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◆日本塗装時報 2010年1月18日発行 1893号◆
■「住宅投資の活性化を」
国土交通大臣 前原 誠司
 平成22年という新しい年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。

 昨年は、多くの国民の皆さまのご支援をいただいて、政権交代の実現を果たしました。これにより、政治や行政のシステムが大きく転換し、国政のあり方も大きく変わろうとしています。私も、昨年9月より国土交通大臣を拝命し、山積している課題の解決に向け、全力を挙げて取り組んできたところです。国土交通省としては、本年も引き続き、社会資本の整備や交通政策の推進などを通じて我が国が抱える課題等へ対応してまいる所存です。

 さて、国土交通行政に取り組むに当たっては、我が国が抱える三つの主要な不安要因について直視する必要があります。第一に、2004年をピークとして人口減少が進行していることです。出生率を1・37とすると、平均して毎年90〜100万人の人口が減り続けるということであり、我々にとって大きな不安材料の一つとなっています。

 第二に、諸外国が経験したことのないような急速な少子高齢化が進んでいることです。少子高齢化が今のペースで進むと、2050年には65歳以上の人口比率は40%を超えると言われております。現在、5人に1人が65歳以上という人口比率となっておりますが、2050年には5人に2人以上となり、15〜 64歳までの生産年齢人口についてみれば、現在の約64%から2050年には51%になると言われています。

当然ながら、若い人達の負担が増え、これからリタイアをして、社会保障の恩恵を被ろうという世代の方々のサービスが低下していくこととなります。そうした意味で、この少子高齢化・人口減少というものが、我々国民の大きな不安材料としてのし掛かっております。

 第三に、我が国のGDPの約1・7倍の規模になる長期債務を抱えていることです。これは欧米等の先進国と比べても突出した規模になります。
 このような我が国の現状を踏まえれば、国民の皆様からお預かりをしている税金の使い道を大きく変えていかなければなりません。このため、従来の公共事業依存型の産業構造を転換し、我が国を牽引する成長産業の育成を図るため、国土交通行政のパラダイムシフトを行ってまいります。

【今後のインフラ整備のあり方】

 公共事業については、これまでのしがらみを断ち切り、まず、歳出の中身を徹底的に見直していく必要があります。その中で「コンクリートから人へ」の考え方に基づき、これまでは作ることを前提に考えられてきたダムや道路、空港や港湾などの大規模な公共事業について、国民にとって本当に必要なものかどうかを、もう一度見極めてまいります。そして、国民の安全を守り、我が国の国際競争力を強化する上で真に必要なインフラ整備を戦略的かつ重点的に進めてまいります。

 事業の見直しに当たっては、予断を持たずに再検証することとします。
この際、政策変更によりご迷惑をおかけする地域住民の皆さんに対して、丁寧に説明し、御意見を賜り、合意を得ていく努力を積み重ねていくことは言うまでもありません。
 このような見直しを踏まえ、これまでの国土交通行政を、国民に夢を与え、日本を牽引する国土交通行政へと、大胆に転換してまいります。

【国土交通省の成長戦略】

 将来にわたって持続可能な国づくりを進めるためには、我が国の人材・技術力・観光資源などの優れたリソースを有効に活用し、国際競争力を向上させることが焦眉の急となっています。このため、「財政に頼らない成長」の実現を基本に、次に述べるような分野をはじめとする国土交通行政に関する成長戦略を早急に策定するために国土交通省成長戦略会議を立ち上げ、我が国の成長の牽引力となるような産業の育成に率先して取り組んでおります。

 第一に、四方を海に囲まれている我が国は、海洋資源の有効活用をはじめとして、広大な海をフロンティアとして認識し、まさに「海洋国家」として復権を果たす必要があります。このため、従来の港湾政策を転換し、港湾整備の選択と集中を図ることにより、日本の港湾のアジアにおける国際競争力を強化するとともに、我が国の輸出入量のほぼ全てを依存している外航海運の競争力強化及び安定輸送を推進し、経済・国民生活の基盤を確保します。併せて、国土面積の12倍に及ぶ排他的経済水域等を有する我が国にとって、これらの海域を有効に活用するため、離島の保全・管理及び振興を的確に行うことも極めて重要です。

 第二に、観光立国の推進については、航空政策やまちづくりなど関連する諸施策と連携を図りながら、「訪日外国人旅行者数を2016年までに2000万人、2019年までに2500万人、将来的には3000万人とする」ことを新たな目標といたします。この目標を見据え、まずは今年、訪日外国人1000万人という従来の目標達成を目指して、集中的なキャンペーンを展開し、アジア、特に中国からの訪日旅行者数の増加を図るなど、新たな需要と雇用を創出するよう、実効性の高い観光政策を強力に展開してまいります。また、観光立国の実現に向けて政府としての取組みを一体的・総合的に推し進めるためには、旅行需要の創造・平準化につながる休暇の分散化等の課題についてより一層の省庁間の連携強化が不可欠であることから、私を本部長とし、各省庁の副大臣を構成員とした観光立国推進本部を設置し、関係省庁間の具体的な調整・連携を図っているところです。

 第三に、航空政策については、日本航空の再建を、国民目線に立って確実に進めるとともに、航空企業が需要動向に的確に対応し、自由な経営判断により新規路線の開設や増便等を行うことができるよう、各国・地域との間において、オープンスカイを推進します。これと並行して、羽田空港の24時間国際拠点空港化、成田空港の更なる容量拡大に取り組みつつ、両空港の一体的活用を推進するとともに、関西3空港のあり方について抜本的に検討してまいります。これらにより、来るべき「アジアの時代」における強靭なグローバル・キャリアの育成とアジア有数の国際航空ネットワークの形成を目指してまいります。

 第四に、建設・運輸産業の更なる国際化を推進します。
 建設産業が果たしている役割は極めて大きなものがあると考えております。世界の建設市場に目を向ければ、潜在的に大きなインフラ需要が存在しており、水関連技術、ITS(高度道路交通システム)等の海外展開などと一体となって、我が国建設産業が海外へ大きく羽ばたいていただくべく積極的に支援してまいります。また、今後は、これまで整備してきた社会資本の老朽化に伴い、維持管理の国内需要が大きな規模になります。さらに省エネ化や耐震化への取組みも重要です。こうした中で、技術と経営に優れた建設企業がそれぞれの地域で期待される役割を果たしていけるよう、必要な環境整備を行ってまいります。また、世界の水ビジネス市場は、将来約100兆円規模に成長することが予想されており、このような海外の成長市場に対して日本の優れた技術を展開していくことも必要と考えております。

 運輸産業については、地球環境問題への対応の観点から、CO2排出量の少ない効率的な輸送機関として鉄道が世界的に注目されております。省エネルギー性のみならず、定時性を確保しつつ、安全に大量輸送を実現することが可能な我が国の高度な鉄道システムの技術・規格の国際展開を支援するため、トップセールスを実施します。

 また、人口減少・少子高齢化・財政赤字という制約要因のなかで、社会資本の維持・更新を着実に進めていくため、民間の資金・経営能力・技術的能力を活用した社会資本整備を行っていく仕組み、新たな時代にあったPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)の手法を取り入れていきます。

 第五に、内需主導の経済の安定的な成長のためには、住宅・不動産市場の活性化等による内需の拡大が必要です。最近の住宅着工戸数は昭和40年頃の水準まで落ち込んでいますが、1400兆円にも上ると言われる個人の金融資産を動かす仕組みとして、新築、リフォームを問わず、住宅投資を活性化させるとともに、広く内外の資金を市場に呼び込むことが重要だと考えております。また、機能的で魅力ある都市整備への民間資金の流れの円滑化等を通じ、不動産市場の活性化を図ることも重要と考えております。

【安全・安心な社会づくりと豊かな暮らしの実現】

 我が国は、地震・津波や水害・土砂災害・高潮災害など、自然災害に対して脆弱な国土条件にあります。特に最近では、各地で集中豪雨や異常渇水が発生しており、地球温暖化の影響が懸念されています。昨年も7月の中国・九州北部豪雨や8月の台風第9号等により、各地で被害が生じたことは記憶に新しいところです。これらに対応し、自然災害や事故などから国民の生命や財産を守るという国土交通省の重要な使命を果たしてまいります。また、危機的な状況にある公共交通を維持・再生し、人々の移動を確保するとともに、人口減少、少子高齢化の進展、地球温暖化対策等の諸課題にも対応するため、交通基本法の制定に向けて検討を進めます。
 さらに、土地取引の円滑化及び土地資産の保全等を図るために、その基礎となる境界情報を調査する地籍調査について、一層の推進に努めてまいります。

【景気回復への取組み】

 現下の厳しい経済・雇用状況、直面する円高・デフレ状況を踏まえ、景気回復を確かなものとするために先般取りまとめられた「明日の安心・成長のための緊急経済対策」では、住宅版エコポイント制度の創設、住宅金融の拡充、住宅税制の改正等による住宅投資活性化のための支援、エコ カー補助の延長、観光立国の実現に向けた施策の推進、交通・産業における環境配慮の取組みへの支援、建設企業の成長分野展開支援、下請建設企業の経営を支えるための金融支援等、国土交通省関連の施策が盛り込まれました。

 今後、対策に盛り込まれた施策が一日も早く実効性を挙げるよう取り組んでまいります。
 以上、新しい年を迎えるにあたり、国土交通省の重要課題を申し述べました。国民の皆様のご理解をいただきながら、ご期待に応えることができるよう、諸課題に全力で取り組んでまいる所存です。
 国民の皆様の一層のご支援、ご協力をお願いするとともに、新しい年が皆様方にとりまして希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを心より祈念いたします。
■「新年に挑む決意」
厚生労働大臣 長妻 昭
 平成二十二年の新春迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
 昨年は、国民の皆様からの歴史的な審判により政権交代が実現しました。とりわけ厚生労働行政に対する国民の皆様の期待は非常に高いものがあります。

 私は厚生労働省の代表という立場であると同時に、国民の皆様から厚生労働省を指導・監督するよう送りこまれた立場であると自覚しております。
 私自身、謙虚に国民の皆様の声を聞いて、生活者の立場に立った信用できる厚生労働省を創り上げる決意を新たにし、新年に挑む決意を述べさせていただきます。  国家の礎(いしずえ)は、二つの保障です。安全保障、そして社会保障です。

 憲法で言えば安全保障は九条、社会保障は二十五条に基本的規定があります。
 憲法二十五条にはこうあります。
 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」 国が国民の最低限の生活を保障することをうたっています。

 しかし、実際には、具体的に最低限度の生活とは何か、という最低生活基準、ナショナルミニマムが各分野においてきちんと定められておりません。
 さらに、実際に、最低限の生活を守る行政が実行されているのか、その検証も不十分だと考えます。
 昨年末に「ナショナルミニマム研究会」を設置し、今後、ナショナルミニマムを保障する基準作りに取り組んでまいります。
 厚生労働省に不足している能力は大きくは三つあると感じます。

 実態把握能力、制度改善能力、コミュニケーション能力です。これらの能力を向上することに全力で取り組みます。
 例えば、新しい社会保障の制度や仕組みを作っても、それが本当に狙い通り機能するのか。実態を把握しなければ、制度は上滑りしてしまいます。
 世界と比べて日本はどのような状況なのか。誰がどこで、なぜ困っているのかなど厚生労働行政に何が不足しているのかを正確につかむことも重要です。これが実態把握能力です。
 新しい制度も一度作った ら、作りっぱなしにするのでなく、不断の改善努力を続けなければなりません。民間では当たり前のアフターサービスの考え方です。これが制度改善能力です。

 厚生労働省は国民の皆様の身近な行政を担当している役所です。それだけに、誰が読んでも分かる通知など的確な情報発信を心がけなければなりません。これがコミュニケーション能力です。
 これまでの厚生労働行政については、年金記録問題や保険料の浪費問題をはじめ、国民の信頼を失墜させる問題がありました。
 天下り団体への過剰な補助金の交付や不要不急の事業など、税金の使用において正すべき課題も見受けられます。

 私は、これまでの厚生労働行政の中にある問題の解決に取り組むと同時に、体質改善にも努めてまいります。
 そのためには、官僚に任せっきりにするのではなく、政治主導が重要です。
 大臣、副大臣、大臣政務官の政務三役のチームが、改革意欲に富んだ職員と力を合わせて、様々な課題に取り組む所存です。

 就任以降、天下り法人や内部留保率が著しく高い公益法人に対する補助金等の削減などにより浪費削減に取り組みました。
 この他、調達を一括購入とするなど行政経費の節約や、独立行政法人への天下りの見直しや浪費削減に取り組んでいます。
 厚生労働省の役所文化を変える第一歩としては、昨年十月から厚生労働省職員の人事評価基準を変えました。
 各省庁共通に行われる改正国家公務員法に基づく人事評価制度の実施に当たって、厚生労働省独自の評価を導入しました。
 特に「コスト意識・ムダ排除」や「制度改善に当たってのアフターサービスの考え方の導入」、「国民の生命・財産にかかわる事案の情報収集・公開」の視点に着目した業務目標を事務次官以下の職員に立てさせ、半期ごとに業績を評価します。

 国民目線の評価と省内の評価が一致するような人事評価基準とすることを狙いとしています。
 今般の新型インフルエンザにつきましては、昨年四月の発生以降、健康危機管理上の重大な問題として、重症者や死亡者の発生をできる限り減らすためのワクチン接種事業や患者の急激な増加に対応するための医療体制の整備等、政府一丸となって対策に取り組んでいるところです。

 本年も、国民の皆様の安心を第一に考え、万全の対策に努めてまいります。
 現在、我が国は、急速に少子化が進行し、人口減少が進んでいます。これは、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤に関わる問題であります。

 急速に進行する少子化への対策につきましては、子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援し、安心して出産し子どもが育てられる社会をつくるため、子ども手当の創設に向けて速やかに検討を進め、平成二十二年度からの支給に向け最善を尽くしてまいります。
 また、保育所の待機児童の解消に向けて、保育所整備に早急に取り組むとともに、平成二十二年四月から法定化される「保育ママ」の増員に努めてまいります。
 さらに、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略に沿って働き方の改革による仕事と生活の調和の実現と、多様な働き方に対応した保育サービスなど子育て支援基盤の充実を「車の両輪」として少子化対策の取組を進めてまいります。

 貧困の問題については、 昨年、厚生労働省として初めて我が国の相対的貧困率を示したところであり、今後、その改善に取り組んでまいります。
障害のある方が当たり前に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活できる社会をつくるため、「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくります。今後、当事者等関係者の皆様の御意見も十分に伺いながら検討を進めてまいります。  後期高齢者医療制度につきましては、昨年十一月に廃止後の新たな制度について検討するための会議を私の下に設置しました。今後、高齢者をはじめ様々な関係者の御意見を伺いながら、政権一期四年の中で、国民の皆様の納得と信頼が得られる新たな制度への移行を実現するため、具体的な制度設計の議論を進めてまいります。

 国民皆保険の基盤となる国民健康保険や協会けんぽは、昨今の不況の影響により財政状況が非常に厳しくなっており、これらの保険者の財政基盤の強化を図るための法律案を通常国会に提出してまいります。
 医療再生では、医師等の人材確保、救急医療・周産期医療の体制の確保など、国民に質の高い医療サービスを安定的に提供できるよう、医療提供体制の整備・強化に取り組んでまいります。
 介護保険制度につきましては、今年で制度創設十年を迎え、老後の安心を支える仕組みとして定着してきております。今後、一層の高齢化の進展が見込まれる中、介護を担う人材の確保と介護サービス基盤の整備が喫緊の課題であります。

 このため、介護職員処遇改善交付金の積極的な活用による介護職員の処遇改善や、介護拠点の緊急整備を進めてまいります。
 また、介護を必要とする高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を送れるよう、医療・介護のみならず、配食・見守り・緊急時対応といった地域生活支援サービスや住まいを含めた多様なサービスを連動して提供する地域包括ケアシステムの構築を目指してまいります。

 年金につきましては、まずは、公的年金制度に対する国民の信頼を回復することが何よりも急務であり、「消えた年金」問題については、「国家プロジェクト」と位置づけ、予算、人員を投入して取り組んでまいります。
 民間有識者による「年金記録回復委員会」のお知恵も聞きながら速やかに記録訂正するなどの取組を進め、国民の皆様の信頼回復に向け、全力を尽くしてまいります。  日本年金機構がこの一月から発足いたしました。同機構については、民間からも千人以上の方を中途採用し、能力と実績による人事管理を行うこととし、国民のニーズに応じたきめ細やかなサービス向上に努力してまいります。

 本機構が、厚生労働省と緊密に協力して、年金記録問題に着実に取り組み、国民に信頼される組織となるよう、全力で取り組んでまいります。
 同時に、雇用の流動化など時代にあった、透明で分かりやすい年金制度とするため、平成二十五年に新たな年金制度の法律を成立させるべく、具体的な制度設計に向けた検討を進めてまいります。  援護行政につきましては、戦没者の遺骨収集や慰霊事業、戦傷病者、戦没者遺族等に対する支援、中国残留邦人等に対する支援策をきめ細やかに実施してまいります。

 完全失業率と有効求人倍率は、ともに昨年過去最悪の水準に達し、その後も雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあります。失業率の改善は生産の回復に遅れる傾向があることなどを考慮すると、雇用失業情勢は引き続き厳しい状況が続くことが懸念されます。
 このため、政府を挙げて雇用の確保に取り組むため、鳩山総理を本部長とする緊急雇用対策本部を設置し、「緊急雇用対策」を昨年十月二十三日に策定し、十二月八日には雇用を柱の一つとする「明日の安心と成長のための緊急経済対策」がとりまとめられました。

 まずは、本対策に基づき、労働者の雇用維持、新卒者の就職支援、再就職支援、生活保障など、雇用の安定・拡大に向けた対策を講じてまいります。
 特に、雇用保険を受給できない方に対する第二のセーフティネットとして、職業訓練の実施と訓練期間中の生活保障を行っていますが、「求職者支援制度」として、平成二十三年度から恒久化してまいります。併せて公共職業訓練の充実を図ってまいります。

 雇用保険制度につきましては、非正規労働者への適用拡大などを行い、雇用のセーフティネットを強化します。
 労働者派遣制度につきましては、派遣労働者の雇用の安定や待遇の改善等を図るため、通常国会へ改正法案の提出を目指し、取り組んでまいります。

 障害者雇用対策につきましては、障害者雇用率制度を柱として、さらなる障害者の雇用促進を図るため、障害者一人ひとりの特性を踏まえた雇用支援、中小企業に対する雇用促進等の取組を進めてまいります。
 高齢者雇用対策につきましては、「希望者全員が六十五歳まで働ける企業」や「七十歳まで働ける企業」の実現に向けた取組等により、意欲と能力のある限り、いくつになっても働ける社会の実現に向けた環境整備に取り組んでまいります。

 最低賃金につきましては、まじめに働いている人が生計を立てられるようにするため、労使関係者との調整を行いつつ、引上げに向けた取組を進めてまいります。
 また、ワークライフバランスと均等待遇につきましては、有期労働契約の在り方も含め、検討を進めていくとともに、過労死や過労自殺などを防ぎ、労働災害をなくすため、企業におけるメンタルヘルス対策の推進、長時間労働の抑制等に取り組んでまいります。

 以上のような施策の実施につきまして、労使の皆様との相互理解と信頼の下に行政を推進してまいります。
 今後とも安定した労使関係を維持・構築していくため、様々な機会を通じて、労使の意思疎通、合意形成の促進に努めてまいります。

 国民生活の安全と安心を確保するため、様々な疾病に対する対策を講じることも重要です。
 まず、薬害肝炎の反省に立ち、安全対策の充実・強化など医薬品等による健康被害の再発防止のための取組を進めるとともに、昨年成立した「肝炎対策基本法」に基づき、インターフェロン治療に係る医療費助成を柱とした「新しい肝炎総合対策」のさらなる推進に向け、取り組んでまいります。

 医薬品・医療機器につきましては、有効で安全な医薬品・医療機器をより早く国民の皆様に提供できるよう、承認審査の迅速化等(いわゆるドラッグラグ・デバイスラグの解消)、未承認薬・適応外薬の解消に積極的に取り組むとともに、関係省庁と連携し、研究開発の促進、治験の活性化、先端医療開発特区を推進してまいります。
 国内でワクチンを確保できる体制の構築、献血等の血液事業や医療機関における血液製剤の適正使用の推進に取り組むほか、薬物乱用対策として、取締りの強化とともに、啓発活動を推進します。  さらに、医療の担い手として薬剤師の資質向上をより一層図るとともに、昨年六月に施行された新しい医薬品販売制度をより一層周知します。

 臓器移植につきましては、昨年、「臓器の移植に関する法律」の改正が行われたところであり、改正法の円滑な施行に向け、万全を期してまいります。 また、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、生活習慣病の着実な予防に取り組んでまいります。がん対策につきましては、「がん対策基本法」の基本理念にのっとり、がんの総合的・計画的な対策を推進するとともに、難病研究や難病患者の医療費助成など、引き続き取り組んでまいります。

 原爆被爆者対策につきましては、昨年成立した「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」の円滑な施行に努めるとともに、原爆症認定制度の在り方について、幅広い観点から総合的に検討を進めてまいります。
 このほか、生活衛生関係営業の振興を通じた衛生水準の維持向上に努めるとともに水道行政においては、全ての国民が安心できる安全な水道水の安定供給の確保に取り組んでまいります。

 食品の安全につきましては、科学的知見に基づき、輸入食品の監視体制の強化やBSE対策の推進を図るとともに、問題事案発生時には、昨年設置された消費者庁等関係行政機関と連携しつつ迅速に対応するなど、国民の健康の保護を図るために全力を尽くしてまいります。
 以上、厚生労働行政には、このほかにも多くの課題が山積しております。
 私としては、多くの国民から信頼を失った厚生労働行政について、関係者一丸となって、業務の見直しや改善に取り組み、国民の皆様から信頼される厚生労働行政へと立て直しを進めてまいります。  国民の皆様の一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
■「グローバル戦略を推進」
関西ペイント・小林正受社長
 リーマンショックによる世界同時不況に見舞われた昨年度は、当社も7期振りの減収減益決算を余儀なくされました。
 しかし、殆どの上場会社が赤字に転落する中にあって、とにもかくにも一定の利益(連結経常利益145億円)を確保できました。

 また、本年度について
も引続き厳しい市場環境が続く中、通期増益の見通しをほぼ確実なものにしつつあります。  これは、収益改善に向けての諸施策が着々と進捗している証左であり、改めて皆さんの努力に感謝申し上げると共に、仕事に対する情熱とその志の高さに深甚の敬意を表します。  未曾有といわれた世界同時不況も最悪期を脱しつつありますが、来年度以降の見通しについては必ずしも楽観を許しません。

 インド、中国といった新興国市場は引続き高い成長率が期待されますし、その他のアジア諸国も景気回復から成長へとギアーを切り換えつつあります。
 一方、欧米市場の本格回復には時間が必要と思われます。
 一番の問題は日本です。明確な経済成長戦略がなく、デフレと円高が進行する中で政策不況が深刻化しています。今や、景気の2番底を心配するという次元ではなく、日本経済(名目GDP)は、長期トレンドでマイナス成長に入ったという認識に立たざるを得ません。

 従って、国内事業に関して言えば、従来の延長線上の業務の効率化やコスト削減といった発想では、この苦境を乗り越えるのは不可能と判断しています。
 来年度(平成22年度)は第12次中期経営計画の最終年度に当りますが、国内事業体制の抜本的建て直しに着手すべく、12中計は本年度をもって打ち切り、1年前倒しで13中計を発足させます。

 狙いは@徹底した構造改革で国内事業の競争力を強化すること、A人的資源を中心に経営資源の海外成長市場へのシフトを一気に加速させして言えば、従来の延長線上の業務の効率化やコスト削減といった発想では、この苦境を乗り越えるのは不可能と判断しています。
 来年度(平成22年度)は第12次中期経営計画の最終年度に当りますが、国内事業体制の抜本的建て直しに着手すべく、12中計は本年度をもって打ち切り、1年前倒しで13中計を発足させます。  狙いは@徹底した構造改革で国内事業の競争力を強化すること、A人的資源を中心に経営資源の海外成長市場へのシフトを一気に加速させること、にあります。

 国内の景況は厳しさを増していますが、一貫してアジア新興国市場を重視のグローバル戦略を推進中の当社としては、「この苦境はむしろ追い風」と捉えています。
 これを基本認識として、グローバルな視点での経営資源の最適配置を図っていきます。  しかし、何れにせよ鍵となるのは、人財のパワーアップです。
 今こそ、原点に立ち帰 リーマンショックによる世界同時不況に見舞われた昨年度は、当社も7期振りの減収減益決算を余儀なくされました。

 しかし、殆どの上場会社が赤字に転落する中にあって、とにもかくにも一定の利益(連結経常利益145億円)を確保できました。
 また、本年度についても引続き厳しい市場環境が続く中、通期増益の見通しをほぼ確実なものにしつつあります。
り、職場力世界ナンバー1を目指して頑張りましょう。

 グローバルな視点に立てば、当社の前途は洋々です。
■「大淘汰の時代、ピンチをチャンスに変えていく活動の徹底を」
エスケー化研・藤井實社長
 今年の干支は「庚寅(かのえとら)」といい、陽気の上がっていく非常に良い年柄だと言われています。「虎」の威を借りる訳ではありませんが、私達も「虎は一夜に千里を駆ける」のごとく、虎に負けないよう、虎以上の大きな活動を行っていくことが大切です。
 我々が関係する建築関係では、公共投資が前年比約12%ダウン、新築住宅着工件数も前年比約30%ダウンが予想されるなど、非常に厳しい状況下にあり、今年も相当な数の会社が倒産や廃業を余儀なくさせられるという、先行き不透明感が増しています。しかしながら、当社は「ピンチをチャンス」に大きく変化していく、チャンスの時であると信じています。

 今は大淘汰の時代です。新築がダメであれば総合的なリフォーム、リニューアル分野に一層、力を入れ、この分野を伸ばしていくことが大切だと思います。また、時代が求める環境、省エネ分野で新需要を創造していくと共に、社内的には、生産性アップ、種々のコストダウンを図り、昨年に引き続き、「始末・倹約・算用」と、しっかりと足下を見つめた諸活動の徹底が大切です。
 一方、海外では、中国を始め東南アジア、南西アジアでも一層、大規模案件や著名案件を獲得すると共に、リニューアル分野の物件獲得で前年以上の成果を上げていきたいと思っています。そのためには、一段と人事教育、能力アップを行い、海外需要を大きく成長できるような対策を講じて参ります。

 先ほどから申し上げておりますように、今年もこの厳しいスタグフレーションやデフレスパイラルの時代が続くものと思われます。そのような時代にあっても、国際的に見ると、まだまだチャンスはあります。大淘汰の時代はチャンスの時代で あると考えると、このような時代だからこそ、CS(顧客満足度)を第一に考えなければなりません。会社はお客様があっての会社であり、お客様にサービスができない会社は、いかなる対策を講じてもダメだと思います。

 また、営業だけでなく品質など様々な面からサービスを徹底して行えば、お客様の満足度が高まり、大淘汰の時代では当社が生き残れる大切な要素につながります。当社の社是に「感謝とサービスを大切に」とありますが、今年も国内外共々顧客第一に、これを絶対に忘れないよう、あらゆる面から対策を講じていきたいと思います。

 我々エスケー化研は来期、創業55周年を迎えます。今年はこの記念すべき年柄にふさわしい活動をしていかなければなりません。そのためには、皆さん一人ひとりが前年対比もっともっと意識革新を行い、能力を磨いていくことが非常に大切になってくると思うのです。
また、当社のモットーは『無から有』です。『無から有』の創業の精神に則り、最大の活躍を皆さんと共に成し遂げ、この55周年を栄えある年にしていきたいと思います。そしてメガロアジア、オンリーワン、ナンバーワンの1000億企業に躍進していけるような業績を、本年は上げていきたいと決意を高めています。

 今年はいつもの年ではなく、寅年という非常に素晴らしい年を迎えています。社員の皆さんが気持ちを新たにし、虎の如く勢力を上げて、ピンチをチャンスに変えていく活動に挑戦して頂き、互いに大きく成長して参りましょう。
■「危機感の共有を」
日本ペイント・酒井健二社長
 ここ数年、世界的規模での不況で暗い話題が続きましたが、今年は寅年、虎は邪気を払い、大きな福を呼ぶ動物と言われていますので、当社にとって大いなる飛躍の年になることを、干支にちなんで期待したいと思います。

 さて、いよいよ2010年が始まりました。
 昨年4月から2ヵ年の予定で着手したサイバイバル・チャレンジの1年目があと3ヵ月で終了します。

 昨年11月に発表しました通り、09年度第1、第2四半期、すなわち上期の業績は、前年対比でこそ減収減益でしたが、売上、営業利益とも期初予想を上回る結果となりました。これは緊急対策、抜本対策のもと、皆さん一人ひとりの努力はもとより、グループを上げて大幅なコスト削減に努めた成果です。一定の成果を上げることができたことは喜ばしいことですが、今日から始まる第4四半期は、見通しが一層不透明で、その状況が次年度まで継続する可能性も大きいと予想されます。いわゆる「景気の二番底」もありうるということです。当社はこれまで少し成果が出るとそれに満足してしまい、活動を継続できないという悪しき伝統がありました。上期の計画達成は通過点に過ぎません。とくに抜本対策が、遂行する過程で当社の体質として定着するために、ここで気を緩めず、さらに厳しく取り組まれることを皆さんにこの場で改めてお願いします。

 当社は3月に創業129周年を迎えます。創業以来の年月においては、1929年の大恐慌のように、会社存亡の危機に直面したこともありました。ですが、先輩方は、恐らく現在我々がおかれている状況よりさらに厳しい経済、経営環境から立ち直り、今日に至る礎を築かれました。そのことに改めて尊敬の念を持つと同時に、当社には、危機から立ち直るDNAがあると言えると思っています。したがって、この先、二番底が来ようとも、当社グループはこの難局を必ず乗り越えられると信じています。

 「崖っぷちに立っている」という危機感を皆で共有し、グループ一丸となって今回のこの危機を乗り越えましょう。そのためには、緊急対策はもとより抜本対策に、さらにスピードを上げて取り組み、体質を根本的に変え、定着させ、力強い筋肉質なものにしていかなければなりません。そしてその担い手は皆さん一人ひとりであることを本日この場で改めて確認したいと思います。

 昨年秋に全国の拠点を訪問した際に、多くの社員が「無意識の固定概念」に縛られていると感じました。過去を否定する視点が非常に重要です。技術開発、商品開発に留まらず、 あらゆることに言えますが、過去の否定がなければ進歩は望めず、現状のままでよいという発想には、衰退しかありません。そうならないために、また当社を今後150年、200年と引き継いでゆくために、皆さんの大いなる奮起を期待します。経営環境が厳しく、不透明な時期こそ、自分の仕事に自信と誇りを持ち、ひたむきに明るく愚直に取り組んでほしいと思います。

 また、危険物を取り扱うメーカーとして肝に命じなければならないことがあります。事故を起こさないために一人ひとりが「安全第一」を胸に刻み、「安全第一」の行動を日々実践することが必要です。言葉だけではなく、実践として「安全なきところに生産なし」ということを改めて認識してください。全ての工程において安全を再確認し、無事故無災害の決意を新たにしてください。 最後に、本年が皆さんと皆さんのご家族にとり、 健やかで実り多い、よき年となりますことを祈念し、年頭の挨拶といたします。
■「新市場の開拓を」
大日本塗料 山下文隆社長
 本年は、「選択と集中」をキーワードに事業構造、供給構造を改革し、赤字から脱却し、継続的に安定成長を続ける企業としての底固めをする年であります。そのためには、まず何としても達成しなければならない目標があります。それは2009年度決算の黒字化であります。

 本日は、その決意と信念のもと、DNTグループのとるべき戦略の方向性を明らかにして、新年を展望したいと思います。
 当社は、昨年は7月に創立80周年を迎えた記念すべき年ではありましたが、年初から6月頃まで、産業界の在庫調整の影響を大きく受け、工業用塗料などが大きく落ち込み、4月から6月の第1四半期は連結ベースで損失を計上する結果になりました。

 以後は回復基調にあり、7月から9月の第2四半期には塗料販売量の回復、経費削減効果などにより期間損益が黒字化いたしました。
 とは言うものの、販売量の減少は継続中であり、収益の面でも第1四半期の赤字を埋め合わせるにはまだ力不足の状態です。

 当社グループ収益の大きな柱のひとつである照明機器部門も百貨店業界の設備投資が抑制あるいは延期となった影響などを受け、低迷しております。
 以上のように当社グループとしては、引き続き厳しい状況が続いてはいるものの、社員の皆様の努力の結果は着実に現れていると認識しています。

 ここで、本年の経営の方向について申しあげます。
 このような厳しい経済情勢にあっては、当社グループの生きる道を模索し、一丸となって取り組んでいくしか方策はありません。そこで、経営の方向の第1点目は、先にも申しましたとおり、最重要課題としての2009年度決算の黒字化であります。そのためには、「月間計画販売量に相当する粗利額を確保する販売戦略」、「経費削減への更なる取り組み」の2つの目標を追いかけ、達成することが必要です。

 計画の月間販売量が確保できるに越したことはありませんが、新民主党政権下では公共投資の抑制が声高に叫ばれるなど、当社を取り巻く環境は予断を許さない状況であります。数量の確保が難しいならば、提案型営業により付加価値の高い商売を行い、粗利額を確保することも考えるようにしていただきたいと思います。

 そこで販売にあたって、必ず持っていただきたい 視点があります。それは、「長所を伸ばす」ということです。長所とは、強みを支えている源泉、今後強みになりうる源泉という意味です。売れている商品があれば、自社製品でも他社製品でも、それはなぜ売れるのかということを逐一(ちくいち)問い正してみることがこれからの販売戦略の鍵を握ることと思います。

 社内では当たり前と思って気にもとめなかった技術やノウハウも、他の角度から見れば新たな成長の芽となります。売れている商品を分析して、顧客の信頼を得ているものは何か、世の中に提供している価値は何か、ということを考えていくうちに長所が浮かび上がってくるものと思います。

 この長所を明確にして、販売拡大に結びつける戦略を練(ね) り、着実に実行してゆくことを期待します。
 次に経費削減への取り組みについて申し上げます。
 販売数量が今後も大きな回復は見込めそうにありません。こうした現状で黒字化を達成するには関係会社を含めて生産・販売両面からの更なる経費削減しか道はあ りません。昨年10月には経費削減プロジェクトを発足させました。社員の皆様の努力により利益の出る体質に変わりつつあります。当社グループが安定成長を続けるうえで、大きな成果であると思います。

 経費削減活動は、一つ一つは地味ですが、確実に利益に結びつきます。また資源の節約や地球環境の改善にも結びつきます。
 経費削減への取り組みは全社が同じテンションで取り組まねば、社内での不公平感を生む可能性があります。また経費削減活動は一過性の活動ではありません。現在の経営環境で大きく販売が回復する可能性は低いと思われます。現在の販売量、現在の生産量で生き残るには、関係会社を含めて生産・販売両面から更なるコストダウンが必要です。

 このためには@品種の大幅な絞り込みA関係会社を含めた組織の簡素化B仕事内容を整理してシンプルなものに変える。
 以上のことに継続的に取り組んでゆくことが必要です。

 さて、次に本年の経営の方向の2点目として、新規市場の開拓、新需要の創出についてお話しさせていただきます。
 現在の環境下では、塗料・化学に限らず既存市場は ほぼ飽和状態であり、これ以上自然に需要が拡大することは望めません。一方橋梁や高速道路、民間建築などわが国の社会インフラは築後40年を超え、製品寿命の延命は社会的にも喫緊の課題であります。この延命手術を担う塗替え市場において、大きな存在感を示すことは、構造物塗料でわが国トップを走り、過去多くの塗装実績を持つ当社に課せられた社会的使命でもあります。

 またわが国政府が温暖化ガスの25%削減を宣言するなど、地球環境の改善は、企業・国民にとっての最重要課題となっています。
 遮熱塗料などの塗料が果たすエネルギー効率の改善は、メンテナンスコストがかからないうえに、優れた効果が認められています。企業や個人の関心や期待が大きい分野であり、また、この分野での当社製品の品質は他社製品に比べて優秀であるという評価を市場からいただいております。

自信を持って売っていただき、地球環境の改善に貢献していただきたいと思います。厳しい経営環境ではありますが、メンテナンス市場や環境対応市場など、塗料本来の役割が大きく期待されるマーケットが開花しつつあります。このマーケットをいち早く味方につけることが今後の当社の行方を決めることとなりますので、販売・技術部門の方々の一層の奮闘を期待しております。

 また、海外関係会社については昨年のうちに構造改革を終了しましたので、今年は当社グループの収益に大きく貢献してくれるはずです。また成長著しいアジア諸国の社会インフラが今後大きく充実されることが予想されますので、当社の個性に合わせた実利のある海外戦略を構築していきたいと考えております。

 さらに、照明機器部門は引き続きグループ収益の要(かなめ) であります。消費低迷による百貨店の設備投資抑制など商業用照明分野の環境は引き続き厳しいことが予想されますが、照明のLED化を前向きに捉(とら) え、業界のトップ企業として立派な業績を挙げることを期待しております。
 グループ全体に関わることについて申しますと、ここ数年で導入した、SAPや内部統制についてであります。これらは今、仕組みが安定し、われわれが仕事に活用できる段階となりました。当社を公明正大かつ、社会的責任を果たす企業として存続させる大切な仕組みでもありますので、内容をさらに充実させ適正に運用していただきたいと思います。

 厳しい状況ではありますが、環境の変化は経営改革のチャンスでもあります。これまでなかなか手がつけられなかった構造的な課題に正面から切り込み、経営の枠組みなどを根本から問い直すことが必要です。
 世の中の変化は目まぐるしく、去年と同じことを今年も漫然と繰り返すだけでは良い結果を生まず、会社や個人は生き残ることはできません。

アンテナを四方八方に張り巡らせ、スピード感を持って変化に対応してゆくことが大切です。「変化を恐れず」、「変化を味方につけ」、「まず自分自身が変化する」、この3点をキーワードに難局に立ち向かっていきましょう。
 最後になりますが、当社も80周年を迎えましたので、これからの新しい時代にふさわしい、新しいDNTグループを創造することを誓って、私の年頭にあたっての挨拶といたします。