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  ■各塗料メーカー 入社式あいさつ■   ◆日本塗装時報 2009年4月18日発行 1882号◆
■「改革の旗手を目指そう」
関西ペイント 小林正受社長
 皆さんは、100年に1度といわれる世界同時不況のさなかに、本日より、当社の一員として、社会人としての第一歩を踏み出されたわけですが、元来、如何なる企業にも順風満帆ということはなく、当社においても、今や経営者と全社員が一丸となって、生き残りを賭けてのサバイバルゲームを戦っております。
 従って、皆さんにはまず『自分たちは、今まさに、その熾烈な闘いに臨む一戦士として、その輪の中に入ろうとしているのだ』、という高い志を、健全な危機感と昂揚感をもって、しっかりと心に刻んで頂きたい。

 さて、皆さんは既に当社や塗料業界について色々勉強もされていることとは思いますが、折角の機会ですので、@塗料業界の現状と将来展望A業界の中で当社が立つ位置と目指すべき目標Bそのなかで皆さんに何を期待するのか、についてお話をさせていただきます。  まず塗料業界の現状ですが、それは「乱立と寡占」という相反するパラドックスで表すことができます。  世界にどれぐらいの数の塗料メーカーがあるのかは実はよくわからないのですが、小規模の会社を含めますと、何万という数のメーカーが乱立しており、その市場規模は約10兆円と言われています。
 一方国内の塗料市場は約7000億円ですから、世界の僅か7%ぐらいを占めるに過ぎませんが、この国内市場にも200社以上もの塗料メーカーがひしめき合い、過当競争を繰り広げています。

 さて、塗料業界の将来展望についてですが、どの産業にも共通することではありますが、少子高齢化が進む国内市場に今後大きな伸びを期待するには無理があります。
 しかし、一方で世界に目を転ずれば、いわゆる新興国を中心に世界の塗料市場は前途洋々です。
 現に、ここ10年間位の傾向としてAKZOやDUPONTといった世界の巨大総合化学メーカーが、その経営資源を塗料分野に大きくシフトしてきています。
 その結果、大手メーカーによる市場の寡占化が進み、何万というメーカーが乱立する世界の塗料市場ですが、全市場の60%近くを上位10社が独占するに到っております。

 これが、乱立と寡占と言われる所以ですが、このことは当社にとって二つの意味を持ちます。
 一つは塗料産業がグローバルな視点ではその将来性を高く評価されていること。 一方、当社が世界市場で成長を享受し続ける為には、とりわけ技術開発力において、世界のトップメーカーに勝ち続けなければならないということ。
 この二つを意味します。

 次に、業界における当社の立つ位置ですが、日本では名実共にナンバー1を自負していますが、世界では売上規模においてまだ8位に甘んじております。
 当社では、取りあえず世界のトップ5に入ることを中長期の目標に掲げておりますが、幸いにして、当社は高い技術力をバックに、急成長を遂げているアジアをはじめとする新興国市場で、自動車用塗料を中心にNO.1の地位を築き上げています。

 当社も目下のところ、世界同時不況の荒波を真正面からかぶり、試練に直面していますが、今後ともグローバル戦略を一層加速させることで、世界のトップ5入りに向けての地歩を着実に固めて行く積もりです。

 最後に、こういう経営環境下にあって皆さんに期待することですが、グローバルな企業間競争を勝ち抜く為には、企業は常に自己改革が求められます。  従って、新入社員の皆さんに期待するのは、ズバリ『自ら改革の旗手を目指して欲しい』ということです。

 @そのためには、現状改革への問題意識と高い志が必要ですが、意識だけでは空回りになります。
 Aしたがって、改革を論ずる前に、まず現状を正しく認識する力を養う必要があります。その為には、各職場での仕事を一日も早く覚え、深く理解してください。
 Bそして、改革にあたっては、広い視野を持って頂きたい。広い視野とは▽柔軟で、多様な価値観をベースにもモノゴトを複眼的に見る力▽グローバルな視点で価値判断する力をいいます。

 いずれにせよ、この広い視野というのは一朝一夕に身につくものではありませんので、常日頃から強くそのことを意識し、常々勉強も怠らないようにして下さい。
 皆さんは当社にとっては貴重な人財、つまり宝であるということを自覚し、自己の健康管理には十分気を配りながら、長いスパンでカンペマンとして大成されることを願っています。
■「企業DNAで危機克服を」
日本ペイント 酒井健二社長
 ご存知の諸君もいると思いますが、私は本日4月1日をもって社長に就任しました。皆さんと共に、私も今日から新しい一歩を踏み出します。
 さて、皆さんもご存知だと思いますが、わが日本ペイントは、2週間ほど前の3月14日に創業128周年を迎えました。

 1881年(明治14年)の創業で、わが国の塗料工業のみならず化学工業全般においても「草分け」と表現しても、あながち大げさではない存在です。
 当社がいかに長い歴史を有し、現在に至るまで存在し続けているのか、その長さをぜひ皆さんにも実感していただき、またそのことに誇りを持っていただきたいと思います。

 皆さんもご承知のとおり、現在、日本経済のみならず世界経済は百年に一度と言われる未曾有の危機の真っ只中にあり、当社もその影響を少なからず受けています。ですが、私は、当社はこの難局を必ず乗り越えられると信じています。と言うのも、128年の歴史の中で、危機を克服した経験を有しているからです。

 それは今から90年ほど前、第一世界大戦後の好景気の後、日本経済がどん底にあり、すでに創業から30年以上経っていた当社も相当厳しい状況にあった時のことです。
 会社を立て直すべく、ある人物が請われて当社に入社しました。本社の門を入り、左手にある植え込みに胸像が設置されていますが、この人こそ、後に中興の祖と呼ばれた小畑源之助氏です。この人物は入社後、文字通り背水の陣で、徹底した改革路線を敷き、これには相当な痛みも伴ったと思いますが、見事やり遂げたのです。

 現在とは会社の規模も外部環境も著しく異なりますので、一概に比較はできませんが、こうして危機を克服、現在に至るまで会社を存続させているのです。
 その後に起こった、第2次世界大戦中は、塗料製造は軍需産業とみなされ、アメリカ軍の空爆にさらされました。特に、ここ大阪工場はまさに壊滅的な損害を蒙ったと聞いています。しかし、私たちの先輩方は、終戦と同時に焼け跡から立ち上がり、きわめて短期間に生産を再開するという離れ業をやってのけました。

 そして、その15年後には、シンガポールで合弁事業を興こすほどの活力を取り戻しました。これが現在、当社がアジア各国に展開しているビジネスの基盤となりました。私はこれが当社のDNAであると思っています。
 今日から社員となった皆さんひとりひとりもぜひこのDNAを引継いでいただきたい。そしてこの伝統ある日本ペイントを皆で益々盛り上げて、150年、200年と繋げていっていただきたい。その主役は若い皆さん達です。

 残念ながら、わが国の塗料産業はこれから需要が大きく伸びることはあまり期待できません。というのも各種の製造業がより有利なコストを求めて、製造拠点を国外へ移転させる傾向は、今後も継続すると思われるからです。また、現在の不況を乗り越えた先にある景色は、少し前のものとは全く異なるものになるでしょう。
 しかしながらこの状況を悲観する必要はまったくありません。なぜなら、先ほど述べたように私たちには危機を克服するDNAがあり、それを持ってすれば越えられないものなどないからです。

 最後に、私は人生には通信簿が2つあると思っています。1つは学校教育の通信簿です。皆さんは今日これを手に、当社へ入社されました。
 そしてもう1つは、実はこちらの方がはるかに重要なのですが、これからの「人生の通信簿」で、極論すれば皆さんが死ぬときに自分の人生を振り返り、自らがつけるものです。誰かに言ったり見せたりするものではなく、だからこそ皆さんが全身全霊をかけて取り組まなければならないものなのです。そして、今日の入社式を機に、自分がどのように人生を切り開いてゆくのか、あるいは会社という場でどのように自己実現してゆくのか、しっかり考えていただきたいと思います。
■「個性と才能の発揮を」
大日本塗料 山下文隆社長
 当社は、今年の7月で創立80周年となりますが、この記念すべき年に皆さんを迎えて会社は更に体力を増強することができたと思います。
 我々を取り巻く環境は、政治、経済、社会面全般にわたり動きが速く、この対応のために当社も中期経営計画を成長戦略の推進から構造の再構築へ一時注力せざるを得ませんが、このような変化の時を皆様の個性と才能を発揮できるチャンスと捉えてもらいたい。

 次に、社会人としての心構えについて私の希望や考えをいくつか述べます。
 @皆さんは、会社人としての経験はありませんが、我々とは異なる価値観や目線で社内を見回し、会社を変えてくれることを期待します。
 Aやりたいことを前面に出して直接上司の部屋に申し出て来るような、挑戦意欲のある人が増えて欲しいと思います。
 B嫌な事、やりたくない事、避けている事などに毎日少しずつ取り組んで、改善する努力を続ける忍耐力を養ってください。
 C会社や社会は多様な人で成り立っていますが、人真似をせず、周囲を気にせず、自分の個性を大切にしてください。
 D現状に満足せず、公正、正直、不屈の精神で仕事に取り組み、与えられた業務にベストを尽くしてください。

 今日からは、志を大きく持って、歴史と伝統ある当社の将来を背負う幹部を目指して、明るく元気に頑張っていただくことを期待します。
■「ピンチをチャンスに」
エスケー化研・藤井實社長
 皆さんは本日からまことの社会人となります。社会人は反対から読むと会社人になり、立派な社会人とは立派な会社人ということができます。皆さん方は本日から立派な会社人となって大いに活躍してほしいと思います。
 当社では社訓の最初に「基本姿勢」を謳っています。まずは、自分に「気を付け!」と姿勢を正して下さい。一日三省という言葉がありますように、朝に昼に夕に一日に三回ぐらいは「気を付け」と自己を励まして下さい。これにより、不健康な人も健康になり、医者は要りません。

 次に基本のルールです。会社には会社のルールとして就業規則や資格規定などがあります。また、職場では年度計画があり、それらをきっちりと守り遂行することが基本です。
 また、基本の心得ですが、誰に会っても自分から「おはようございます」「お世話になります」と言葉に出すことは人と人との社会において基本のことです。

 最後にPDCA(plan-do-check,see-action)を大切にして下さい。これは終生付きまといます。仕事の計画・企画をしていく(plan)、計画をしたことを実行してく(do)、その結果を反省して見直し作り直す(check,see)、新しく対策を打ち出す(action)ことが大切です。これをする人としない人とでは大きく違ってきます。これを継続していけば、種々大成功間違いなし。先ほどから一日三省とお話していますが、PDCAの仕事の心構えも絶えず反省して、しっかりと身に付けて下さい。やがて自分自身の財産、恒産になっていきます。

 このように、社訓の最初に書かれた「基本姿勢」を大切にし、研友人として、立派な会社人として終生成長しつづけてほしいと思います。
 今日的には世界は大不況下にあります。アメリカに端を発した金融危機が世界中に蔓延しており、100年に一度と言われるような経済の大停滞が見られます。

 しかし私は、この大淘汰、大混乱の時代だからこそ、ピンチをチャンスに変えていく大きな記念の年にしていかなければならないと思っているのです。
 そう思うと、皆さんもピンチをチャンスに跳ね返していくこの素晴らしい大ピンチの年に入社されたわけです。

 当社は、今期創業54年目に入りました。現在の景況は、50年、100年に一度と言われる、今までで一番大きなピンチです。しかし、当社の50年の歴史を振り返ってみますと、ピンチを跳ね除け、それをばねとして飛び越え、躍進してきたように思います。

 世の中は「諸行無常」です。常ではありません。このことは当たり前のことなのです。常日頃に油断なく次のことを考える。今日売れている製品もやがて3年、5年、10年もしたら売れなくなります。今の内に次の新しい製品を開発していくことが大切です。当社も常に油断なく想像力を高めながら次々と新しいことに対応して参りました。新技術、新製品、新需要、新顧客を開発し、今売れている製品であっても、あるいは好調なお客さんがおられても、諸行無常で時代が変化していることを悟っていく必要があります。

 新入社員の皆さん方も今後、色んなことでピンチが起こるでしょうが、これを一つのチャンスと捉え、必ず乗り越える方法を見つけてもらえれば有りがたいと思います。

 当社はこの平成21年度、世界中が求めている地球温暖化の防止、環境性向上などに対して問題を解決していくような製品開発、需要開発を行って参ります。我々の製品が、国内外のそれぞれの国で課題となっている建築上の様々な問題を解決し、建築仕上げの新技術に一層の向上を図りながら、建築文化の向上に貢献し、大きく業績を伸ばしていきたいと念願しています。

 近年にない内外各々のピンチの年に入社された皆さんと共に、会社を大きくチャンスに変えていきたいと思いますので、エスケー化研の乗組員の一員としてそれぞれの役割を真剣に果たして頂きたいとの期待を高め、お祝いのお言葉といたします。