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◆日本塗装時報 2009年1月18・31日発行 1878・79号◆
■「ピンチをチャンスに」
関西ペイント・小林正受社長
 皆さん、ご家族お揃いでよき新年を迎えられたことと思いますが、改めて初春のお慶びを申し上げます。

 サブプライムローン問題に端を発した金融危機は、あっという間に世界の実体経済を冷え込ませるとともに、世界の全ての通貨に対する未曾有の円高を惹き起こしています。とりわけ自動車業界の不況は深刻で、業績見通しの大幅な下方修正が連日報じられています。また、その他多くの消費財や工業製品も生産調整を余儀なくされるなど、事態は雇用問題にまで発展しつつありますが、この経済危機は世界同時不況によりもたらされたものですから、今やBRICS諸国を含め世界中の企業が、例外なく同様の難局に直面しております。

 当社も中間決算発表時に今期予想値を大幅に下方修正しましたが、その後のわが社を取り巻く環境は、一段と深刻化しています。
 自動車用塗料を核としてグローバル展開を加速して来た当社は、市場の急速な収縮に加え、円高というダブルパンチに見舞われており、これまで塗料業界の中では比較優位に機能してきた当社の事業ポートフォリオも、短期的とはいえ、現下の状況下では、むしろ厳しさを増幅するものと認識する必要があります。

 では、我々は、事態をどう認識し、どう考え、どう行動すべきなのでしょうか。
 今回の不況について一般的に言われているのは、@回復までに2−3年はかかるAこの長いトンネルをどれだけの会社が抜け切れるのかBトンネルを抜け切った時には、世の中の景色(産業地図)は一変しているかもしれない―ということです。

 以上の認識にたって、我々が今、為すべきことは、@緊急かつ短期的視点では、何としてでもこの長いトンネルから抜け出す(生き残る)ことです。そのためには、徹底した無駄とロスの排除が必要でA中長期的視点では、トンネル脱出後の飛躍を期し、企業体力を徹底して強化しておくことです。具体的には、トータルな業務プロセスをVALUE CHAIN(価値連鎖)という視点でゼロから見直し、真のコスト競争力を高めること、即ち当社が有する各職場の暗黙知を見える化(標準化)し、全体最適としての『関ペWAY』を一段高いレベルで再構築することです。
 今中期経営計画の数値目標については、修正というレベルではなく、白紙に立ちかえって見直しを行いますが、重点施策である@国内事業の収益性強化、A新興国を中心とした海外事業の拡大、B強固な経営基盤の確立は変りません。中でも、強固な経営基盤の確立(抜本的業務改革)は、本中計の最重要実施項目ということになります。

 ―思考は冷静沈着に、行動は熱く―

 いまこそ、全員が一丸となって、このピンチをビッグチャンスに変えましょう。


■「環境配慮型商品を強化」
日本ペイント・松浦誠社長
 昨年の11月頃から、世界中の景気が急速に冷え込んできました。我々の重要顧客であります自動車、建機、工作機械、家電なども大幅な減産が見込まれておりますし、少し前まで好調を誇っていた造船にまでも景気後退の影響が顕在化しつつあります。また、建築関係も低調です。

 わが日本ペイント・グループにおきましても、11月以降急速に業績が悪化してまいりました。12月も厳しい数字を予想しており、1月から3月の第4四半期には、原材料価格低下の効果がある程度は期待できるものの、それ以上に、販売状況の更なる悪化が懸念されます。改めて言うまでもなく、売上の大幅減少とそれに伴う生産量の激減の恐ろしさを今実感しています。当社においても、下期の営業損益が前年同期比で大幅に落ち込むこともありうる状況です。09年度は、08年度以上に厳しい年になることは間違いありません。麻生総理大臣によれば「全治3年」ということですので、少なくともこれからの2〜3年は、過去に経験したことのないような困難な状況が継続することを覚悟せねばなりません。

 しかしながら、大変厳しい状況だからといって、ただ単に、首をすくめて嵐が過ぎ去るのを待つわけには参りません。それは「座して死を待つ」ことを意味します。この厳しい2〜3年を「どう過ごすか?」にグループの将来的な浮沈が懸かっています。今こそ、経営と社員が一体となり、「為すべきことをしっかりと為す」ことが、重要であると考えます。

 では、今我々が為すべきこととは何でしょうか?
 まずは、2010長計の継続的実行です。とりわけ、商品戦略の中心は、環境配慮型商品化率を2010年度末までに100%にすることです。世界的な不況の下でも、環境問題は待ったなしの状態ですので、我々の商品戦略を着実に前進させなければなりません。また、不況下であれば、顧客生産ラインにおけるパフォーマンス、特にトータル・コストへの関心は高まり、そこに新たなチャンスが生まれてきます。足を地にしっかりとつけて、商品開発と改良に取り組まねばなりません。

 もう一つの大きな課題は、我がグループ全体の生産性および効率に関わる問題です。業務効率の改善を図るためには、まず仕事の「棚卸し」をする必要があります。この棚卸しは、会社ベースと個人ベースの両面で行う必要があります。仕事に「無駄な仕事」はありません。「仕事」か「無駄」のどちらかであり、「無駄」は言うまでもなく、「非効率な」、あるいは「価値の低い」業務もばっさりと削減してゆかねばなりません。その上で重要なことは、全社、全社員が「協力」のネットワークを張り巡らせ、協力し合うことです。「協力」の基本は、報・連・相、すなわち、コミュニケーションです。全ての垣根を取り払って、協力し合うことが、グループの生産性を上げることに直結しています。これこそが、ここ3年間注力してきた「風土改革」そのものなのです。

 今述べたことを社員の皆さん一人ひとりが、今年の最重要課題と認識し、考え、行動に移されることを期待します。
 先ほど申し上げたように、「この困難な時を如何に過ごすか?」が我々の将来を大きく左右します。真の実力、競争力を蓄えるべく内部固めをしっかりやりましょう。明けない夜はありません。明るい将来を信じ、ピンチをチャンスに結びつけるべく、全員一丸となって乗り切っていきましょう。私は、この困難な戦いにおいて役員が先頭に立つ決意を表明するため、全執行役員ならびに常勤監査役に報酬カットを提案し、全員の賛同を得て、今月より実施することにいたしました。

 以上、新年の挨拶としては、暗いものになりましたが、私の新年の始業式に寄せる式辞といたします。
■「変化に対応を」
中国塗料 山住哲夫社長
 昨年秋以降の世界経済の劇的な変化に対応し、今年はできるだけ身を引き締めてその変化を迎え撃つことが必要と思います。

 もちろん、そうした厳しい変化に立ち向かう中にあってもチャンスを捉えて積極果敢な攻撃に対する気持ちを忘れてはなりません。チャンスとはどういった環視にあっても存在するものだからです。  市場のニーズも一段と難易度が高まってくるでしょう。それに応えられない企業は退場せざるを得ない時代となるでしょう。その為には、新しい発想、独自性ある技術革新が必要です。
 金融情勢も段々と厳しさが増すことでしょう。与信管理には慎重な気配りと、適切な判断力が求められます。グループ内でのコミュニケーションを密にし、情報の共有化を図ってください。
 工場においても、これらの急激な変化に対する生産体制の再構築や人員の適正配置を見直すことも必要です。改めて最適な生産性を追求し、―層の工夫をお願いします。

 また、CMPグループにおける内部統制システムの充実や、社員教育はこういった厳しい時期にこそ必要です。
 最近の経常リスクの発生は企業規模の大小を問いません。災害、事故、法令違反など一つ間違えば大企業でも瞬く間に倒産に追い込まれてしまいます。日頃の行動には心して、正々堂々と取り組んで下さい。  劇的な景気後退という変化の中にあってこれからどのようなことが起こるかなかなか予測しにくい時代になりましたが、世の中は常に変化していくものであることを良く認識し、我々もいち早くそれに対応していくことが大切だと思います。
 中長期的に世界経済がまだまだこれから伸びて行くことには疑う余地はありません。再び経済が上昇基調になる時期に備えてやるべきことをしっかりやっておくことが必要です。

 しっかりと将来を観た経常を行っていきたいと考えています。皆さんのご協力をお願いします。
■「4成長戦略を推進」
大日本塗料・山下文隆社長
 本年は、当社が創立80周年を迎える年であると共に、新中期経営計画の3年目にあたります。新中期経営計画は、サブタイトルを「改善から飛躍への3年」として「構造改革路線」から「企業成長戦略路線」に転換し、新たな飛躍を成し遂げることであります。

 しかし、これまでの約2年間の状況は遺憾な結果に終始しました。
 これから更に深刻化する景気後退、我々が経験したことのない経営環境の悪化に対し、迅速かつ的確に対応すること、それも途中で腰砕けにならぬよう最後までしっかりやりぬくことが必要であります。これが出来れば、これまでの遺憾な結果を挽回することは可能であると考えております。

 かつてない厳しい経営環境の中で、「大日本塗料グループが成長力を取り戻すために何をなすべきか」を明確にして、全員の力で乗り切ってゆくほかありません。

 新中期計画において、「成長戦略」の4つの方針を掲げております。
 @コア事業である塗料事業の高収益化A海外事業の戦略展開B新しい収益の源泉となる新事業の育成、強化。更には、もう一段のコスト競争力の強化としての生産コストダウンを掲げて取り組んできました。
 それでは、第一のコア事業であります塗料事業の高収益化から申し上げます。この方針は、残念ながら経営環境のあまりにも大きい環境変化の前に、目論見通りの成果を得ることが出来ませんでした。昨年度上期までは原材料価格の高騰の継続とそれの販売価格への転嫁不充分により収益力は、後退の一途を辿りました。
 昨年下期からは、アメリカ発の金融不安、実体経済の急激な悪化が塗料需要にも顕著になりました。特に、自動車産業、産業用機械及び建設機械向けの塗料は大きく落ち込んできました。原油価格、ナフサ価格は値上がりの始まった4年前の水準まで下落して来ましたが、塗料原材料価格への波及は今ひとつであります。

 当社のコア事業であります塗料事業の収益改善は、当社の掲げる「成長戦略」のベース条件であります。
 まずは、短期的な塗料事業の収益改善策をつぎの4点に絞って即実行してゆく方針であります。
 一つ目は、販売価格の現在運用価格水準を維持することであります。
 二つ目は、採算の取れる価格にまで是正の出来ない赤字品目は市場から撤退することであります。
 三つ目は、塗料の生産供給を行なう内作工場、関係生産工場の合理化の推進、徹底であります。
 四つ目の短期収益改善策は、現時点の最も重要な方策であります。それは原材料購入価格の見直しであります。

 次に、第二の「海外事業の戦略展開」について申し上げます。
 この成長戦略による新中期計画最終年度の連結業績への寄与目標を10億円と設定しております。DNTシンガポール社の戦略拠点整備、タイDNTペイント社の連結子会社化、寧波愛潔世迪恩特環保材料有限公司への出資などはすべて完了、注目の中国市場も防食塗料で事業展開・市場開拓の目処も立ちつつあり、迪恩特塗料(上海)有限公司の設備増強も完了しました。このように海外事業展開に必要な基礎要件、舞台装置は整いましたが、連結業績への寄与は目標に届きませんでした。
今後は、海外の市場も世界同時不況の影響を受けることになります。特に、自動車用塗料を中心に工業用は大幅な需要ダウンが見込まれます。これとは対照的に、海外各国の内需に対応した分野は内需振興の財政政策の拡大により下支えされるものと考えられます。
 従って、海外事業展開は、防食塗料中心に一般塗料の事業展開に重きを置く中国市場に注力してゆくことになります。近隣のベトナム、社会資本・インフラの整備を急ぐインド市場も展開対象としてゆく方針であります。

 第三の方針であります「新しい収益源となる事業の育成・開発」について申し上げます。
 新中期計画における新事業の連結業績への寄与額は、ジェットインク事業の貢献利益額も含めて昨年の年頭に上方修正し期待しておりましたが、ジェットインク事業も、平成20年度に入って様相が一転しました。主力ユーザーのアメリカ市場での伸び悩み、在庫調整もあって売上高、貢献利益額は大きく後退しました。従って、DNTグループの成長力の取り戻し・維持にはジェットインク事業以外の新規事業で収益拡大が急務であります。コア事業である国内塗料事業の収益改善はあっても収益拡大は中々難しいものがあります。国内事業の収益体質を磐石なものするには、新事業の育成・開発が不可欠であります。

 ジェットインクに続いて開発、育成の可能性の高いものにITO(導電性塗料)があります。市場はニッチではありますが、高付加価値分野であり当社の目指すファインケミカルそのものと考えられます。

 次いで事業化をめざしているのが無公害防錆顔料であります。当社の塗料事業の発端は、防錆顔料として鉛系顔料を使用した「ズボイド」であります。これが当社独自の無公害防錆顔料に切り替わるのであれば、当社のみならず防食塗料市場においても意義深いものになります。当社の生い立ち・事業内容から考えますと是非とも開発、事業化したいテーマであります。
 将来の収益源を生み出す研究開発、新事業開発の効率化は、成長戦略を支える最重要事項の一つであります。研究開発・事業開発のスピードアップが重要であります。

 第四の方針であります「もう一段のコスト競争力の強化としてのトータル生産コストダウン」につきましては、現在のアメリカ経済、ユーロ経済の景気減速、新興国需要の頭打ちを織り込んでの日本経済の減速、塗料産業への影響、更には当社への影響を推定することは極めて難しいですが、少なくとも先行き1年間は販売数量減、生産数量減は覚悟しておく必要があります。減産においても採算のとれる生産体制の構築が必要となります。この課題は、本体工場のみならず、関係会社の塗料生産工場にも共通する課題であります。

 この課題を突き詰めてゆきますと、生産品目の集約、生産拠点の集約・再編成が視野に入ってきます。関係生産会社も含めて、それぞれの工場が特定の事業部の全品目を生産する形に特化することになろうかと考えております。
 それぞれの工場の生産品目の特定化、各工場の特定事業部化を実行する段階にきております。これを推し進めた結果としての工場集約・再編成となります。

 次に、DNTグループの成長戦略ひとつとして、照明機器事業の成長戦略についても申し上げておきます。照明機器事業は当社グループのニッポ電機グループにあっては、塗料事業に次ぐ売上規模をもつ事業であります。連結業績への寄与額も相当大きいものがあります。
 昨年夏に、スリムランプ業界では第二位のダイア蛍光鰍ェ当社グループの仲間に加わりました。昨年前半までの照明機器事業は、百貨店等の店舗改装時期の繰り延べ、新規出店の減少、更には改正建築基準法の影響を引きずり収益面では大きく後退を余儀なくされました。
 しかし、昨年下期からは、ニッポ電機鰍フ業績も持ち直し傾向にあり、これにダイア蛍光鰍フ好業績が加わり、照明機器事業は再び成長力を取り戻しつつあります。今後は、生産面・営業面でのシナジー効果も充分期待できますので連結業績への寄与額はさらに膨らむものと期待しているところであります。

 更に、もう1項目追加いたします。全社プロジェクト「内部統制・業務改革プロジェクト」の関係会社展開が、本年1月5日に本番稼動開始となりました。昨年11月には販売系8社が、また昨年末に生産系10社が新業務システムに移行しました。
 費用も相当かさみましたが、内部統制システムの整備の観点からしても、必要事項をもれなく包含する基幹業務パッケージの採用は、必然の道筋と考えております。

 最後に結びの言葉を申し上げて年頭あいさつの締めくくりと致します。
 われわれが、いまだ経験したことのない未曾有の不況、百年に1度あるかないかの極めて厳しい企業環境の中で、企業成長力を取り戻すために必要なことは、「今、何をなすべきか真剣に考え、それを約束通り、期限通りやりぬくこと」であります。今年はあえて「やりぬく」という表現に改めました。

 個々人の努力が、企業の業績となって積み上がってくるには、『その改善努力が、事なかれ主義・セクショナリズム・前例主義を排して、「組織的かつ継続的」に実行されること』が何よりも大切であります。
 これまで申し上げてきましたように、本年は全社をあげて「選択と集中」をキーワードに経営の一層の効率化をスピーディに推進してまいります。 皆さんのなお一層の奮闘を期待し、お互いに約束したこと、決めたことを期限通りやりぬくことを誓って、私の年頭に当たってのあいさつと致します。
■雇用拡大への諸施策を実施
厚生労働大臣 舛添 要一
 平成二十一年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

 一昨年の就任以来、年金記録問題、薬害肝炎問題、医師不足や緊急医療体制の整備など医療をめぐる問題、派遣労働などの雇用に関する問題、食品の安全性の確保、新型インフルエンザに対する備えなど、省を挙げて国民生活に直結する課題について、取り組みを進めてまいりました。新しい年の初めに当たって国民の皆様から真に信頼を得られるよう、国民の目線に立ちながら、全力を尽くしてまいる決意を新たにし、新年に臨む決意を述べさせていただきます。

 まず、例年の予算編成上の大きな課題であります社会保障費の二千二百億円削減につきましては、平成二十一年度予算案におきまして、財源を確保することにより、国民の負担減に繋がる後発医薬品の使用促進によるものを除き、行わないこととなりました。
 世界金融危機は実体経済にも深刻な影響を及ぼしてきており、十月の倒産件数は五年五ヶ月ぶりの水準となる中で有効求人倍率は九ヶ月連続して低下し、雇用状況は悪化しております。
 このような状況の中で、昨今、派遣労働者等の雇い止め・解雇、新卒者の内定取消しなど、さらに深刻な問題が生じており、今後一層の雇用の悪化が懸念されております。このため、昨年十二月に取りまとめられた「生活防衛のための緊急対策」などに基づき、雇用の場の拡大のための各般の施策を講ずるとともに、離職された方の住宅の確保、労働者の雇用の維持、再就職支援、生活保障など、雇用の安定に向けた対策を実施してまいります。

 労働者派遣法については、問題の多い日雇派遣を原則禁止するなど、労働者保護の強化を内容とする改正法案の成立に向け、取り組んでまいります。
 雇用保険制度については、セーフティネット機能の強化と併せて、「雇用保険料引下げ」へ向けた取り組みを進めてまいります。
 障害者雇用対策については、障害者雇用率制度を柱として、さらなる障害者の雇用促進を図るため、障害者一人ひとりの特性を踏まえた雇用支援、中小企業に対する雇用促進等の取り組みを進めてまいります。

 高齢者雇用対策については、六十五歳までの継続雇用の着実な推進、「七十歳まで働ける企業」の実現に向けた取り組み等により、意欲と能力のある限り、いくつになっても働ける社会の実現に向けた環境整備に取り組んでまいります。
 ニート等の若者の職業的自立の支援を図るため、「地域若者サポートステーション」事業の拡充・強化や、「若者自立塾」事業の推進に取り組んでまいります。
 また、フリーター、子育て終了後の女性、母子家庭の母親等の職業能力形成機会に恵まれない方々に対し、きめ細かなキャリア・コンサルティングと実践的な職業訓練の機会を提供するため、昨年四月から、ジョブ・カード制度をスタートさせました。より多くの方々がこの制度を活用し、安定した雇用に移行できるよう、制度の一層の充実に取り組んでまいります。

 昨年、法定割増賃金率の引上げ等を内容とする労働基準法の改正を行いました。今後、その周知を徹底するとともに、仕事と生活の調和の実現のための社会的気運の醸成や企業のメンタルヘルス対策を支援すること等により、働き方の改革を進めてまいります。最低賃金につきましては、昨年の改定で大幅な引上げとなりました。引き続き最低賃金の遵守徹底に努めてまいります。
 以上のような施策の実施につきまして、労使の皆様との相互理解と信頼の下に行政を推進してまいります。また、今後とも安定した労使関係を維持・構築していくため、様々な機会を通じて、労使の意思疎通、合意形成の促進に努めてまいります。

 我が国の社会保障は、世界に誇るべき国民皆保険・皆年金をはじめとする各種の制度を整え、世界最高水準の長寿などの成果をあげてきました。しかし、急速な少子高齢化、医師不足や雇用の問題、年金記録問題など、国民の皆さんにとって社会保障に不安が生じているのも事実であり、セーフティネットとしての安心感・信頼感を高めるためには、今後の社会保障に関する負担の増加や機能強化といった課題に対応していくことが必要です。

 昨年、社会保障国民会議において社会保障のあるべき姿と今後の改革の方向性についての議論の土台が示されるとともに、持続可能な社会保障制度の構築等に必要となる安定的な財源を確保するための「中期プログラム」が策定されたところです。
 社会保障の機能強化と安定財源の確保は車の両輪として対応を進めていくことが必要であり、国民から安心・信頼される社会保障制度を次の世代に引き継ぐことができるよう、全力で取り組んでまいる所存です。

 医療制度につきましては、長寿医療制度では、政府・与党決定に基づいて所得の低い方の保険料の軽減等を着実に実施しており、制度の円滑な運営に努めてまいります。また、この制度には多くの良い面がありますが、高齢者の方々の心情にそぐわない点があったものと考えており、こういった心情に配慮しつつ、よりよい制度への改善を図ることとし、様々な関係者の意見も聞きながら幅広い議論を進めてまいります。

 昨年六月に取りまとめた安心と希望の医療確保ビジョン等に基づき、救急患者を確実に受け入れられる体制づくり、周産期医療と救急医療の連携、勤務医の過重労働の改善、業務負担の多い勤務医等への支援、看護職員の確保など各般の対策を実効性ある形で具体化してまいります。また、医師養成数について、これまでの方針を見直し、過去最大程度まで増員したところであり、さらに臨床研修制度の見直しについても、文部科学省とともに進めてまいります。このような各般の取り組みを通じて、今後とも国民が安心して信頼できる医療を確保できるよう努めてまいります。

 年金制度につきましては、平成十六年改正により持続可能な制度の枠組みができたと考えておりますが、政府・与党の国民の皆様への約束である基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げについては、必要な経費を来年度予算案に盛り込んだところであり、平成二十一年度から実施するための法律案を通常国会に提出してまいります。また、厚生年金・国民年金についてしっかりと財政検証を行うなど、引き続き国民の皆様の老後生活の安心に最善を尽くしてまいります。

 今後の高齢化の一層の進行等を踏まえれば、福祉・介護人材の確保を着実に進めていくことは大きな課題です。国民の福祉・介護ニーズに適切に対応できる人材が確保されるよう、福祉・介護人材の処遇の改善、雇用管理改善に取り組む事業主に対する支援、多様な人材の参入の促進、「介護の日」等を通じた啓発活動等にしっかりと取り組んでまいります。

 介護保険制度につきましては、制度創設から九年を迎えますが、今後一層の高齢化の進展が見込まれる中、その重要性は高まっていくものと考えます。昨年、介護報酬のプラス三.〇%改定等を決定しましたが、介護従事者の処遇改善につながるよう、本年四月の改定時に適切な報酬設定に努めるとともに、昨年とりまとめた「安心と希望の介護ビジョン」も踏まえ、中長期的な視野で諸課題に対応し、制度の円滑な運営のために国民の皆様の一層の信頼とご理解が得られるよう努めてまいります。  障害者施策につきましては、平成十八年の障害者自立支援法の施行以来、都道府県・市町村と力を合わせて、就労支援の充実や地域移行の推進など、サービスの充実を図っているところですが、障害者自立支援法施行後三年の見直しに向けて取り組んでまいります。また、本年四月に適切な報酬改定を実施してまいります。

 年金記録問題につきましては、一昨年七月の政府・与党の方針等に基づいて、まずは、約五千万件の未統合記録の問題に取り組み、昨年、「ねんきん特別便」をすべての加入者・受給者約一億人に送付しました。本年は、このフォローアップを進め、一人でも多くの国民の皆様から御回答をいただき、年金記録の訂正を進めるとともに、四月から始まる「ねんきん定期便」の送付、標準報酬等の遡及訂正事案への対応等、前例のない膨大な作業について、最後まで全力をあげて取り組み、来年一月の日本年金機構の発足につなげていきたいと考えております。

この日本年金機構につきましては、昨年十一月に設立委員会が発足しました。昨年七月に閣議決定された「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」に基づき、設立委員会において、機構の職員の採用など、具体的な準備を進め、機構が改革意欲と能力のある人材によって構築された、国民の皆様に信頼される組織となるよう、最善を尽くしてまいります。

 急速に進行する少子化への対策につきましては、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略に沿って働き方の改革による仕事と生活の調和の実現と、多様な働き方に対応した保育サービスなど子育て支援基盤の充実を「車の両輪」として進めてまいります。このため、昨年、新たな子育て支援に関するサービスの創設、職場における仕事と家庭の両立支援の促進、虐待を受けた子ども等への支援の強化などを内容とする児童福祉法、次世代育成支援対策推進法等の改正を行いました。今後、改正法の施行に万全を期してまいります。また、「五つの安心プラン」や「生活対策」には、「安心こども基金(仮称)」の創設をはじめとする「新待機児童ゼロ作戦」の推進などが盛り込まれており、これらの取り組みを着実に推進しつつ、さらに、次世代育成支援のための新たな制度設計の検討を進めてまいります。また、仕事と生活の調和につきましては、育児期の短時間勤務制度の強化や男性の育児休業取得促進など、育児・介護休業制度の見直しに取り組んでまいります。
 さらに、費用の心配をしないで、安心して、妊娠・出産できるようにするために、妊婦健診の無料化や出産費用の負担軽減などを着実に実施してまいります。

 食品の安全につきましては、昨年は、中国産冷凍ギョウザによる薬物中毒、中国産牛乳におけるメラミンの混入など、食品の安全を脅かす事案が相次いだところです。本年は、検疫所における食品衛生監視員の増員を図るなど、輸入食品の監視体制を強化するとともに、問題事案発生時には、関係行政機関と連携しつつ迅速に対応するなど、国民の健康の保護を図るために全力を尽くしてまいります。

 薬害肝炎事件の反省に立ち、安全対策の体制強化など医薬品等による健康被害の再発防止のための取り組みを進めます。
また、血液製剤を投与された可能性のある方々ができるだけ早く肝炎ウイルス検査を受検し、治療を受けられるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。
 有効で安全な医薬品・医療機器を迅速に国民の皆様に提供するため、承認審査の迅速化など、いわゆるドラッグラグ、デバイスラグの解消に向けた施策に積極的に取り組むとともに、革新的医薬品・医療機器創出のための五カ年戦略に沿って、関係省庁との連携の下、研究開発の促進、治験活性化、さらに昨年末に採択された先端医療開発特区の推進などに総合的に取り組んでまいります。
また、血液事業や大麻等薬物乱用対策の推進等に引き続き取り組んでまいります。
 さらに、医療の担い手としての薬剤師の資質の一層の向上を図るとともに、平成十八年の改正薬事法に基づく一般用医薬品の販売制度の見直しの施行に万全を期してまいります。

 国民の生命と健康を守るため、着実な生活習慣病の予防に一層取り組んでまいります。
 新型インフルエンザ対策につきましては、政府の行動計画やガイドラインに基づき、地方公共団体や関係機関と連携・協力しつつ、健康危機管理の観点から、政府一丸となって対策を推進してまいります。

 一方、生活習慣病の予防については、昨年四月から実施しているメタボリックシンドロームに着目した特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施を図るとともに、「健康日本二十一」を一層推進してまいります。また、「がん対策推進基本計画」に基づき、その進捗状況を踏まえつつ、がんの総合的・計画的な対策を推進してまいります。

 このほか、肝炎対策について、インターフェロン治療にかかる医療費助成を柱とした「新しい肝炎総合対策」の着実な実施に全力を尽くしていくほか、難治性疾患の診断・治療法の研究開発を推進するなど、難病対策のより一層の充実に努めてまいります。

 また、被爆者施策につきましては、原爆症認定業務の円滑な推進を図るとともに、引き続き、総合的な援護施策を推進してまいります。
 さらに、安全で良質な水道水の安定供給を確保するため、「水道ビジョン」を着実に推進してまいります。
 援護行政につきましては、戦没者の遺骨収集や慰霊事業、戦傷病者・戦没者遺族等に対する援護施策、中国残留邦人等に対する帰国・自立支援を着実に推進してまいります。特に、戦没者等の御遺族に対する特別弔慰金につきまして、特例的な支給ができるよう取り組んでまいります。

 以上、厚生労働行政には多くの課題が山積しております。私自身が引き続き先頭に立ち、その解決に向けて国民の皆様からの様々な声を真摯に受け止めながら、全力で取り組んでまいります。国民に皆様方の厚生労働行政に対するより一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
■中央環状新宿線に全力
首都高速道路株式会社 代表取締役社長 佐々木克己
 厳しい寒風の吹きすさぶ年明けを迎えております。今や世界全体を被う経済の混迷がわが国にも及び、予想を超えた大きな波乱が日本社会の各分野に巻き起っています。
 こうした状況は、当社の携わる公共事業分野、とりわけ道路事業により強い影響を与えています。それだけに、当社は、社会の動勢に謙虚に耳を傾けつつ、自らの使命を深く自覚し、より一層誠実に、しかも全力をあげてお客様の期待にお応えしていきたいと心を新たにしております。
 当社の最大の課題であります渋滞解消については、現在、首都高のネットワーク整備やボトルネック対策に取り組んでおります。一昨年12月の山手トンネルの開通により、朝ピーク時の東京線における渋滞が大幅に解消するなど大きな効果が現れていますが、本年は、2月に晴海線(豊洲出入口〜東雲ジャンクション間)を、3月に横羽線大師出入口(横浜方向)を各々開通させた上で、さらに、中央環状新宿線(3号渋谷線〜4号新宿線間)の平成21年度開通に向けて、全力を傾注してまいります。また、経過年数が30年以上となる路線が約4割を占める中、お客様に安心してご利用いただけるよう、今後とも、日々の維持管理を適切に行うとともに、道路構造物の長寿命化を図っていく取組を進めてまいります。

 昨年は、8月に発生した5号池袋線タンクローリー火災事故に伴う通行止め等によりお客様にご迷惑をお掛けいたしました。お蔭様で関係者の多大なご支援をいただき、約2か月で全面開放を達成することができました。復旧工事にご協力いただいた関係各方面の皆様に改めて深く感謝申し上げます。当社としても大変大きな影響を被りましたが、同時に幾つもの教訓を得たところです。このことを踏まえ、引き続き安全・安心で快適な通行をお客様に提供できるよう取り組んでまいる所存であります。

 また、当社懸案の利用料金については、将来を見据え、お客様にとって使いやすい料金体系となるよう、関係機関と協議をしているところであり、引き続き距離別料金の導入を図るべく取組を進めてまいります。
 さらに、より安全・快適に首都高をご利用いただけるよう、PAの改良、走行環境の改善、環境に配慮した事業の展開をはじめとして、「お客様」の視点に立った良質なサービスの提供に引き続き取り組んでまいります。皆様におかれましては、本年も首都高に一層のご愛顧をいただきますようお願いいたします。

 最後になりましたが、皆様方のこの一年のご健勝とご発展を祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
■湾岸西伸部などの実現へ
阪神高速道路株式会社 代表取締役社長 木下博夫
 阪神高速道路株式会社は民営化4年目を迎え、企業理念である「先進の道路サービスヘ」実現に向けて全力を尽くし、お客さまに満足していただける「安心・安全・快適」なネットワークを提供しています。

 阪神高速道路は、大阪・兵庫地区および京都地区で総延長242kmを営業し、1口約90万台のお客さまにご利用いただいています。
 昨年は京都初の都市高速である8号京都線の上鳥羽―第二京阪道路間と稲荷山トンネルの2区間が開通し、京都市南部地域の渋滞緩和と環境改善に貢献しています。
 また、大阪都市再生環状道路を構成する淀川左岸線と大和川線、兵庫地区の神戸山手線南伸部、京都線の斜久世橋区間の建設進展にも鋭意努力を続けています。
 道路特定財源の見直し、経済対策としての高速道路料金の引き下げなど、道路事業をめぐる情勢は揺れ動いています。国の財政事情に加え世界同時不況の波が押し寄せ、建設事業に対する環境は厳しいものがありますが、関西の暮らしと経済の発展にとって「必要な道路整備」は欠かすことができません。

 関西国際空港やスーパー中枢港湾である阪神港を結ぶ道路ネットワークの充実は、関西のみならず、わが国の国際競争力強化の重要テーマであり、そのためのミッシングリンクの解消は何としても実現すべき課題です。
 このうち「大阪湾岸道路西伸部」は現在、都市計画決定の手続きが進められています。また「淀川左岸線延伸部」についても、経済界、関係自治体等の間で整備促進の機運が高まりつつあり、当社といたしましても、関係各機関と連携しつつ、早期実現に向けた取り組みを進めて参る所存です。

 「関西の発展のために」「関西と共に」を旗印として、社員一丸となって邁進いたします。今後とも、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
■時代の要請を着実に実行
独立行政法人・都市再生機構 理事長 小川 忠男
 私たちUR都市機構は、「人が輝く都市をめざして、美しく安全で快適なまちをプロデュース」することを使命としており、都市再生に係る様々な隘路(あいろ)を打開し、都市再生分野において民間事業者の皆様に新たな事業機会を創出し、そのノウハウを最大限に発揮していただくための条件整備、支援に取り組んでおります。
 また、旧都市基盤整備公団から承継したUR賃貸住宅については、お客様が安心してお住まいになれるよう適切な維持管理を行うことはもとより、更なる顧客サービスの向上に日々努力しております。

 昨年を振り返りますと、中期目標期間の最終年度を迎える重要な年として、中期計画の達成に向けた取り組みを積極的に進めるとともに、UR都市機構を取り巻く様々な課題への対応に取組んだ年でありました。
 まず、政策的課題としましては、平成19年12月に閣議決定された独立行政法人整理合理化計画等における指摘等を踏まえ、都市再生事業におきましては、昨年3月に「都市再生事業実施に係る基準」を策定、事業実施にあたっては基準への適合の検証を行うとともに、第三者委員会において検証結果の評価を受けました。

 また、賃貸住宅事業におきましては、昨年度に、「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」「団地別整備方針」を策定、この方針に基づいて、既存賃貸住宅ストックの再生・活用を進めることとしたほか、空家入居者募集等の優先受付期間を設定するなど、高齢者・子育て世帯等の政策的に配慮が必要な方への賃貸住宅供給の重点化に取り組みました。
 さらに、関連会社等との関係の透明性向上を図るため、平成19年12月に策定した「随意契約見直し計画」に基づき、関連会社等との随意契約につきましては、業務の抜本的見直しを行い、原則、すべて競争性のある契約方式へ移行を図っているところであります。

 一方、経営的課題としましては、機構発足以来の課題である経営改善について、役職員が全力を挙げて、平成17年度に策定した経営改善計画における取組み項目を着実に実行致しました。  平成19年度決算において、損益では、市況が年度後半に減速したものの、ニュータウン用地の供給・処分について着実に販売実績をあげるとともに、特に都心部における旺盛な不動産取得需要等により、将来リスクの軽減に対応した販売用不動産等評価損及び減損損失を計上した上で、741億円の利益を確保し、その結果、繰越欠損金は4200億円台にまで減少、機構発足時の約6割の水準まで削減することができました。
 また、資産圧縮、効率的な資金管理等に努めた結果、有利子負債は前年度に比し約7800億円減少し、機構発足時に比べ、約14%の削減となりました。

 UR都市機構にとりまして5回目の新年を迎えた本年は、新たな中期目標期間の初年度を迎える年となります。
 昨年来より、金融危機の影響等による不動産市況の低迷が顕著になっており、厳しい経営環境のなか難しい舵取りが続くこととなりますが、政策的課題に対応しながら、一方で、「リスク管理の強化」「関連法人等を含む事業運営の効率化」等、独立の経営体として必要な経営的課題への取り組みを進め、新たな中期目標期間においても、政策的課題と経営的課題との両立を図りつつ、時代の要請を着実に実行することで、皆様の期待に応えてまいる所存です。

 最後に、UR都市機構の業務につきまして、日頃から格別のご理解・ご協力を賜っている関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、本年の皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
■「牛歩の如く」忍耐と粘り強い活動を
エスケー化研 代表取締役社長 藤井 實
 この20年、30年を振り返り、私の経験の中で、今年が世界情勢が一番悪い状況にあるように感じます。
 例えば、1997年の通貨危機では韓国を始めアジア全体の景気が悪くなりましたが、アメリカはまだ景気は良い方でした。この他の経済危機を考えても、例え世界のどこかの国が悪くても、他の国は良かったのですが、今回は世界中が悪い状況です。

 住宅や設備投資を考えると、私の予想では、前年比20%ほど落ちると思われます。自動車産業の落ち込みで、関連する設備産業も大きな影響を受けるでしょう。
 新築市場も、一昨年末に施行された改正建築士法の影響で、混乱する恐れもあります。このような点が例年と大きく異なる所だと思います。

 このように、さまざまな状況を考えると、究極のところ、後は実践、実践、また実践が大切だと思います。新・新・新と、イノベーションの考え方を持たなくてはいけません。新しく何でも取り組み、徹底して実践していくことが大切です。

 また、やり抜く心構えとして、古来からの大阪商人の問題解決の言葉である「始末、倹約、算用」が大切です。悪い時は悪い時なりの絵を描き、悪い中でも次のことを計画していく、というのが古来の大阪商人の遺訓なのです。

 「始末」とは、物事の始めと終わりであり、今年は、仕事をすぐに取り掛かり、やりっぱなしてはいけません。また、「出ずるを制する」ことが大切であり、収支をはっきりさせていくことです。
 「倹約」は無駄を省くこと。続く「算用」では、赤字を出さないようにすることです。与信管理も大切になります。しかし、今は悪くても、次に必ず躍進していくのだと、新たな機会を作っていくことも大切です。何もお金を節約するだけが能ではなく、片方はお金を使って伸ばしていくという両面を見ていかなければなりません。

 住宅やマンションも、景気が悪くなりますが、このピンチをチャンスにしてください。今までマンションの外装には焼物タイルしか使われませんでしたが、これに代えて新しい装飾塗材を紹介し、安くて良いということになれば、使うでしょう。
 今までは難しかった需要も、今では相手も本気になり、目を向けてもらえればチャンス到来となる訳です。我々の行動力、実践力で、マンションもコストが下がればチャンスが訪れます。
 リフォーム分野も、資産価値が上がる機能性製品や省エネ製品を提供していけば、相手の利益につながり、チャンスにつながっていくのです。

 今年は丑年です。「今年は猛牛の如く」推進していくことも重要ですが、「牛歩の如く」粘り強く、しつこくしていくことも大切です。
 少々のことではへこたれず、耐える精神を持ち、「無から有」を生んでいくよう、ゼロスタートして、一つひとつ作り上げていこうではありませんか。皆様と共に素晴らしい2009年にしていきたいと思います。