシステム)キャンペーン、生活環境改善のための「落書きなくし隊」、これまで蓄積された技術・技能の活用、啓発、さらに新技術・新工法の開発を継続して推し進め広く建設業発展の一翼を担ってまいりたいと思います。

 歴史は60年周期で繰り返すといわれることがあります。今日の日本経済は原油高など原材料価格の高騰、米サブプライムローン問題の余波、株安と円高などが加わって先行きは不透明感を払拭できない状況が続いており、われわれ専門工事業界におきましても低価格による受注競争の激化などの影響で依然として厳しい経営環境にあります。当会創立60周年の歴史の中でかつてない厳しい環境に置かれ難題、不安を数多く抱えた中での事業活動推進の幕開けとなりましたが、今後建設業界にも明るい兆しが見えるであろうことを期待するとともに、総力を結集し難局を乗り越え、『行動する日塗装』として当会の事業活動の効率化、活性化を模索し、さらなる基盤強化を図り邁進してまいります。  微力ではありますが職務を全うすべく全力を傾注する所存でありますので、会員の皆様をはじめ関係各位のご理解と一層のご支援をお願いいたします。
■真に信頼される組合づくりを
日本塗料商業組合 友野 昌幸 理事長
 世界経済の景気減速感は更に強まっており、原油の大幅な値上がりと穀物類を始めとした食料品の値上げに加え、株価も大幅に下落するなど、取巻く環境は決して明るいものではなく、経済も地球環境も大きな過渡期を迎えております。

 当業界では、いまだ原油値上げに伴う価格の転化も充分とは言えず、需要そのものの落ち込み等、まだまだ問題山積の状況であり大変難しい時代に差しかかっております。

 この様な状況の中で、本年5月に開催されました第40回通常総代会におきまして、不肖、私が当組合理事長にご推挙頂きました。伝統ある日塗商の理事長として、その責務の重さを考えますと、身の引き締まる思いでございます。 

 現在、業界内におきまして多くの問題を内包しておりますが、組合員の為の組合として、情熱と使命感を持って具体的な組合事業の積重ねで存在感を発揮したいと思っております。  最近、後継者不足による廃業も増えてきておりますが、その為にも、塗料販売業の存在感を高め、希望に満ちたより魅力ある、将来性のある業界として構築する事が求められております。原点に立戻って、信頼と安心の塗料ディーラーとして、よりレベルの高い体質の強化が求められているのではないでしょうか。

 同時に時代の変遷に適応した組合のあり方も、その運営方法も検討する必要もあると考えます。組合の重要課題として、環境問題や色彩への取組み、経営の合理化としてEDI受発注の取組み等に鋭意取組んではおりますが、全国のネットワークをもった塗料販売業団体として真に信頼される組合づくりを目指し、具体的な事業の積み重ねによる成果の実をあげ、スピード感溢れる活動を行う所存でございます。

 また、先日開催されました第143回理事会におきましても、委員会構成メンバー、ブロック長の選任が行われました。新たな執行部と各地区の精鋭のメンバーで構成されている各委員会委員の皆様と力を合せ、ブロック運営と委員会事業の推進に力を入れて行くことにより、一体感を持った組合運営が可能になり、あるべき日塗商の姿が明確になるものと期待しております。

 組合の活性化は、多くの組合員の皆様の組合事業への熱心なる参画により成されるものであります。組合員の皆様並びに業界関係団体の皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げ、この厳しい経営環境を乗り越え、組合自ら革新して行く事を決意披瀝し、ご挨拶とさせて頂きます。

 これからもまだまだ暑い日が続くものと思われますが、皆様にはくれぐれも健康にご留意頂き一層のご活躍をご祈念申し上げます。
■保全工事の技術開発を
社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 本山 蓊 会長
 本年の夏は一段と厳しい様相を呈している暑い夏になりそうであると言わざるを得ないと思われます。

 特に全世界、否、地球全体を含めて危機的な問題として、米国の金融危機がドルに対する信用を揺るがしていますし、原油や原料価格の高騰、食糧問題や環境問題等、そして、相変わらない中近東の戦火、アフリカの紛争等々、近くの北朝鮮や中国、モンゴルの暴動は言ってみれば新聞、マスコミに話題提供事件のみが毎日を賑わせているようです。しかも、我が国の社会面もそれに相当するような事件のみです。

 政治、経済に於いては、いわゆる、ねじれ国会の混乱は益々深刻になり、お互いに行政への八つ当たりによる官僚たたきに現を抜かし、社会受けをしている現象は真に嘆かわしいしだいであると思われます。

 しかし、産業界は何とか低成長とは言え、生産性向上に努め、3パーセント台は何とか確保し、設備投資も一応の水準で進展しているようです。しかし、建設界(土木・建築)は相変わらず、建設行政、建設産業界や関連業界を含めて、真に暑い中元を迎えているのではないかと思われます。

 この数年、GDPの足を引っ張っていた建設投資もやっと35兆円台で減少の底をついた感が無きにしも非ずで、一時は40〜50パーセントのシェアであった官公需が30パーセントぐらいで落ち着くものと思われます。

 しかし、これも相変わらずの公共事業悪者論は無くなった訳ではなく、財政再建絶対論者の矛先はいつもこちら向きです。しかしながら、社会資本の整備なくして、国力なしで、国民の安全、安心な生活もできず、国の存亡に関わる事と思われます。しかし、この財政難の中、道路特定財源はガソリン消費量の増大で豊富な事に目を付けられ、あらゆる方向より、その使途等を追求され多少反省すべき点もあったのは認めざるを得なかった点はあります。しかし、世間で言われるような不用な事業は必して無い事は断言しておきます。他の地域の人にとっては分からないが、当地の人は必要な事業しか無いことは確言できます。

 また、公共事業に対する社会の目が厳しく、各種の法律への遵守が要望され、特に、明治政府制定の入札契約制度が80年ぶりに改正され一般競争になった混乱は、国土交通省を中心に法律制定、改正や施策により順次おさまりつつありますがまだ当分は続くと思われます。しかしながら、順次施策や人々の慣れ等により収まるものと思われます。

 また、公共事業についても現在、必死で改善改良を加えられているようであります。特に、道路整備について、その計画についても、中長期計画等を検討するように要求され、今年度一杯は大変な年であります。従来、新設、改良等に重点が置かれていたが既設施設の長寿化や延命、改善等も重点を置き、保全工事を充分、計画することを検討されています。

 我が技術協会もこれに対応し、既設の長大橋等に対しても、今までやったことのない吊橋や斜張橋等についても大いに技術開発等によってコストや品質改善等を進める決意であります。  建設生産性が他の製造業の生産性より低いと言われています。固有の土木、建築技術は高度ではあるが管理技術を加えた生産技術または生産システム技術は低いと言われています。これについても、我が技術協会は土木塗装生産技術‐工学の研究、開発を進める所存です。皆様のご指導、ご支援をお願いいたします。
■環境問題への取り組みを加速
社団法人日本塗料工業会 小林 正受 会長
 6月の月例経済報告で、わが国経済の景気に関する基調判断は「足踏み状態にあるが、一部に弱い動きが見られる」として、政府は3ヶ月振りに下方修正しました。また、「景気は踊り場的状況に踏みとどまっている」としているものの、原油価格や米国経済の動向次第で後退局面入りしかねない状況にあるとの懸念も表明するなど、景気の下振れリスクは高まりつつあると言えます。

 殊に塗料需要との相関性が高い住宅建設の低迷は、深刻な事態であると言わざるを得ません。また、自動車業界におきましても、海外市場の拡大による輸出の増加によって、国内の自動車生産台数は1100万台を維持しているものの、国内自動車保有台数が先進国で初めてマイナスに転じるなど懸念材料が多く、塗料需要の大きな伸長が望める環境ではなくなりつつあります。さらに、新興経済国の旺盛な需要を背景に、原油価格は引き続き史上最高値を更新しつづける中、塗料業界は未曾有の原料高に見舞われ、経営環境は悪化しています。

 一方、7月に開催された洞爺湖サミット(先進国首脳会議)において、懸案事項であった温室効果ガス削減目標について「2050年までに世界全体の排出量を半減するという長期目標を共有することを目指す」という合意がなされ、温室効果ガス削減に代表される環境問題は益々重要な課題となりつつあります。塗料業界としてもその問題の重要性と喫緊性を再認識し、環境問題への取り組みを加速させていく必要があります。

 こうした厳しい環境であるがゆえ、塗料産業に携わる製・販・装の各団体が手を携え、塗料業界が健全に発展しつづけられるよう活動を推進していくことが重要であると考えています。

 そんな中、日本塗料工業会は、環境対策面では引き続きVOC排出抑制の目標達成に向けての努力を継続するとともに、安全対策面においてもGHSの適性運用、更にはREACH対応にも万全を期するべく会員各社へのタイムリーな情報提供などに努めてまいります。
 また、当工業会は、塗料のもつ新しい機能や色彩による景観の改善効果についてのPRを積極的に行い、塗料及び塗装の普及活動における中核的な役割を果たしてまいります。

 今年度はその新しい試みとして、大人から子供まで色彩や塗料・塗装の魅力をわかり易く体験できるイベント「Dream Painting 2008」を東京・科学技術館で開催する予定です。ぜひ、多くの方に参加していただきたいと思います。

 わが国の塗料業界は幾多の課題を抱えておりますが、日本塗料工業会といたしましては、それらの課題を一つ一つ解決していきながら、業界の更なる発展に向け一層の努力を重ねてまいる所存でございますので、ご支援、ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。

 これからまだまだ暑い日が続くと思いますが、皆様方には健康に十分ご留意の上、ご活躍されますことを祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
■10事業を推進
日本建築仕上材工業会 常山 洋 会長
 暑中お見舞い申し上げます。  これまで長く続いていた我国の経済成長も、米国のサブプライムローン問題の表面化により米国貿易が減速傾向となり、世界的な株安や原油高などの影響により減速傾向が続いております。

 そして我々の業界も、昨年6月の「改正建築基準法」による建築確認の厳格化により、新設住宅の着工戸数の大幅な減少が続いており、2008年に入っても回復が見られない状況が続いています。そして中小のデベロッパーや工務店の倒産が増加してきております。
 このような厳しい状況の中、日本建築仕上材工業会も5月16日に関連団体NPO法人湿式仕上技術センターとともに総会を開催し、20年度の事業計圃のもとに、工業会の活動を今までより活発に推進して参りたいと思います。

 我国で開催されるサミットでも、大きく取り上げられるであろう地球温暖化問題にも、ここ数年工業会も取り組んでいますが、さらにこれまで以上に取り組んでいく必要があると思います。
 そして新たに「200年住宅」や「サステナブル建築」における塗り仕上げの役割を再構築する必要があります。そして次なる10の事業活動を掲げ、NPO法人湿式仕上技術センターとの連携のもとに推進して参ります。

1、NPO法人湿式仕上技術センクーとの連携による事業の推進
2、湿式材料・工法の広報活動の推進
3、環境問題等に関する調査研究及び環境負荷減少材料の普及・推進
4、建築物の維持保全に関する調査研究及び補修・改修材料・工法の普及・推進
5、新JIS制度の認証手続き及びGHSに関する情報収集・提供
6、新たな防火材料等の国土交通大臣認定取得に向けた調査・研究の推進
7、共同研究による技術向上と普及・推進活動へのフィードバック
8、ホームページの充実により材料情報の提供
9、講演会、講習会、説明会等の開催
10、関連学会、業界、関係団体への協力
■2つの保証事業で活性化を
全国マスチック事業協同組合連合会 山岸 純一 会長
 原油価格高騰、穀物価格高騰、など世界的な経済危機が叫ばれておりますが、昨年米国に端を発したサブプライムローン問題の余韻も残る現状では、将来の回復までとても見通せる情況ではありません。投機的な動きが支配的になっているようですが、原油離れ・石油離れの良い機会なのかもしれません。

 さて、日本経済もこれらのあおりで失速気味であり、こと中小・零細企業から見ればいい思いもせずにまたまた下降局面に突入という状況といわざるを得ません。これらに追い討ちをかけるように、食糧問題、医療問題、道路関係財源問題、果ては居酒屋タクシー問題とまさに世相を暗くすることばかりであり、省益を超えた正しい政治・行政がなされないと、日本はどこへ行ってしまうのか、ただただ不安が募るばかりです。

 私ども全国マスチック事業協同組合連合会のこの1年を振り返りますと、まず「工事完成保証事業」が正式に国土交通省の認可を得て動き出しました。すでに4件の実績を数えており、時代のニーズに合致した事業であるとの認識を持って、一層の事業拡大を図っていきたいと考えております。

 平成2年から始まった「長期性能保証事業」は昨期には事業開始以来最高の実績を上げることが出来ました。これまで18年間にわたる地道な広報活動と2700件を超える実績の意味が、一般ユーザーヘ浸透をしてきた証ではないかと考えております。今期も順調に推移しておりまして、前期並みの実績を上げるものと予想されます。

 「工事完成保証事業」と「長期性能保証事業」という二つの国土交通省認可の保証事業を展開できることになったことで、当連合会と傘下7組合の事業活動活性化をさらに進めてまいりたいと思います。

 平成12年から開催している「全国セミナー」は、今年度も6月の東京を皮切りに「信頼性向上セミナー」と銘打って全国10カ所以上での開催を計画しております。セミナーでは「工事完成保証事業」と「長期性能保証事業」の理解を深めていただくとともに、マスチックの歴史についてもあらためて学んでいただくこととし、さらに「事業継承」についても専門講師による講演を予定しております。  このセミナーを通して、最終ユーザーのメリットのためにも、中小・零細企業に対する信頼性向上のヒントを得ていただければと考えております。

 皆様には、マスチック事業につきまして従来に変わらぬご理解とご支援をお願い申し上げて、暑中お見舞いのご挨拶といたします。
■塗装業のイメージアップへ
東京都塗装工業協同組合 山岸 純一 理事長
 中国四川大地震やミャンマーのサイクロン被害があって大変なことだと考えていたところ、岩手・宮城内陸地震が発生し、あらためて地震・災害が我々日本人にとっても身近な出来事であることを痛感しているところであります。
 地球温暖化との関係はもちろん即断できませんが、世界中のいろいろな異常気象について、無関心ではいけないことだけは確かなようであります。

 また、先ごろは東京秋葉原で無差別殺人という常軌を逸した事件も起こりました。
 7名もの尊い命が何のいわれもなく失われたということは、心から怒りを覚えずにはいられません。犯人の心理分析や生い立ち等々について、これでもかこれでもかというほどマスコミは取り上げていますが、それ以上に大事なことは亡くなった方々のこれまでの人生や親族・親戚・友人・その他関係者の思いをこそもっともっと報道することではないでしょうか。プライバシーの許される範囲で、被害者の悲しみをしっかりと社会に伝えることこそがマスコミの大事な役割だと思います。刹那的な報道に走るマスコミにも事件の遠因があるといえば言いすぎでしょうか。

 世相の話が長くなりましたが、原油の異常な高騰で世界経済そのものが狂いだしているように感じます。日本経済も当然影響を受けているわけで、食糧問題、医療問題、道路関係財源問題、果ては居酒屋タクシー問題とまさにあちこちで問題噴出の観があります。省益を超えた正しい政治・行政がなされないと、日本は沈没するのではないかと、ただただ憂えるばかりです。

 日本の建設業界は公共投資の大幅な削減により、構造改革を求められているわけですが、われわれ中小・零細企業に出来ることには限りがあります。この時代を生き抜いていくため、伝統ある塗装業を次代へ引き継ぐため、少しでも努力していきたいと思います。

 当組合は昭和23年の設立以来60年の歴史を刻んでまいりましたが、去る5月にその記念式典を挙行いたしました。東京都からも青少年・治安対策本部久我本部長をはじめ多くのご来賓の皆様に御臨席をいただき、盛大なうちにも厳粛に60周年を祝うことが出来ました。明治20年の組合創立からは120年ということで、本当に大きな節目を多くの皆さんとともに記すことが出来ました。

 また先の総会に於いて、組合理事長の職をもう一期務めることになりました。これまでの4年間においてわが非力を十分に感じているところでありますが、それであればなおのこと、もうひと頑張りせよとの組合員各位の声と理解して、全力を尽くしたいと考えてお引き受けいたしました。まさに歴史と伝統に彩られた組合の、節目に立ち会っているという縁も何やら感ずるものがあり、こんにちただ今を共にする組合員各位とともに塗装業の隆盛のために少しでもお役に立てればと考えております。

 今年度も東京都、各地元自治体・警察署等のご指導による「落書き消去キャンペーン」が多く計画されております。この活動を通して、社会への貢献や塗装業のイメージアップに寄与できればと、当組合からも多くの組合員が協力を予定しております。
 関係各位におかれましてはこれまでと同様に格別のご指導・ご鞭撻をお願い申しあげるとともに、暑さの折り皆様のご健勝をご祈念申し上げて、ご挨拶といたします。
■可能性の追求を
大阪府塗装工業協同組合 田伏 健一 理事長
 5月の定時総会におきまして、引き続き理事長を拝命し2期目の任に就くこととなりました。あらためまして、旧に倍するご支援を頂戴いたしますよう心よりお願い申し上げます。
 さて、現在、我が国産業を取り巻く環境は、際限のない原油高騰により、かつて経験したことのない「景気回復なきインフレ時代の突入」となったわけであります。また、建設産業では、大きな期待感もなく、何とか乗り切っていっている現状が長く続いておりますので、原油価格の問題は、更なる重荷となって企業経営を揺るがしております。

 原油や穀物の先物取引による投機マネーが招いたこの異常な事態は人災と呼ぶべきものでありますが、中国四川の地震、さらには岩手・宮城内陸地震はまさしく天災であり、自然の猛威に対し何と人類は無力かを痛切に感じております。そうした天災の度に、建物や道路の崩壊を目の当たりにするわけですが、そうした建造物がいかに重要か、また、建設する際の優秀な技能と技術がいかに必要かをも感じてなりません。

 私たち建設産業の一端を担う塗装工事業においても、その塗装により水分の侵入を防ぎ、防食機能が働くことにより建物の安全性を高めていることを忘れてはなりません。そうした社会的使命を常に持ちながら日々の業務に活かしていくことも大切な原点回帰と思っております。

 私たちは技能を武器にしてきた技能集団でありますが、団塊世代の定年期到来により、そうした世代の優れた技が失われることのないようにしなければなりません。労働人口が減少していく中で、そうした世代や更に上の世代が持ち合わせる技と心を受け継いでいくことがとても大切ではないでしょうか。あるいは、そうした優秀な方々を何とか企業の力となっていけるような環境作りも併せて重要ではないかと考えております。

 今年度、厚生労働省から、高年齢世代の持つ優秀な力を企業で活かせることができないかなどの懸案について、事業を進めることが決定され受託いたしました。技能伝承と併せてそうした事柄についても研究、調査をし、報告書を作成することとなっております。私たち業界にとっての羅針盤になればと期待をしているところであります。

 さらには、環境に配慮した新たな塗装工法を推進していくことも求められておりますので、技術開発によって様々な要素を取り入れて、そうした新工法とも呼ぶべき塗装工法についても研究をすることになっており、ぜひ、実用化が図られることを望んでいる次第であります。

 こうした混沌と複雑化した社会にあっては、個々の企業体ではなかなかうまくいかないことでも、協同組合のような共同事業を図る組織体が進めることにより、一歩でも前進できるのではないかと切実に感じるようになりました。さらには、他の府県塗装組合とも一層連携を図り情報交換を密にお互いに胸襟を開いて話し合う環境作りにも努めていきたいと考えております。

 限られた時間で、どこまで成果を得ることができるかわかりませんが、可能性の追求をキーワードに組合運営を進めてまいりますので、どうか、皆様方のお知恵を頂戴し、組合ビジネスモデルの構築に邁進いたしたいと存じます。
 最後になりましたが、組合員、賛助会員はもとより、関係各位のご健勝、ご多幸とご事業のご繁栄を祈念しご挨拶とさせていただきます。
■相互に利用協力を
近畿外壁仕上業協同組合 岩田 紳一 理事長
 光陰矢の如し、と申しますが月日が経つのは本当に早いもので、あっという間に二期4年が過ぎ、本年5月の総会におきまして三たび理事長の大任を仰せつかり5年目に突入いたしました。関係各位の皆様には多方面に亘りお世話になり、ひとえに皆様の暖かいご指導、ご鞭撻、ご協力のおかげでここまで何とかやって来られたように思います。

 今、振り返って感じることは、一言、「皆様のおかげ」ということです。人生何事も一人でできるわけではなく、いろいろな方々のおかげで今の自分があり、会社があるのもお客様をはじめ社会や従業員など多くの人たちのおかげ、また組合があるのも当然組合員をはじめ、関係各位の皆様のおかげというごく自然の当たり前のことを改めて感受する今日この頃でございます。まだまだ人間的にも社会的にも未完成、不完全の私ですが、皆様のお力をお借りして再度頑張っていく所存ですのでよろしくお願い申し上げます。

 さて、本題に入りますがそもそも協同組合とは本来相互扶助を目的とした人的な結びつきの集合体であり、組合員の事業を補完することにより組合員の経営基盤の強化・経営活動の活性化・事業の利益に貢献することが目的であり、役割であると考えます。

 また、近年は組合員の経営に対する考え方の多様化に伴い組合に求められるものにも変化が生じているように思われます。時代のニーズに応え、フレキシブルに新しい事業にチャレンジし、組合員の皆様に存在意義と理念を再認識していただける明確な目標と行動指針を示し、組合員がともに参加行動できる体制と風通しの良い組織風土の形成が、真の活性化に繋がるものと考えます。  そこで、まず我々役員・事務局が「情熱と実行力に優るものはない」いう信念のもと先陣を切って行動し、異業種の団体・組合ともさらに交流を深め、時代に取り残されないように活動して参りたいと考えているところです。

 しかしながら、組合員の協力体制なくしては活動もままならず、様々な事業活動に対しては組合員全員参加を目指し、一人一人が業界のリーダーとして組合を牽引していただき、相互発展のためご協力をお願いしたいと考えております。当組合事務局には側面から力強くサポートする体制が整っていると自負しておりますが、一中小企業ではOA機器を持っていてもなかなか効果的に利用出来ないところを補い、効率的にまた有効に当組合を利用していただけるよう、様々なニーズに応えるべく情報化への対応を積極的に進めてまいります。

 殊にIT関連において、インターネットの活用によるネットワーク、ホームページの更なる充実、カラーシミュレーション、各種OAソフトの活用等々、組合活動の中枢機能の枢軸として事務局の更なる強化充実を目指します。

 また、我々の最も得意とする改修工事において、これからますます直接発注が多くなり、元請としての機会が増えてくるものと予想されますが、その際、改修工事の内容が自分の得意分野だけではなく、関連する分野も必ず出てまいります。ここで当組合の必要性が出てくるものと思います。それは組合員の皆様が各々持っている各分野の優れた技能、技術、そして管理ノウハウ、賛助会員の皆様の優れた材料、技術、経営、市場ノウハウを持ち寄り、互いの不足を補いながら相互に利用協力し合えることです。

 各種研修会講習会を通じ最先端の技術の習得・研鑽を図り、改修工事においてオールマイティーな企業の集団を目指し、今後さらに正確な情報を提供し組合員の皆様をより良い方向にご誘導できるよう、また「技術と技能と経営に優れた価値ある企業」として様々なユーザーに多くの信頼を得られるよう、役員一同、製・販・装の皆様のご協力ご支援をいただきながら取り組んでまいりますので、関係各位皆様の今後より一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。  最後に、まだまだ暑い日が続きますが、どうぞ皆様におかれましては健康にはくれぐれもご留意いただいて、この厳しい環境を乗り越えられ、ますますのご発展とご活躍を祈念して暑中の挨拶とさせていただきます。