◆日本塗装時報 2008年1月18日発行 第1864号◆
■「職場力」世界NO.1を目指して
関西ペイント 小林正受社長
 成長路線へと舵を切った第11次中期経営計画も本年3月末をもって最終年度の締めを迎えようとしています。
振り返ってみますと、この間原材料価格は未曾有の高騰を続け、いまだにその出口すら見えないという異常事態が続いております。このような市場環境にあって、利益計画に関しては残念ながら中計最終目標値の下方修正を迫られる事態に立ち至りました。しかしながら、売上に関しては中計目標値を前倒しで達成しており、成長戦略そのものはむしろ計画を上回るスピードで進捗しています。

 今期の通期見通しについては、原油価格、為替動向、サブプライム問題の実体経済への影響など不透明な要因が多く、予断は許されません。しかし、同業他社が軒並み減益決算を余儀なくされるなか、6期連続最高益更新をしっかりと視野に入れながら、更に大きな目標に向かって挑戦できることを誇りに思うとともに、皆さんの日頃のご努力とご奮闘に心からの感謝と敬意を表します。

 本年4月からスタートする第12次中期経営計画は、グローバルトップ5入りへのステップアップのステージと位置付けています。 しかし、そのためには経営者並びに全社員が各々の資質を更にステップアップすることが必要です。

 中計においては、「職場力向上への高い志とその実践」を訴えてきました。
 このことの重要性は12中計においても何ら変わることはありません。
 同じことを繰り返します、@安全と環境に配慮しながら、A付加価値の高い品質とサービスを、B競争力あるコストで、提供することです。そのためには、C思考はグローバルな視点で、D行動はスピードをもって、仕事に臨むことです。

 「職場力」世界NO.1を目指して頑張りましょう。
■「発展・飛躍の年」に
日本ペイント 松浦誠社長
 今日から2007年度の第4四半期が始まります。言い換えれば、2010年長計の2年目、すなわち「戦う基盤整備」のラストスパートです。弱点克服、課題解決の最終コーナーに差し掛かりました。皆さん一人ひとりが、“当事者”として、決して手を抜くことなく、全力で、自部門における課題の抽出とその解決に最後まで取り組んでいただきたいと思います。その執念こそが、08年度以降の私たちの戦いの成否を決めるカギになることは間違いありません。

 3月末で終了する2007年度の通期業績は、予想をはるかに上回る原材料の高騰という逆風の中ではありますが、期初計画に近い数字で着地できるものと予想しています。4月からの新年度におきましては、いよいよ「打って出る」(売ってでる)勝負の戦いに突入したいと思います。私自身、営業の現場により重心を置いた活動をいたす所存です。

 2008年度の方針につきましては、例年のように3月14日の創業記念日に詳細を発表したいと思いますが、そのキーワードは、「環境」、「グローバル」、「連結経営」になります。「環境」と「グローバル」は、「どこで戦うか?」であり、「連結経営」は、「どう戦うか?」であります。「環境は」チャンスであるとともにピンチにもなりかねません。環境配慮型商品を計画通りに上梓することが重要です。

 原料高騰の中、それなりの業績を上げ得ているのは、中国を始めとする海外事業の好調によるところが大です。最も競争の激しい国内市場で培った力を、海外事業の成長、拡大に効果的に活用しなければなりません。

 各部門、各機能、各関係会社が目指す目標を共有し、その目標に向かって、各々が有する強みを出し合い、相乗効果を発現する「連結経営」の実践が、今、私たちに必要であると思っています。昨年末に本社の玄関脇にグループ会社の会社名を入れたモニュメントを作りましたのも、この「みんなで戦う」姿勢、すなわち「ワン・チーム」であることを具体的に表したいという思いから作ったものです。是非、皆さん一人ひとりが、このような「チーム・スピリット」を持って業務に当たっていただくようお願いいたします。

 各事業所を訪問した際にいつも申し上げています通り、「安全とCSRが経営の基盤」です。昨年末、大手化学メーカーの工場で、大きな火災事故が発生しました。操業再開までには数ヶ月かかるであろうと予想されています。万一、当社内で同様の事故が起ると、たちまちお客様に対する供給責任を果たすことが出来なくなり、会社が存亡の危機に瀕することは火を見るより明らかです。皆さんの生活を守るためにも、「安全第一」の実践をぜひともお願いいたします。

 この新しい年が、皆さんと皆さんのご家族にとって幸多き年になることを祈念いたしますとともに、日本ペイントグループにとりましても、「発展・飛躍の年」になるよう、皆で誓いを新たにしたいと思います。ともにがんばりましょう。
■ピンチをチャンスに
エスケー化研 藤井實社長
 この新年の干支は、戊子(つちのえね)です。十二支からも、始まりの縁起の良い年柄です。また、子年は、ねずみのごとく細やかな行動を取り、成果を齧り取り、増殖をして、繁栄をしていく格好の時期でもあります。仕事では、例年以上に、新製品、新需要の開発を行い、新しい様々な仕事にチャレンジして進んでいかなければなりません。

 しかし、今年の世界の幕開けを見、将来を見通せば非常に厳しいものとなることが予想されますので、私自身も例年になく身が引き締まると同時に、決意が高まる新年です。今年の内外の諸情勢は、4日の年初からアメリカの株価が暴落し、原油価格も1バレル100ドルを超える時代がやって参りました。その余波を受け、日本の株式も、初取引で700円近く暴落するという、近年に無い事態となっています。円は約114円から107円代に一気に上がり、輸出がしにくい状況です。更に、我々が使用している諸原料の価格へも影響が大きく、利益が減少する傾向にあります。

 アメリカでは、昨年からのサブプライム問題が大きく尾を引き、世界的に、金融関係を始め様々な産業へと大きな影響を与えていくことでしょう。アメリカの経済成長率は、以前は4〜5%の経済成長率であったものが、今年は1・5%程度と大きく下がることが予想され、世界経済への影響が懸念されます。中国、アジア諸国も、スローダウンせざるを得ない状況が考えられます。このような黄信号が点灯している世界情勢を考えた上で、国内経済を捉えることが大切です。

 このような中、考えなければならないのは「ピンチがチャンス」、ということです。つまり、ピンチの時は、周囲の誰もがピンチなのです。このような中で「我々は一層頑張ります」とやる気を見せれば、互いが鞘に納まり、気持ちも一つになり、今まで否定的だった人も肯定的に変わるチャンスでもあるのです。これを念頭におけば、個々人、あるいは会社の大いなる発展があることでしょう。  また、現在は国際化時代です。当社も国内だけでなく、世界の中の日本として捉え、進んでいかなければなりません。ピンチをチャンスに変える姿勢で、チャンスだらけの今年の仕事を作り上げていくことが大切です。インターナショナルな働きを一層高め、「新・新・新」と常に新しい拠点作り、新しい人作り、新しい需要作り、新しい市場作りに、あらゆる角度から対応をしていく所存です。

 さて、昔からの格言の一つに、「一成三年」という言葉があります。これは、一つのことを成し遂げる為には三年はかかるという意味ですが、当社は50〜52期と3年をかけ、1000億企業に向けた土台作りを推進して参りました。今後は、その上を突き進めていくだけです。

 本年は厳しい諸情勢下ではありますが、ピンチをチャンスに変え、共にエスケー化研グループの業績を大きく発展させていこうではありませんか。
■「顧客起点の活動を」
イサム塗料 塩崎征二社長
 世の中の変化の中で、一番大きく変化しているのは『情報』である。『情報』は全世界から瞬時に集まり、今までは一方的に与えられるだけであったのが、自分が発信する立場にもなる。昨年発覚した様々な偽装問題も、『情報』が漏れた結果であり、良くも悪くも企業のすべての情報が出て行く時代になった。ユーザーのニーズは多様化しており、今年はユーザーの視点に立つことを経営方針に掲げた。お客様の本当の情報は、人と人とが接しないと得られない。そこには『笑顔』が大切である。

 昨年、タイのTOA社と提携したが、驚いたのは契約前から他国への輸出の話が出たことである。日本の市場は大きいからまず国内市場だけを考えるが、他のアジアの国では最初からグローバルな発想をしている。海外メーカーとの提携はそうした考え方の勉強にもなる。原油高騰の影響については、かつての石油ショック時とは全く違う状況にある。石油ショック時には市場からモノが消えたため値上げもできたが、今は石油も塗料も市場にあるから値上げが難しい。

 こうした状況を打破するのに特効薬はないが、ユーザーとの密着度を高めるしかないと考えている。メーカーの仕様とユーザーのニーズを埋めるのが販売店の仕事であり、今年1年を笑顔で頑張りたい。