◆日本塗装時報 2009年7月28日発行 1886号◆
■豊かで潤いのある社会・環境・人づくりを
社団法人日本塗装工業会 白川隆幸会長
 先般5月21日に三重県桑名市で開催されました50回定時総会におきまして、平成21年度事業計画ならびに予算が原案通り承認され、新年度事業の推進に本格的に取り組んでいるところです。

 すでに皆様ご承知のように本年度は、長期方針を「広く社会に認知される組織としての自覚の下、社会との絆をより深め、塗装工事業のさらなる飛躍をめざし、豊かな環境づくりに貢献する」とし、さらに「重点施策」として「1、社会のニーズを的確に捉えた諸施策を推進し、希望あふれる業種としての確立を図り、その重要性を周知する」「2、建設産業の一翼を担う誇りと情熱を持って、地球環境保全に取組み、その役割を果たす」「3、『技術と経営に優れた専門工事業』をめざし、社会の信頼に応える」「4、企業の社会的責任を明確にし、その責務を果たし、健全な発展をめざす」の4項目を掲げ、これらに沿い各委員会事業計画が策定され、具体的諸活動を展開してまいります。

 さて、わが国経済は世界を巻き込んだ不況の中で、まさに未曾有の危機に直面しています。我々業界も例外ではなく、このときこそ、全国会員が一致団結して組織力を生かし、困難に立ち向かって行かなければなりません。

 塗装技能労働者の雇用安定化を図るため取り組んでいる建設業務労働者就業機会確保事業の構築はその善後策のひとつであります。

 建設塗装基幹技能者につきましては1900名を超えることができました。昨年、当会は登録基幹技能者運営団体としての登録手続きを行い、それに伴って、建設塗装基幹技能者としてこれまで認定された会員を対象とした特例講習を、順次各ブロックで開催いたしております。その後会員以外の方を含めたオープン参加での新講習を3月5、6日に東京で開催しましたが、さらに9月3、4日に大阪で開催する予定です。

 本会は直接施工する技術・技能集団です。本年度はその「技」を競い合う第22回全国建築塗装技能競技大会を10月7、8日の2日間にわたり岡山県で開催いたします。
 今大会では、一般見学者から「フレックスコート自由仕上げ」課題において採点投票していただく新たな表彰も予定しております。是非、多数の皆様に選手達の汗する勇姿を見ていただければと思います。

 そのほか、戸建住宅の塗り替えを日塗装で保証するペインテナンス(戸建住宅リフォームサービスシステム)キャンペーンは記念すべき第10回を迎え、記念企画として「ベスト塗替え賞(写真コンペティション)」等を実施してまいります。
 また、生活環境改善のための「落書きなくし隊」、遮熱塗装、耐火塗装施工等の技術・工法の研究及び本会開発保有工法等の普及を継続して推進、「戸建住宅・集合住宅塗装改修テキスト(仮称)」の発刊、HPの充実等、広く塗装業の地位向上を図ってまいります。

 先人が築き上げてきた60年の伝統と新たな「絆」を礎に、決して臆することなく前を向き、立ち止まらずに「行動する日塗装」の下で事業の効率化、活性化を積極的に進め、さらなる基盤強化に向けて、全会員が自覚し、結束する必要があり、豊かで潤いのある社会・環境・人づくりに力強く取り組んでまいります。

 会員の皆様をはじめ関係各位のご理解と一層のご支援をお願いいたします。
■果敢な取り組みを
社団法人日本塗料工業会 酒井健二会長
 ご高承の通り、昨年後半から経済環境が世界的に連鎖して一気に悪化し、直近では、かつて「ビッグ3」と言われた米国の自動車メーカー3社のうち、2社までもが経営破綻に陥りました。世界経済は非常に厳しい状況に直面しております。

 去る6月13日にイタリア・レッチェで開かれた主要8カ国(G8) 財務相会合では、世界経済は「株式市場の回復など安定化を示す兆候がある」との共同声明が示されましたが、一方で、引き続きリスクが存在するとの指摘もございます。

 日本では6月の月例経済報告の中で、「景気は、厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きがみられる」とされていますが、生産活動が極めて低い水準にあり、雇用情勢の一層の悪化や景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があります。個社においても、言うなれば「底状態」で新年度を迎え、早々なV字回復が期待できるわけでもありません。このピンチを受け身で過ごすだけでは、将来は切り開かれず、他に伍しての努力、あるいは独自のヒントを得るなど、チャンスをつかみ、果敢に取り組んでいく姿勢が必要ではないでしょうか。

 このような中、企業の、環境や安全などの社会問題への対応がますます厳しく問われており、日本塗料工業会においては、一つ一つの課題に着実に対応して参ります。欧州連合(EU)は、生態系への悪影響、異常気象から気温上昇幅を産業革命前に比べ、2℃以下に抑える方針を定めています。日本の温室効果ガス排出削減は、最新の中期目標で「2005年比15%減、1990年比8%減」と表明されています。当工業会としましても、塗料製造における省エネ活動の推進はもちろんのこと、高反射率塗料等機能面からも貢献して参りたいと考えます。

 今後、新たな課題への対応を迫られることもあろうかと存じますが、5月の会長就任時にも申し上げました通り、業界の持てるパワーを結集、最大限に発揮し、より効果的な解決に真摯に取り組んでゆきたいと存じます。
 塗料産業界の普及・広報につきましては、製造・販売・塗装の各団体が連携し、一般消費者層を含めた多方面の方々に、「塗料による塗装によって得られた塗膜の価値認識」をさらに向上していただく機会を増やすことにより、ひいては塗料需要の回復、拡充を図って参ります。

 業界の更なる発展に向け関係各位のご意見を賜り、尚一層の努力を重ねて参る所存でございますので、引き続きご支援・ご協力の程、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 温暖化の影響もあり、しばらく暑い日が続くかと存じますが、皆様方には健康に十分ご留意の上、ご活躍されますことを祈念いたしますとともに、遠からず景気がいくらかでも回復しますことを期待し、暑中のご挨拶にかえさせていただきます。
■変革とチャレンジを
日本塗料商業組合 友野昌幸理事長
 政府の景気浮揚策が幾分かは効果が出ているのかも知れませんが、景気減速に歯止めがかかり、回復の気配に転じたと政府筋より「景気底打ち宣言」が発表されております。しかし、このまま景気の上昇が一本調子で続くとは考え難く、まさに塗料業界も大きな過渡期を迎えております。

 現在の少子高齢化、雇用問題、収入格差など、将来への不安が入り乱れ、同時に、大きく世界経済が縮小している中で、個人消費、設備投資への意欲も減退しており、塗料の需要を何所に見出していくのか、製販装の普及委員会でも検討がなされております。

 業界挙げて需要の喚起を追及するのは当然でありますが、取り巻く環境がこのように大きく変われば、旧態依然とした経営の有り方は、今の世では許されず、存続して行くことさえ難しい時代になって来ているのかも知れません。

 当然、各社進むべきベクトルは同じではありませんので、各社の独自性と業界の現状を充分に認識した上で、如何に変革するのか、時代のトレンドを如何に捉えるのかを懸命に模索し、チャレンジをしなければならないと考えます。
 業界の経営者も初代から2世、3世の時代になっており、時代の変遷に適応した組合のあり方も、その運営方法も見直す必要性も出て来ております。
 組合におきましても、塗料普及活動の一環として、昨年来より機能性塗料の展示会を各ブロックで開催しており、業界関係団体の皆さまにもご協力を頂き、多くの皆さまに来場頂いております。ご参加の皆様のアンケート結果を拝見しても、概ね好評を得ており、今後とも継続的に推進する事としております。

 また、重要課題として、環境問題や塗料調色技能検定、経営の合理化としてEDI受発注の取組み等に各委員会メンバーを中心として鋭意取組んで頂いており、また、組合社店の店頭に掲げる集客の為の「のぼり旗」や地球温暖化防止の取り組みとして「クールビズ」のポスターも製作し、組合員の皆さまに配布させて頂くなど、様々な事業を実施しております。

 このような具体的な事業の積み重ねによる成果の実をあげ、多くの皆様にご賛同頂き、真に信頼される組合づくりを目指し、スピード感溢れる活動を引き続き実行する所存でございます。

 組合の活性化は、多くの組合員の皆様の組合事業への参画意識の高まりにより成されるものであります。その為にも、組合活動の基軸であるブロックを通じた活動と各委員会事業の推進に力を入れることにより、一体感を持った組合運営が可能になり、あるべき日塗商の姿が明確になるものと期待しております。

 取り組む課題を多く抱える中、今後とも組合員の皆様並びに業界関係団体の皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げ、組合自らの革新を目指すことで、ご期待に応えるべく努力したいと思っております。  これからもまだまだ暑い日が続くものと思われますが、皆様にはくれぐれも健康にご留意頂き一層のご活躍をご祈念申し上げます。
■新会長に就任して
社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 鈴木精一会長
 第37回通常総会にて、本山蓊会長の後任として、新理事の互選で指名を受けました鈴木です。宜しくお願い申し上げます。

 本山会長は、我が国の建設行政に長く従事され、特に橋梁建設については、本四架橋、関西空港建設にも従事されて、退官後も橋梁業界で活躍されました。
 橋塗協では、第27回通常総会で、会長となり、長きに亘り、本会の事業推進にご尽力を戴き、深く感謝申し上げます。

 今後共、本会の事業推進に、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。
 塗装業界(橋梁塗装)の、先輩方が鋼橋塗装工事業の発展、技術と品質で、橋を美しく守ることを目標に、「日本鋼橋塗装専門会」が設立され、現在の「日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会」を設立しました。  時の経過、社会の変化により、厳しい状況となりましたが、現在、橋塗協の重点目標は、橋梁塗替工事の元請体制(施工管理、塗装技術)の維持と技術力の向上(高塗着スプレー塗装NETIS登録、普及及び促進)であります。

 この為にも、関係業界、皆様のご指導、ご協力と会員各位のご協力が、是非とも必要であります。国交省は、社会資本の良好な維持管理が必要と言っています。

 鋼構造物の維持が見直されている状況であります。
 橋塗協が、会員各位、業界関係者と連繋して御発注者から信頼を頂けるように頑張ります。
 私は業界人であります。私は力不足ですが、しかし、お受けした以上は全力で頑張ります。
 皆様の、ご指導、ご協力をお願い申し上げて、ご挨拶とさせて戴きます。
■時代に即した商品を提供
日本建築仕上材工業会 常山洋会長
 平成21年も半年を過ぎましたが、昨年秋の米国発サブプライムローン問題に起因する金融不安が世界中に広がり、大きく景気を後退させております。

 ここのところ為替レートの落ち着きや株価もやや上昇し回復しております。しかし依然として景気の底が見えず、先行き不透明な状態にあります。そしてメキシコで発生した新型豚インフルエンザが世界中に広がり、経済活動に与える影響も懸念されております。また原油価格もじわりと上昇しており、この事も景気回復の足を引っ張る心配もあります。

 このような状況の中で新設住宅着工戸数は大幅に滅少しております。また住宅業界では、今年10月1日に施行される瑕疵担保履行法に向けての対応が求められております。住宅業界は量から質への転換の時代であり、長期優良住宅と環境に対応する商品や工法が求められております。

 我々の業界もこのような時代に対応できる自然素材を使って、住環境を快適にするいくつもの性能を発揮する商品や工法があります。
 自然素材を使用した塗り壁は、吸放湿性に優れ、室内の湿度を調整する性能を持っており、健康で快適な室内環境を作り出します。

 またシックハウス対策にも大きな効果があり、ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着致します。またマイナスイオンの生成を増強させる効果もあります。そして結露防止や省エネルギー効果もあり、環境には優れた性能を発揮します。

 このような数多くの特徴を持った湿式左官工法はこれからのために新たな商品開発や工法開発に取り組み、湿式工法の発展の為に努力していきたいと思います。
■「塗装の良さ」を社会にPR
東京都塗装工業協同組合 山岸純一理事長
 日本の景気も底をついたと言われておりますが、こと建設業界に限ってはなにやら次から次と難題に見舞われているうちに、どんどん月日ばかりが経過してきているように感じます。

 改正建築基準法に端を発した問題で、新築工事がダメージを受けたところに、「サブプライムローン問題」と「リーマンショック」で金融機関の対応が急変し、不動産案件への投資がストップして売上げが急減してしまいました。

 さらに米国における自動車産業の衰退が日本メーカーにも波及し、日本国内の産業構造にも変化が求められています。
 追い打ちをかけるように「新型インフルエンザ」が発生し、冬場にはふたたび感染拡大が憂慮されて、建設業界においても経済活動への影響が心配されます。
 身近な課題では、1級建築士や監理技術者に対する規制が強化され法律の厳格な適用が広がったことで、中小建設業者はこれまで以上に管理能力を問われています。

 この様にみてくると中小・零細企業にとって、事業を継続していくことが、ますます困難な時代になり、難題がいくつも立ちはだかっていることを肌で感じざるを得ません。
 さらに、事業を承継していく上で、跡継ぎの問題も大変重要であります。希望のもてない産業であれば、跡を継ぐ若者の意欲も削がれてしまいます。

 建設業界は社会的な資本である建築物を造り、それらを維持保全していくという、国の根本を支える産業と言っても過言ではありません。
 その建設業を下から支える中小・零細建設業者に活気と希望がなければ、衰退を余儀なくされるだけではなく、他の産業に取って代わられてしまうことも考えられます。

 本来他の産業では吸収できない、ことばは良くありませんが、真面目でも社会から落伍しそうな部分は、いったい建設産業以外のどこで吸収するのでしょうか。
 私は、この様に建設産業の社会における存在意義も役割も、たいへん大事なものがあり、誇りを持って職業とするに足る産業であることを、声高に唱え、若者が希望のもてる産業に盛り立てていかなければならないと考えます。

 私ども東京都塗装工業協同組合(東塗協)では、4年ほど前から東京都、地元自治体及び警察署などの主導のもと「落書き消去キャンペーン」に協力してまいりました。延べ30回以上の回数を数えますが、地域の治安対策にもいささか貢献できたのではないかと考えます。

 それだけではなく、団体の存在感を示すと共に、「塗装の良さ」といったものをボランティアで参加された一般市民の皆様に実感していただく場でもあるのではないかと思います。

 事実、キャンペーンに参加された学生さんから年配のみなさんまで、ローラーや刷毛を持って作業されているときの本当に生き生きとした表情や、作業が終わって綺麗になった壁面を満足げに見ている姿からは、「塗装」の暖かさが伝わってくるように感じます。

 本来「塗装」の持っているこの味わいの良さを、業界はもとより、最終ユーザーのみなさんへ伝えていくのが、我々東塗協の大きな役割の一つなのだと思います。

 今後とも東塗協へのご理解とご支持をよろしくお願い申し上げてご挨拶と致します。
■エア式静電塗装の普及を
大阪府塗装工業協同組合 田伏健一理事長
 本年5月の第63回定時総会におきまして、1年間の組合事業計画が決定され、早速、事業計画に沿って諸活動を開始いたしました。
 我が国の政治と経済が大きく変わろうとしている本年、私たちも生き残りを賭け、従来の尺度では測れないような新しい息吹を興さねばならない事は衆知の事と存じます。

 当協同組合では、昨年度から実用化に向け取り組んでおります新しい吹付塗装工法である「エア式静電塗装工法」を事業の中心に据え、既にPR活動を開始いたしており、お陰様で、多くの関係機関から概ね高い評価をいただき、さらに改良すべき点があれば、より良い工法に仕上げていきたいと考えております。

 また、こうした新工法の普及については優れた腕前がベースになり、さらには、多くの賛同者のご協力があってこそ成功に結びつくものであり、そのためには、新工法の的確な教育研修制度の確立、併せて、近畿地区に存在する塗装協同組合との価値観の共有化が必須であり、そうした活動も並行して進めてまいりました。

 また、塗装工事業界に対する一般世間の認識を向上させていくことも大変重要であり、一般社会から信用されることにより、先述の新工法への理解が深まるものと信じております。そうした地位を確保することは一朝一夕には成就しませんので、地道な努力によって奏功するものであります。  そういう意味からも本年度は、大阪市が力を入れられている、街頭犯罪ワースト1返上のための事業に協力することとなりました。

 事業の一環として、街頭における環境美化活動、いわゆる、街並みの景観を乱す落書きを消去するため、地域の住民が自主的に落書きを消すにあたり、塗装の指導員として助言、指導を行うものであります。

 これは、従来から実施している青少年による落書き消し塗装ボランティア事業の成功が大阪市から注目され依頼があったものです。
 さらに、既述の通り、大阪府だけでなく近畿地区の塗装協同組合との一層の連携を深め共通の課題克服に努めることが本年度の事業の柱の一つでもあります。

 府県の垣根を超え、お互いに協力をしながら、大きな動きに繋がることが期待できるとともに、相互の情報交換を密にし、互いに良いものを吸収し補完していく関係こそが、一中小企業だけではできない協同組合としての役割であると確信いたしております。

 組合に加入してもメリットがない、という発言が他の協同組合、他の職種でも耳にしますが、組合員であることが誇りであり、そのことがメリットであると感じていただけるような協同組合を目指し、事にあたってまいりますので、組合員の皆様、関係各位の皆様方のご理解とご支援、また叱咤激励を頂戴しますようお願いを申し上げ、暑中号発刊にあたりご挨拶とさせていただきます。
■各団体の相互協力で 最先端の技術の習得を
近畿外壁仕上業協同組合 岩田紳一理事長
 皆様のおかげをもちまして当組合は創立40周年の節目を迎えることが出来ました。
 これもひとえに組合設立以来、今日まで築き導いてくださいました先輩諸氏、支えていただきました関係各位の皆様のご支援、ご協力の賜物だと深く感謝し深甚なる敬意を表する次第であります。

 先般、6月には創立40周年記念式典が盛大に執り行えましたこと、その際惜しみないお力添えをいただきましたすべての皆様方に対しまして誌面をお借りして改めて衷心より感謝いたし、厚く御礼申し上げます。

 さて、政府も様々な経済対策を施しており、経済効果が現れている面も少なからず見受けられ、我々も大いにこれからも期待をかけたいところですが、選挙のための実現性や疑問符の付くような政策や、将来にかけて目先の効果だけではなく中長期において経済を強く活性化させるための政策が欠如しているように思えるのは私だけでしょうか。やはり今こそ我々国民の目線で総合的な施策を考えて実行してほしいものです。

 また、建設業界におきましても全体の需要の減少に歯止めがかからず、一段と受注競争が激化し、不動産、ゼネコンの破綻等により裾野の我々中小専門工事業者が倒産、廃業に追い込まれるケースもあとを絶たず、終わりのない受注競争、過当競争の渦に飲み込まれているように思われます。このままではお互いに疲弊して、将来において業界の発展に危惧を抱かせる要因にもなっているようにも思われます。

 こうした試練の時こそ自らの力で需要を掘り起こすため今まで積み上げてきた優れた技能・技術・知恵・経営力を生かし、ここぞというときに果敢に攻めることの出来るような体制作りも必要かと思われます。

 当組合におきましても経営に対する考え方の多様化に伴い組合に求めるものにもやはり変化が生じ、その存在価値自体にも影響を及ぼしてきているように思われます。故に今こそ組合員のニーズにあった事業を行っているか、業界ひいては社会的に存在価値があるような活動をし、貢献しているかをもう一度考え、今こそ変革する絶好の好機と捉え、この激動の時代を乗り越えて行くため、変えるべきものは大胆に変革・改善し、実行してゆく所存であります。そして組合として本来あるべき姿を常に念頭に置き、アクションを起こして少しずつでも笑顔を持って歩んでゆきたいとも考えております。

 さてこれからも建築ストックは増え続けます。ということはリフォーム・改修という観点から見ると我々の努力により明るい未来を予想することもまだまだ可能です。そして改修工事の内容が自分の得意分野だけではなく、関連する分野も必ず出てまいります。ここで組合・団体の必要性が出てくるものと思います。

 それは様々な各種専門工事業の組合・団体の皆様の各々持っている各分野の優れた技能・技術・経営・市場ノウハウ等を持ち寄り、互いの不足を補いながら相互利用協力し、最先端の技術の習得・研鑽を図り、オールマイティーでフレキシブルに富んだ活動の出来る組織、団体集団を目指し、関係各位の皆様とともに参加行動できる体制と、風通しの良い組織風土を形成していくことも必要かと思われます。

 組合の真の活性化を図るためには、まず我々が情熱と実行力に優るものはないという信念のもと、率先して活動し、これからも同業種、関連団体・組合だけではなく異業種の団体・組合とも今以上さらに交流を深め、時代に取り残されないように活動して参る所存ですので、関係各位皆様の今後より一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。

 最後にまだまだ暑い中が続きますが、どうぞ皆様方におかれましては健康にはくれぐれも気を付けていただいて、この厳しい経済情勢、環境を乗り越えられ、ますますのご発展とご活躍を祈念して暑中の挨拶とさせていただきます。